研究会発行 構造や地形 詳細に
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  茨城城郭研究会は県北地域を中心に中世の城郭を調査した「続・図説茨城の城郭」(国書刊行会)を発行した。「図説茨城の城郭」(2006年、同)の姉妹編として、209城を紹介している。
  城の歴史や逸話とともに構造や周囲の地形を表した詳細な縄張図を掲載。図をメインに県内の城をまとめた資料は他になく、城巡りのガイドブックとしてはもちろん学術書にも引けを取らない内容となっている。城にまつわる地名や佐竹氏の国替えなどをテーマに15本のコラムも盛り込んだ。
 県内各市町村を代表する城を数城ずつ掲載した前書では選ばれなかった城の中から、優れた遺構が残る城や最近になって調査が進んだ城などを地域にかかわらず選んだ。
 長者山城(水戸市渡里町)は国指定文化財の台渡里官衙(かんが)遺跡群の一角にあり、迷路のように張り巡らされた堀や土塁の跡が見どころ。林中城(鹿嶋市林)は東西約500メートル、南北約800メートルの範囲を堀や土塁が囲み、戦に備えて集落全体を守ろうとした当時の様子が見て取れる。
 執筆したのは茨城・千葉両県在住の教員や会社員など同研究会の会員8人。県内に1100以上あるといわれる城跡は、戦国時代の終わりとともに廃城となり、現在は山林になっているものも少なくない。会員はやぶをかき分けながら現地を調査し、インターネット上で情報を発信している。
 前書発行をきっかけに、住民が城跡を地域資源として認識し、案内板や見学コースの整備が進むなど、保存活動が活性化した地域もある。
 会員の五十嵐雄太さんは「城跡は先人が残した貴重な文化財。長く後世に伝えられるよう、この本が保存活動につながれば」と話している。A5判、294ページ。税別2800円。
 (長洲光司)