昨年からさまざまな商品・サービスの値上げが続き、2022年9月〜10月にも乳製品や紙製品、家電など、多くの生活必需品の価格見直しが予定されています。値上げによる家計への影響を少しでも減らすには、どうしたらよいのでしょうか。女性向けマネー講座や家計相談、起業相談などを行うウーマンライフFP(福岡県久留米市)の代表で、ファイナンシャルプランナーの新田真由美さんに聞きました。

家計をやりくりするポイントとは?

ーまず、現在の値上げラッシュの原因について教えてください。

今回の値上げラッシュは、コロナ禍、ウクライナの情勢悪化、原油高、円安など、さまざまな要因が複雑に絡み合って引き起こされています。そのため、「原因はこれだ」と明示することが難しいんです。

例えば、輸送コスト増の原因となっている原油高は、コロナ禍で減った需要が戻ってきていることに加え、ウクライナへの侵攻に対してロシアに経済制裁が行われたことも影響しています。日本の国力低下や日米の金利差なども、値上げに影響を与えている一因ですね。

ー今後もさまざまな商品・サービスの値上げが続く見込みですが、家計をうまくやりくりするポイントについて教えてください。

皆様もすでに行っていることだとは思いますが、やはり基本は「出ていくお金」を少しでも減らせるよう、日頃から工夫することだと思います。同じ商品でもプライベートブランドを買うようにする、その週の安売り商品を購入するといった、ちょっとした節約ですね。

ただ、節約のためになんでもかんでも我慢するのではなく、「楽しみながら」工夫を凝らすのが一番だと思います。お子さんのいる家庭なら、市販のアイスやおやつの代わりに、かき氷やホットケーキをお子さんと一緒につくって食べれば、食育にもつながりますし一石二鳥です。旅行や趣味で何か目標を立てるのも、節約の原動力となってよいかもしれません。

あとは、お金の引き出し方も工夫ができます。銀行口座から少しずつ引き出すよりも、1か月分の予算を立ててまとめて引き出したほうが節約につながります。

ーそうなんですね!

私も昔はこまめにお金をおろすタイプだったのですが、ある時一気に引き出す方式に変えたところ、お金が貯まりやすくなりました。今は1か月分の生活費をまとめておろし、5分の1の金額を1週間でやりくりして使うようにしています。透明な袋を5枚用意して、そこにお金を入れておくと、1週間で使える金額と使った金額を可視化しやすくなりますよ。

家計チェックで見直すべき項目

ー今、改めて家計を見直そうと考えている方も多いかと思います。家計の中でチェックすべき項目はありますか?

固定費に注目していただくのが一番です。保険料や家賃に加え、意外と馬鹿にならないのがサブスクリプションの料金です。もう使わなくなったけれど、サブスク契約を続けているサービスはありませんか? 1つ1つのサービスを見れば、月額費用は安いものですが、塵も積もれば山となります。ご家庭内で契約しているサービスを一度洗い出し、使っていないものは契約を終了すると毎月の支出を抑えられます。

あとは節電の徹底、家電製品の掃除や買い替えでも、毎月の電気代を少し減らせます。携帯電話の料金プランも、不要なサービスを契約していないか今一度点検するとよいでしょう。

ー知らないうちに出ていくお金を減らすということですね。そうすると、キャッシュレス決済も使わないほうがよいのでしょうか。

いえ、キャッシュレス決済にはポイントが貯まるメリットもありますから、使い方を工夫するとよいと思います。クレジットカードであれば、固定費の支払いに使うとポイントがたまりやすくなりますね。また、日頃の買い物であれば、現金をチャージして使うタイプのサービスを使うことで、出ていくお金がきちんと見える化できますから、無駄遣いにはつながらないと思います。

お金の心配を減らせる「ライフプラン」とは

ー将来に備えつつ、趣味や旅行を楽しみながら、出費は抑えることは可能ですか?

大丈夫です。お金の心配を減らして、人生を楽しむためにも、家計チェックの延長で「ライフプラン」を作るとよいと思います。ライフプランとは、人生の流れに沿って、起こりうる出来事と出費の時期、その金額を一覧にまとめたものです。

ライフプランを作る際は、ぜひお手元に給与明細や通帳などを用意していただけると、より正確なものが完成します。これを作ることで、子どもの入学や家電・車の買い替えなど、大きな出費が重なるのを防ぐことができますし、逆に言えば、いつまでにどれくらいの金額を用意しておくべきか目安も把握できます。お金の出費と人生の中でやりたいことを一緒に考えられるのです。

Excelなどで自作もできますが、日本FP協会のホームページにテンプレートが掲載されています。こちらを使っていただくと、誰でも簡単にライフプランを作成できます。ライフプランは少なくとも数年に1回、可能であれば毎年1回は見直しをかけると、家計状況の点検にもつながりおすすめです。

ーこの値上げラッシュは、いつまで続くのでしょうか。

残念ながら、こればかりは誰にも分かりません。値上げが続くからと、家計を締めてばかりいても息苦しくなってしまうため、使うときは使うといったメリハリを大切にしていただけたらと思います。

また、節約以外のアプローチとして、可能な方は何かしらの副業を始めるのもよいでしょう。収入を増やせますし、副業で得た収入は自分で確定申告などを行う必要がありますから、必然的にお金や税金に関する知識が身につき、節税へのリテラシーが高まります。私も副業の一環でFPを始めて、もともと勉強していたお金の知識が「生きた知識」として身についた実感があります。

もし何かライフイベントを控えている場合は、お金の面で使える、国や自治体の制度がないか積極的に調べることも大切です。

まだまだ家計にとって厳しい状況は続きますが、ライフプランと日々の小さな工夫で一緒に乗り越えていきましょう。

市岡光子