タレなし餃子、ラビオリ餃子、薬膳餃子。さてきょうは、どの店の餃子にしようかな。そんな餃子のまちづくりを、香川県三豊市と観音寺市を合わせた三観(さんかん)エリアで、仕掛けている人がいる。地域密着型フリーペーパー「miteGo(ミテゴ)」編集長の和田壮平さんだ。創刊8年目になる2022年、長引くコロナ禍で苦しむ飲食店を盛り上げるため、新たな挑戦をスタートさせた。

「餃子の多様性」で盛り上げたい

三豊市の中でも海に近い市役所仁尾支所3階に、「miteGo」編集室はある。「こんにちわー」と和田さんが出迎えてくれた。

早速「なぜ餃子なんですか」と尋ねると、和田さんの回答は明快だった。

「餃子って多様なんです。具材を工夫すれば、何パターンもの個性的な味が作れる。三観エリアのお店がそれぞれの餃子を開発して、お客さんを呼び込めば、リピーターが増えたり、面白い動きが生まれると思ったんです」

すでに、8店の飲食店などがオリジナル餃子を提供しており、和田さんや編集部員も「味見」という名のパトロールに忙しい。餃子という国民食を武器に、地域を盛り上げる作戦を練っている。

5月15日には、ショッピングモール「ゆめタウン三豊」で、初めての「さぬき餃子グランプリ in 三豊・観音寺」を開催する。客に参加8店のオリジナル餃子を食べ比べてもらい、ナンバーワン餃子を決めるイベントだ。

「ネーミングには『さぬき』という言葉を採用し、全国を意識しました。ただ単に餃子の人気投票をして終わるのではなく、うまい餃子に賞を取ってもらうことで、全国を相手にした通販でも戦うことを織り込んでいます。ネット上でも『香川のうまい餃子だよ』ってアピールできるようにしたいんです」

コロナ対策という一面も

この餃子プロジェクトは、2021年秋ごろから三観エリアの飲食店に呼びかけて準備を進めた。背景には長引くコロナという事情もある。コロナ禍のためテイクアウト需要を開拓したくても、居酒屋とテイクアウトの相性は悪いという。

「料理の美味しさはもちろんですが、店内の雰囲気や接客をセールスポイントにしている居酒屋も多いため、テイクアウトは馴染まなかったんです」

そこで、香川でも人気が定着している「持ち帰り餃子」に注目し、そのシェアを地元飲食店に獲得してもらう戦略を練った。餃子ならテイクアウトしても、自宅で美味しく食べてもらえると判断したのだ。

醤油屋らしい餃子を全力で開発

「miteGo」3月号の表紙には、カラフルな薬膳餃子が並ぶ写真をあしらって、餃子プロジェクト開始をアピール。グランプリに参加する8店のうち7店が飲食店だが、1店だけ醤油醸造所が参加した。

あんどう醤油醸造場の安藤尚記さんだ。創業133年の歴史ある醤油を具材に練り込んで、大葉と香川本鷹をプラス。タレのいらない香り豊かな餃子に仕上げた。

安藤さんは、グランプリ参加をきっかけに店頭リニューアルにも着手し、醤油ミュージアムのような店づくりを目指している。

「僕は、餃子なんて焼いたこともなかったような男です。でも第1回グランプリに挑戦できることをありがたく思っていて、社員の協力も得られた。自分のこだわりは一旦置いて、仲間の『美味しい』という声を頼りに、全力で醤油屋らしい餃子を開発しました」

安藤さんの餃子は、持ち帰り限定で店頭に並んでいる。

餃子はきっとワクワクさせてくれる

和田さんは日頃から、飲食店オーナーに繰り返している言葉がある。

「外食はエンターテインメントだということを強く意識してください。そして、皆さんが地域のエンターテイナーになって、お客さんをワクワクさせてください」

三観エリアのファンを作り、さらに子どもたちを含めたリピーターを増やすには、継続して店に来てもらう新鮮な仕掛けが必要なのだ。

さて、餃子グランプリである。「あなたの一票が、三豊・観音寺のナンバーワン餃子を決める」と言われたら、投票してみたくなるだろうか。決定プロセスに参加するもよし、オリジナル餃子を食べ歩くのもよし。香川で「餃子の街」を育てていくのは、あなたかもしれない。

「さぬき餃子グランプリ in 三豊・観音寺」は5月15日の午前11時から午後2時まで、「ゆめタウン三豊」1階催事場で開催される。

さぬきクロスケ