衆院本会議で所信表明演説を行う岸田文雄首相=10月3日午後、国会内

7月にあった参院選後、初めての本格的な論戦の場となる臨時国会が10月3日、召集された。

岸田文雄首相が同日午後、衆院と参院の本会議で所信表明演説を行い、当面の課題や問題についての方針を示した。

演説では、旧統一教会をめぐる問題から物価高対応などの経済政策、新型コロナ対応、外交・安全保障などの分野にわたって、内閣の姿勢を表明した。

「日本経済の再生が最優先の課題」だと首相が強調したこの演説を、「お財布目線」で注目してみた。

なぜ日本では賃上げが実現しない?

身近な飲食店での値上げや、身の回りの食料品や飲料の値上げが続く一方で、賃上げはなかなか進んでいない。

演説では、首相自身が「なぜ日本では長年にわたり大きな賃上げが実現しないのか」と問いかけ、こう語った。

賃上げが高いスキルの人材を惹きつけ、企業の生産性を向上させ、さらなる賃上げを生むという好循環が機能していないという構造的な問題があります。ひとたびこのサイクルが動き出せば、人への投資がさらに進み、この好循環は加速していきます」

その上で、「賃上げと労働移動の円滑化、人への投資という3つの課題の一体的改革を進めます」と表明し、「構造的な賃上げ」の実現を目指すと強調。その方策として、次の点について言及した。

 

・官民が連携して、現下の物価上昇に見合う賃上げの実現に取り組む

・公的価格においても、制度に応じて民間給与の伸びを踏まえた改善などを図る

・看護、介護、保育をはじめ現場で働く方々の処遇改善や業務の効率化、負担軽減を進める

・リスキリング、成長分野に移動するための学び直しへの支援策の整備

・年功制の職能給から日本に合った職務給への移行

 

個人のリスキリング(学び直し)に対する公的支援については、「人への投資策を『5年間で1兆円』のパッケージに拡充します」との方針を明らかにし、こうした指針を2023年6月までに取りまとめるとしている。