家族の支え強調 小美玉
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  「いま、会いにゆきます」などベストセラーとなった恋愛小説で知られる作家、市川拓司さんの講演会「ぼくが発達障害だからできたこと」が7月29日、小美玉市部室の四季文化館・みの〜れで開かれ、約600人が耳を傾けた。
 講演会は、発達障害への理解を広め、適切な支援ができるようにと、県立友部特別支援学校が教育担当者や県民を対象に開いている研修会「友五郎塾」の一環。毎年、発達障害の当事者を招き、講演会や座談会を開いている。
 市川さんは54歳。発達障害を公表しているが、講演で、コミュニケーションや興味に特異性が認められる「アスペルガー症候群」と「注意欠陥多動性障害(ADHD)」だと明かした。
 自覚したのは作家デビューした2002年以降で、その時の気持ちを、「それまで感じていた自分の人格を認識した。より自分を知ろうとするようになった」と話した。
 講演はインタビュー形式で行われた。「なぜ、世界中の人に感動を与えられていると思いますか?」との質問に、市川さんは「マイノリティー(少数派)の俺が持っているもの。多動性(過活動)が、特に個人主義のラテン系の人々に通じるものがあり、受け入れやすかったのかもしれない」と分析した。
 市川さんの作品には、自身の症状の体験をベースに、妻との恋愛など実生活で起こっていた出来事もちりばめられている。「森の中を歩いている場面など不思議な夢をよく見る。それを追体験してもらいたくて、小説を書いている」と述べた。
 また、市川さんは教室で椅子に座っていることができず、おしゃべりが止まらなかった小学校時代に、担任から「教師生活30年で一番手が掛かった子」と言われたことや、就職3カ月で離職した新社会人生活について、「みんなに合わせたくなかった」などと回顧した。
 「そんな中でもなぜ前向きになれたの?」との問いに、「母親が可能性を信じ、物事のたきつけ役になっていた。妻はありのままを受け入れてくれた。人格を肯定してくれる人がいて、挫折しても次の日はまた新たな次の事を考えていた」と周囲の温かな支えを強調した。(高畠和弘)