パタゴニア創業者のイヴォン・シュイナード氏(左)、パタゴニア・ストアの看板(右)

米アウトドア製品メーカー、パタゴニア創業者のイヴォン・シュイナード氏は9月14日(アメリカ現地時間)、気候変動と闘うため、30億ドル規模(約4300億円)の事業の全株式を譲渡すると発表した。

最も有名なアウトドアウェア・用品ブランドの1つであるパタゴニアが株式公開をするのは容易なことだ。また買収に意欲のある買い手もすぐ見つかるだろう。あるいは、シュイナード氏は引退して所有権を保持し、30億ドル規模のビジネスを家族で維持することも可能だった。

しかし代わりに、83歳のシュイナード氏とその家族は、パタゴニアの株式をトラストのPatagonia Purpose Trustと非営利環境団体Holdfast Collectiveに譲渡し、パタゴニアの年間利益を環境保護活動に向けることを決意した。

シュイナード氏は14日に同社ウェブサイトに「今や、地球が私たちの唯一の株主です」と寄稿。

「自然から価値あるものを収奪して投資家の富に変えるのではなく、パタゴニアが生み出す富をすべての富の源を守るために使用します」と述べた。

このニュースを最初に報じたThe New York Timesによると、非営利団体Holdfast Collectiveは課税を免除される非営利団体の501(c)4団体(市民連盟、社会福祉団体、地域の雇用者団体)として組織されている。

その構造は、非営利団体が寄付者の名前を公表せずに、税金のかからない寄付金を使い政治に影響を与えることを可能にするため、近年広く批判を集めている。

しかしこの決定はシュイナード氏が、自身が「気候変動否定論者」とみなす政治家を公然と侮蔑してきたことを反映しているとも言える。

パタゴニアは2020年のアメリカ上院議員選挙の期間中、「気候変動否定論者」の政治家を指して「投票してクソ野郎を落選させろ」と書かれたタグを服に付けて販売したこともある。

シュイナード氏の政治的傾向は、環境保護活動以外の面にも広がっている。

2022年夏、女性が人工妊娠中絶を選ぶ憲法上の権利を認めた「ロー対ウェイド判決」を米最高裁が覆す決定を下した際にもパタゴニアは声明を出し、抗議デモで逮捕された従業員の保釈金を負担することを発表した。

ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。