全国で豪雨災害などが相次ぐ中、県は本年度、大規模災害発生時の初動対応の混乱を防ごうと、県や市町村職員で組織する「災害対応支援チーム」を発足させる。東日本大震災などを経験した職員らを中心とした専門チームで、被災市町村に派遣し、災害対策本部立ち上げや避難所運営に対する助言など災害発生初期の後方支援に当たる。研修プログラム開発やマニュアル作りを進めて、チームの立ち上げを目指す。
  支援チームは、被災市町村が災害対策本部を立ち上げる際や関係機関との連携に関して助言する指揮支援チームのほか、避難所の運営や 物資の調整・管理、情報収集・分析など、想定される分野ごとに設ける。大震災などの被災地で支援を経験した市町村職員らを中心とし、県防災・危機管理課は「少数精鋭の専門チームを編成する」とする。
 メンバーは、大震災などの教訓を踏まえ、意思決定時の判断材料の提供や応急対策の立案手法、関係機関との円滑な連絡調整手段など、初動態勢に混乱が生じた際に必要とされる助言や情報提供などの支援に当たる。同課は「現場で最前線のマンパワーとしてではなく、助言を専門に後方支援の役割を担う」とする。
 さらに、各職員の災害の経験、災害対応の知識やノウハウを組織として継承することも狙いとし、災害未経験者でも対応できる体制の構築を目指す。
 大規模災害の発生時、市町村は、住民からの問い合わせや避難者への対応のほか、被害情報の収集、対応方針の検討、災害広報などに追われる。県防災・危機管理課は「適切な災害対応、迅速、かつ的確な被災者支援が困難となるケースが見受けられる」という。
 東日本大震災や関東・東北豪雨が発生した際も、被災自治体では避難所の運営をはじめ、罹災(りさい)証明書の発行や生活再建支援業務など対応業務は多岐にわたった。「膨大な事務量が発生し、初動態勢に混乱が見られた」(同課)。
 さらに、大規模災害時は役場機能の喪失や外部からの職員派遣受け入れなども想定される。このため同課は「県や県内市町村間で災害対応に向けた共通認識が欠かせない」と指摘する。
 県は支援チーム発足に向け、全市町村の防災担当者らを対象に勉強会を開いたほか、県や市町村職員らでつくるワーキンググループを設けた。今後は研修プログラムの開発やマニュアル作りに取り組み、研修会などを経た上で、年度内の発足を目指す。
 また、来年度以降は、家屋の被害調査や証明書発行業務などで、県と県内市町村間の共通システム導入に向けた検討も進める方針。同課は「被災地で適切な活動を行うための運用の仕組みを整え、県全体の防災力向上につなげたい」とした。 (朝倉洋)