スマホ向けゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』(以下『ガルパ』)を手がける株式会社Craft Egg(クラフトエッグ)。「人生を豊かにするコンテンツをつくる」をビジョンに掲げ、ものづくりにこだわる新進気鋭のチームの代表取締役 森川修一氏、取締役 近藤 裕一郎氏、同じく取締役の村上 徹氏にインタビューを行いました。[取材・構成:森元行]

村上氏(写真左)、森川氏(写真中央)、近藤氏(写真右)
──まず、自己紹介をお願いいたします。

森川氏:新卒で人材系のベンチャー企業に入社し、ゲーム会社を経てからスマホゲームのコンサルや開発ディレクションを行う会社を立ち上げ、その後、2014年にCraft Eggを設立しました。

近藤氏:新卒でゲーム会社に入社し複数のスマートフォンゲームのプロデューサーやディレクターを担当した後、Craft Eggに参加しました。

村上氏: ゲーム会社に入社し、運用と新規のディレクターを行い、スマートフォンゲームのコンサル会社を立ち上げ、しばらくコンサルをしていましたが、森川がCraft Eggを設立するタイミングで声をかけてもらい立ち上げから参画しています。

──Craft Egg起ち上げの経緯を教えてください。

森川氏:Craft Eggは2014年5月にスマートフォンゲームの企画・開発をする会社として設立しました。設立のきっかけは、元々コンサル会社をしていた時代にサイバーエージェントのゲーム事業部に営業にいっていて。その時、こんなことをしていきたいという話をしていたら、意気投合したといいますか、それなら、一緒にサイバーエージェントで会社としてやってみないかという話になったんです。当時はひとりでやれることの限界も感じており、自社タイトルをつくりたいという思いもあったのでサイバーエージェントグループで会社を設立することになりました。

──3人は設立前から仲良しだったのでしょうか。


森川氏:前職時代に、村上とは最初に入ったプロジェクトが一緒でした。いろんなことを乗り越えてきたので仲良しというか信頼感はありましたね。近藤は、私たちが所属していた部署に新卒として入社してきて、勢いがありましたね。

──森川さんからCraft Eggの話をいただいたときはどう思いましたか?

村上氏:私も独立していて、ひとりで会社経営をしていく限界を感じていたのでいいタイミングだなと思いましたし、森川や紹介されたサイバーエージェントの人たちと一緒にやりたいなと感じたので是非!とお願いしました。

近藤氏:僕は純粋に面白そうだなと思って入りました(笑)。

──Craft Eggで働いているメンバーは何名くらいでしょうか。

森川氏:今は60名くらいで、開発・企画・シナリオ・デザイン・イラストなど、実際に運営に携わっているのが50人ぐらいですね。

近藤氏:『ガルパ』リリースのタイミングは、25名程度で、リリース後に、グループ会社からの異動などもあり人が増えましたね。

──Craft Egg起ち上げ当初の話をお願いします。

森川氏:最初は、2Dや3Dを使った、かわいさにこだわった女の子の青春を描くゲームをつくりたいと思っていました。ただ、当時の私たちの身の丈に合わない構想で開発時間もかなりかかることが想定されたので、まずは、できるだけ早くリリースできるものと考え、私と村上がプロデューサーをし、お互いに1本ずつグループ内のゲームエンジンを使ったスマートフォンゲームをリリースしました。


近藤氏:2本のタイトルをリリース後、私も何かプロデューサーとして開発するタイトルがないかと考えていました。そんな時、3Dの女の子が走るモックを見せていただいて、それに育成要素をプラスしたら面白いのではと1年かけてシステムを改修したのが『なないろランガールズ』でした。

──『なないろランガールズ』の感触はいかがでしたか?

森川氏:ぱっと触った時の感覚やゲーム性が話題になっている雰囲気はあったのですが、リリースすると必要な機能追加が山積みになってしまいました。アセットのボリュームも大きく、いいサイクルで次の手が打てなかったことは悔しい思い出ですね。

──良い経験になった部分は?

近藤氏:やってよかったと思うのは、メディアミックスに早めから挑戦した点です。Web広告や事前登録だけでなく、リアルな場でもお客様と接する機会を持ちたいと思っていてリアルイベントも積極的に行っていました。イベントを通じてお客様とリアルに接することで、お客様の顔が見え、今の会社の方針である「人生を豊かにするコンテンツをつくろう」につながりました。

森川氏:キャラクターコンテンツに対して、会社としてちゃんと向き合ったのは初めてだったのですが、その経験がいまに生きていると思います。

村上氏:ゲームの深さも勉強になりました。ユーザーさんに継続的に私たちのゲームで遊んでもらうために、時間などの対価に対して見合う体験を提供するためにはどうしたらいいか、などですね。

森川氏:あとは、身の丈に合わない技術は使わないとか。

──『ガルパ』は想定通りの立ち上がりでしたか?

森川氏:想定よりも多くのお客様に遊んでいただいて嬉しいですね。

──『ガルパ』の誕生秘話について教えてください。


森川氏:ブシロードさんから、『バンドリ!』というプロジェクトがあり、それをゲーム化したいというお話をいただきました。私たちからは是非やらせてくださいとお伝えし、開発が始まりました。

──リズムゲームがメインというのは当初の企画だったのでしょうか?

村上氏:リズムゲーム以外も候補はたくさんあり、2ヵ月ぐらい議論を重ねて現在の形になりました。

近藤氏:育成シミュレーションという案もあがりましたね。ただ、このコンテンツ内容をゲームにするのであれば、リズムゲームが一番合っているんじゃないかと最後は、シンプルに考えましたね。

──リズムゲームはレッドオーシャンだと感じていますが、いけると思った一番のポイントはなんでしょう。

近藤氏:アニサマ、東京ゲームショウ(TGS)という夏の大きなイベントを通して、「バンドリ!」が話題を生んでいったことやカバー曲の反応が良かったこと、イラストやLive2Dに高い評価をいただけたこともあって少しずつ、もしかしたらという気持ちが高まっていたのですが、本当に「いけるかもしれない」と感じたのは事前登録が始まってからですね。

森川氏: TGSでタイトルを発表したときのお客様からの反応は嬉しかったですね。

村上氏: TGSでLive2Dの自己紹介動画をお披露目したのですが、アンケートで目標の評価を超えなかったら中身を見直そうという気持ちでした。結果は大きく超えたため、いけるかもしれないと感じました。ゲームとして売上が出るか、というより魅力は感じてもらえたのではと思いましたね。

近藤氏:ただ、過去にいろんな失敗をしてきていたので、いまもまったく油断はしていないですね。

──IPタイトルの場合、多くの会社さんと関わって仕事をしますが連携はどうでしょうか?

森川氏:とても密にコミュニケーションを取らせていただいています。コンテンツの更新はもちろんなのですが、衣装のデザインだけを議論する打ち合わせや、楽曲の制作状況だけを話す打ち合わせなどの分科会も行わせていただいています。

──カバー楽曲が『ガルパ』のポイントですが、今後の追加楽曲の展開予定は?

近藤氏:カバー楽曲はユーザーの皆さんに楽しんでいただいているので継続して追加していきたいと思っています。コンテンツとして育てていくためにも、オリジナル曲とのバランスは保っていきたいと思っています。どちら側に傾いてもユーザーさんの期待には答えられないと思っています。

──いろいろなゲームの要素が組み合わせられている『ガルパ』ですが、ユーザーさんが一番楽しまれているのはどの要素ですか?


近藤氏:やはりリズムゲームパートを一番遊んでいただいていますね。アドベンチャーパートも親しまれていて、キャラクターを知ってもらうためという軸に絞って、内容をシンプルなものにしたからかなと考えています。

森川氏:カバー曲も本作のコンテンツの特徴のひとつとなっています。最初はカバー曲をプレイしていたユーザーさんも、だんだんとオリジナル曲もプレイしていただくようになり、リズムゲームとしてまずは楽しんでいただいているのかなと。そして、その中から、アドベンチャーパートを通して、キャラクターやストーリーにも興味を持ってくださり、最終的にはキャラクターコンテンツとして好きになってくださっているのかなと思います。

近藤氏:「バンドリ!」の原点であるライブコンテンツにカバー楽曲という大切なコンテンツがあるので、「ガルパ」で受け入れられているカバー楽曲もそういった背景があると考えています。

村上氏:最終的にはキャラクターに興味を持っていただきたいので、カバー楽曲もバンドのイメージを崩すものは入れないように、というのは考えていますね。

──リズムゲームとしてのゲームバランスはブラッシュアップしていく予定はありますか?

近藤氏:リズムゲームのUIは比較的遊びやすいものにはできているのかなと。譜面的な難しさについては、より幅広いお客様に楽しんでいただくために継続的に調整が必要だと思っています。

森川氏:いまは譜面チームもさらにつくり込めるようになってきたので、今後の楽曲も楽しみにしていてほしいです!

──Craft Eggとしての今後の展開を教えてください。

近藤氏:私たちは「人生を豊かにするコンテンツ」をつくりたいと思っています。『ガルパ』が大きなコンテンツとなり、なにか自分たちがするたびにリアクションを貰えるのはとても幸せなことで、チームメンバーも私たちも嬉しいです。こういうことをし続けられる会社でいたいですね。

森川氏:『ガルパ』は今後も大切に育てていきたいです。そして将来的には、Craft Eggが作るものは信頼して遊べるものだよねと感じてもらいたいと考えています。

近藤氏:Craft Eggのチームメンバーは、キャラクターやコンテンツのことが本当に好きな人が多いんです。ライブでサイリウムを全力で振っていたりCDを買ったりするなど、コンテンツ愛にあふれている会社ですね(笑)。アニメ上映会を会社で実施したりもしています。

森川氏:愛ゆえにたくさん意見を言い合って、デザインチーム、イラストチームなどそれぞれのチームごとに、チームが納得するものがいいものだという空気になっているので、それはどんどんそういった雰囲気にしていきたいと思っています。イラストレーターは毎日決まった時間になると歩き回って、お互いの絵を見せあったりもしています。

村上氏:とにかくアットホームな職場ですね(笑)。

──「Craft Egg(クラフトエッグ)」という社名の由来はなんですか?

森川氏:最初は「Craft(クラフト)=ものづくり」というワードが決まりました。「Egg(エッグ)」は語感と、新しい発見は大変だというコロンブスの卵からきています。新しい発見は大変だけど、ちゃんとやっていきたいという意味を込めています。

近藤氏:コンテンツを作る会社として、耳なじみのいいワードを考えていました。ちなみに、当初は「みかん」でしたね(笑)。

──最後に、会社としての思いをお願いします。

村上氏:私は、今組織の活性化に力を入れています。今まではリリースに向けてとにかく開発に集中していたので、こういう会社にしていこうというよりは、こういうゲーム、こういうサービスをつくりたいという話が多かったのですが、今後は、より強いチームにしていくために、メンバーの信頼関係や会社としての文化づくりをしていきたいと思っています。

近藤氏:今、多くのお客様のご意見をいただけるのは本当に嬉しいですね。今後もコンテンツが大好きなメンバーと多くの方に長く遊んでいただけるようなゲームづくりをしていきたいです。

森川氏:Craft Eggが大切にしているのは、ユーザーファーストであることです。お客様が求めていることをいい意味で裏切れるような、期待以上のコンテンツを提供していきたいですし、お客様に対する対応のスピードや質も上げていきたいと思っています。また、Craft Eggは、「みんなでつくる」という考え方を大切にしています。ひとりひとりが組織とプロダクトに当事者意識を持つことを文化として築き、いいサービスをつくり続けられる会社になりたいですね。

──ありがとうございました。


細部にまでとことんこだわりを持ってタイトル制作を行うCraft Egg。今後どのような驚きを世の中に提供していくのか、注目です。