11月8日は「いい歯の日」。先日開催された、日本歯科医師会(会長:堀 憲郎)による「歯と口の健康シンポジウム 2021 - 健康で豊かな人生を歩むための口腔健康管理 -」と、『11月8日「いい歯の日」歯周病 最新治療プレスセミナー』(主催:科研製薬)の内容を中心に、健康で豊かな人生を歩むために重要な、正しいお口のケアについてご紹介します。ゲストにはデーブ・スペクター氏も登場!一体どんなお話が飛び出したのでしょうか。



歯のケアを怠ると体も心もボロボロに?!





毎日の歯磨きは当たり前の習慣となっていますが、では、なぜ歯をキレイに保つことが必要なのでしょうか。



むし歯にならないようにするため、というのはもちろんなのですが、実はそれだけではありません。



歯科医師の枝広あや子先生は、「口腔の健康は全身の健康に影響し、例えば歯周病になると糖尿病になりやすく、また、病気を悪化させる原因にもなってしまいます」と全身への影響を指摘。さらに、誤嚥性肺炎や認知症、早産のリスクもあがると言います。歯周病は年代や性別を問わず、誰にでも深刻なリスクをもたらすものと言えるでしょう。



病気ではなくとも、日常生活を送る中で歯にトラブルを抱えていると、歯を見せて笑顔で笑うのを躊躇してしまいます。かたいものが噛めなくなったり、舌の機能が低下したりして食事が楽しなくなり、おいしいという感動や、食事の際の人とのコミュニケーションにも喜びを感じられません。また、食べられるものが偏ってしまうと栄養不足にもなり、歯の健康が与える心身への影響は計り知れません。



セルフチェックで歯周病の早期発見を





歯を失う原因となるのが歯周病です。歯周病の原因は歯垢の中の細菌にあり、歯を支える歯ぐきや骨が壊れていく病気です。



歯ぐきのハレや赤みは、軽度の歯周病のサイン。早めにきちんとケアすることで悪化を防ぐことができますが、自分が歯周病だと気づかないまま放置してしまうケースが多く、最悪の場合、歯を失ってしまうことにもなりかねません。



歯周病のセルフチェックは、歯と歯茎の境目を確認することでできます。東京医科歯科大学名誉教授の川口陽子先生が教えてくれた歯ぐきのチェックポイントがこちら。





●正常な歯ぐき
色:ピンク色
形:三角にとがっている
かたさ:ひきしまっている
出血:なし

●歯周病の歯ぐき
色:赤色
形:丸くなっている
かたさ:ぶよぶよしている
出血:あり



歯周病の可能性がないか、以下の項目も参考にしてみてください。ふだんからこまめに歯ぐきの状態を自分でチェックする習慣を身に付けたいものですね。


●歯周病の特徴・セルフチェック



  • 歯ぐきに赤く腫れた部分がある。
  • 口臭がなんとなく気になる。
  • 歯ぐきがやせてきたみたい。
  • 歯と歯の間にものがつまりやすい。
  • 歯をみがいたあと、歯ブラシに血がついたり、すすいだ水に血が混じることがある。
  • 歯と歯の間の歯ぐきが、鋭角的な三角形ではなく、うっ血していてブヨブヨしている。
  • ときどき、歯がういたような感じがする。
  • 指で触ってみて、少しグラつく歯がある。
  • 歯ぐきから膿が出たことがある

大切なのは“セルフケア”と“プロケア”の両方





歯みがきやフロスで毎日セルフケアを行うことはとても大事なことですが、実はそれだけでは不十分。歯科医院によるプロフェッショナルケアを定期的に取り入れることで、お口に健康を守ることができます。



ゲストで登場したデーブ・スペクター氏が語ったのは、アメリカでの歯医者さん事情。



アメリカでは歯科矯正が盛んで、歯並びだけでなく、美しく歯を保つことへの意識が非常に高いのだそう。歯が痛くなってから歯科医院に行くのではなく、歯のトラブルが起きないように、定期的にクリーニングに通うのが一般的だと言います。



日本では海外に比べて、歯科医院での定期検診への意識が低く、それが気づかないうちに歯のトラブルを悪化させる原因にもなっています。歯科医院でのプロフェッショナルケアは、セルフケアでは落としきれない歯の汚れのクリーニングや、自分では気づきにくい歯のトラブルの早期発見が可能です。毎日のセルフケアと、定期的なプロフェッショナルケアの両方を組み合わせて、歯の健康を守っていきましょう。



最新治療で歯周病が不治の病ではなくなる?!





歯周病は世界最大の感染症と言われているほど。日本でも成人の8割が歯周病にかかっているとされ、歯を失う原因のトップです。さらに、今はコロナでの受診控えもあり、歯や口の状態が悪化している人が増えています。



歯周病 最新治療プレスセミナーに登壇した、大阪大学大学院 歯学研究科教授 村上 伸也 先生からは、こんなお話もありました。



『歯周病というと、なんとなく40代以上の病気というイメージがありませんか?これはあまり知られていないことですが、実は10代後半からリスクが上昇するため、子どものうちから注意が必要なのです。歯周病は別名「サイレント・ディジーズ(静かなる病気)」とも呼ばれるほどで、知らない間に重症化してしまう恐ろしい病気。自覚症状の乏しい病気であるため、気づいた時にはすでに時遅しということも。健康に自信がある20代や30代の人も、歯周病のリスクを十分理解しておく必要があるでしょう。』



知れば知るほどおそろしい歯周病という病気ですが、しかし、ちょっとした希望の光も見えてきました。



これまで歯周病で破壊された組織は元に戻らないとされていたのですが、実はここ最近、再生治療薬が開発され、新たな治療法も進んできています。



再生治療薬として今、注目されているのが、世界初、日本発の「リグロス」という薬。現在、日本国内でも、さまざまな歯科クリニックで導入が広がっています。





「リグロス」は保険適応が可能で、安心して治療が受けられます。外科手術との併用となるため、中等度〜重度の人が対象となり、およそ8割いる歯周病患者のうち、3〜4割が治療を受けられると考えられています。新しい治療法の確立によって、重症化した人も、今後は歯を諦めずにすみそうですね。



歯周病を防ぐ正しいブラッシング方法





歯周病を防ぐには、歯周病の原因となる歯ぐきの中の歯垢を取り除くことがポイントになります。歯垢がたまる歯周ポケットを作らないようにするためには、歯と歯肉の境目を磨くことが大切。



硬めのブラシは歯や歯ぐきに負担をかけるリスクがあるので、歯ブラシは柔らかめ〜普通を選びましょう。歯ブラシは横向きに持ち、歯ぐきに対して斜め45度にやさしく当て、小刻みに動かします。歯と歯ぐきの間や、歯と歯の隙間をブラッシングすることを意識しながら、1本ずつ丁寧に磨きましょう。



丁寧なブラッシングには、電動歯ブラシもおすすめです。選ぶポイントは「極細毛のブラシ」と「微細な振動を起こす音波振動」タイプ。電動歯ブラシを横向きに持ってやさしく歯に当てるだけで、ブラシを自分で動かさなくても丁寧なブラッシングができますよ。



また、コロナ禍ならではのブラッシング方法として、口を閉じて歯磨きをするというのも推奨されています。口を開けての歯磨きは、唾液の飛沫が飛び散ってしまいますが、口を閉じて歯磨きをするだけで、飛沫がほとんど飛ばなくなり、コロナ感染のリスクを大幅に抑えることができます。家庭や学校、職場で、飛沫が飛ばない歯磨き法を、ぜひ試してみてくださいね。



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