※リアルの生物の写真が出てきます。苦手な方はご注意ください!</B>
『あつまれどうぶつの森(以下『あつ森』)』をプレイしはじめて数ヶ月…。スイッチを起動すれば島の発展そっちのけで虫採りや魚釣りばかりしています。
特に魚釣りではピラルクやジンベイザメ、マンボウといった大物も釣り上げられるようになってきましたよ……。
そしてついに!北半球でも僕の大好きなあの魚が出現する時期に突入!その魚とはコレ!!

▲ドーン!他の魚類とは一線を画す存在感!!
エイ!
えっ、かわいくない?怖い?気持ち悪い?いやいやいや…。かわいいし面白いしカッコいいんですよ!この魚は!
今日は『あつ森』に登場するエイについてその魅力を解説していきます。

あつ森に登場するエイは「アカエイ」!
まず、グラフィックについて製作陣をヨイショさせていただきたく。
エイに限った話ではありませんが、この魚に特有の質感や細部の特徴がよく表現されています。
「エイ」と一口にいっても世界にはその眷属が数多くの種類が存在しますが、このグラフィックを見る限り『あつ森』に登場するエイは「アカエイ」あるいはそれにごく近縁な種をモデルにしたものと断言できます。

▲ゲーム中では単に「エイ」とのみ表記されていますが……

▲裏側に注目!鮮やかな黄〜オレンジ色の縁取りが見られます
その根拠としては褐色でひし形の体。ゆるやかに尖る鼻先。尾びれを持たず先端にかけて徐々に細くなる尾と……後ほど詳細を述べますがその中程にある長いトゲ。そしてアカエイの名の由来になったとも言われる腹面の特徴的なオレンジ色の縁取りなどがあります。

▲コレがリアルのアカエイ!
なお、アカエイは本州四国九州の各地で豊富に産する、日本で最も目にしやすいエイです。『あつ森』世界でなくとも「エイといえばアカエイ!」と言っても過言でないかもしれません。おつまみの「エイヒレ」の原料になっているのも多くの場合アカエイですし。

食べられる!ワサビもおろせる!
アカエイは数あるエイの中でも比較的味がよく、先ほど触れたように干してエイヒレにされるほか、地域によっては煮つけや唐揚げ、煮こごりなどにして食べられています。

▲ユニークな外見ですがおいしいんです
また、いわゆる「鮫皮おろし」にもサメでなくアカエイの皮が使用されることがあるようです。鮫皮じゃないないか!嘘つき!と怒ってはいけません。実はサメとエイは同じ軟骨魚類に分類される、かなり縁の近い生物なのです。水中を泳ぎ回るサメが海底での生活に適応すべく進化し、姿を変えたのがエイというわけです。
つまりあの一風変わった平べったい体は海底生活に徹底特化したフォルムということです。うーん、こういうのを機能美っていうんじゃないでしょうか?

▲下半身はサメ、上半身はエイなサカタザメという魚。コレはエラがお腹側に開いているから分類学的にはエイ!名前にサメってつくけどエイなんです!
▲こちらは一見するとエイっぽいけど分類学的にはサメなカスザメくん。ね?サメとエイって紙一重でしょ?
実を言うと両者の分類学的な区別点は「エラの穴がお腹側に開いているか体側に開いているか」の違いでしかないのです。
つまり何が言いたいかというと…サメもエイも大差ないから鮫皮おろしにエイが使われててもいいじゃん!ってことです。実際、アカエイ皮でワサビをおろすときめ細やかで美味しいんですよ。
んー、どうです?人間の役にも立つ素晴らしい魚でしょう!!

毒針に注意!
しかし!その一方で、多くの漁師さんや釣り人からはあまり好まれていないという面もあります。
食用にはなるが値段が安い、漁獲後の処理や調理がちょっと大変といった実用性に関する問題もありますが、何よりの原因はコレ。

▲尻尾に毒針が!
そう、尻尾に毒針があるのです。その数は個体によってまちまちで、一本しか持たないものも大小複数持つものもいます。
いずれにせよ刺されたり引っ掻かれたりすると毒液を塗り込まれ、患部は炎症や壊死を起こします。
症状はかなり重いようで、大人でも激痛で身動きが取れなくなるほどだとか。海水浴や水遊びの際はうっかり踏んづけないように、あるいは釣れてしまったら針を外す際に尾で叩かれないよう十分に気をつけましょう。

もちろん、エイにしてみれば自衛なわけで、わざわざ彼らの方から人を刺しに向かってくるようなことはありません。
でも「毒がある」とか「危険」って裏を返せば「強い!」「特殊能力持っててカッコいい!」ってことになると思いません?
どうでしょう?『あつ森』では他の巨大魚たちの陰に隠れがちなエイのよさ、ちょっとは伝わりましたかね。なんとなくわかったって人は水族館へゴー!そしてエイ皮でワサビおろしてエイヒレ食べながら『あつ森』でエイを釣りましょう!あ、ゲーム内でのエイの挙動にも注目!ピラピラしててかわいいですよ。


『あつ森』博物誌バックナンバー

■著者紹介:平坂寛
Webメディアや書籍、TV等で生き物の魅力を語る生物ライター。生き物を“五感で楽しむ”ことを信条に、国内・国外問わず様々な生物を捕獲・調査している。現在は「公益財団法人 黒潮生物研究所」の客員研究員として深海魚の研究にも取り組んでいる。著書に「食ったらヤバいいきもの(主婦と生活社)」「外来魚のレシピ(地人書館)」など。
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