県内金融機関に警戒感
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  日本郵政グループのゆうちょ銀行の個人向け融資への本格参入が決まったのを受け、県内各金融機関から懸念や反発の声が上がっている。金融庁と総務省は6月、民業圧迫の恐れはないと判断し、新規業務として認可したが、銀行や信用組合、信用金庫の全国組織は「完全民営化への道筋が具体的に示され、その確実な実行が担保されることが最低限必要」(全国銀行協会)などの声明を発表。地銀など一部で連携を模索する動きも出始めたが、あくまで「公正な競争条件の確保」が前提となりそうだ。
 ▼「連携も有効」
 常陽銀行(水戸市)の寺門一義頭取は、完全民営化に向けた取り組みを巡り、「現時点ではこの点は明確になっておらず、具体的な道筋が示され実行されていくことを引き続き求めたい」とコメント。
 全国隅々まで店舗ネットワークを持つゆうちょ銀行の参入で、既存金融機関との競争激化は必至。その中で、常陽銀として「質の高い金融サービスや利便性の提供により、これまで以上にお客さまから評価いただけるよう努めていく」と強調。その上で、地域経済の活性化や顧客の利便性向上につながる取り組みについては「ゆうちょ銀行との連携・協働も有効である」との考えを示した。
 筑波銀行(土浦市)は「短期的には問題にはならないが、中期的には、まだ見えていない戦略など、今後の動向に注視していきたい」とし、「公正・公平な競争条件の下で、地域経済の発展につながるよう今後の適切な対応に期待したい」と慎重な対応を求めた。
 ゆうちょ銀への対応を巡って、全国地方銀行協会の佐久間英利会長(千葉銀行頭取)は「公正な競争条件の確保が前提」とした上で、「協調や連携は是々非々。地域ごとに検討すればいい」との姿勢を示した。
 ▼なし崩し
 全国信用組合中央協会長を務める県信用組合(水戸市)の渡辺武理事長は「公平な競争条件の下で総合的に判断されるべきと主張してきたが、適切な判断が示されず非常に残念」とコメント。今回の認可を皮切りに、なし崩し的にさまざまな申請が認められるようになることを危惧した。
 水戸信用金庫(水戸市)と結城信用金庫(結城市)もともに、「民間金融機関との公正な競争条件が確保されない状況が続いている」として、「新規業務への参入は基本的に認められるべきではない」と反発。
 導入予定の口座貸越サービスについても、現在、民間金融機関が実施するカードローンとほぼ同等の機能を有していると主張し、「既に市場が飽和気味である消費者ローンへの参入であることから、地域金融機関や地域金融システムの安定に大きな影響がある」と強い警戒感を示した。 (松崎亘、小室雅一、磯前有花)
 ★ゆうちょ銀行の個人向け融資
 「口座貸越サービス」で、貯金口座を持つ顧客に対し公共料金の引き落としなどで、口座の残高を超えるお金を下ろそうとした場合などに不足分を無担保で貸し付ける。金融庁と総務省の認可を受け、2019年の開始を目指す。