さまざまなゲームに登場するボスキャラの魅力をあらためて掘り下げる連載「僕らのボスキャラ列伝」。第17回は『ファイナルファンタジーII』の皇帝を紹介します。
「地獄すら支配した私を倒すことはできん!」
1988年にファミコンで発売された『ファイナルファンタジーII(FFII)』。ラスボスであるパラメキア帝国の皇帝は、世界征服の野望を持つ支配者です。

地獄から召喚したモンスターたちを率いて世界各国に軍事侵攻を開始すると、ディスト王国とカシュオーン王国はほどなく滅亡。残るフィン王国も城を落とされ、命からがらアルテアの町に逃げのびたヒルダ王女たちも「反乱軍」の烙印を押されてしまいます。

フィン王国に住んでいたフリオニール、マリア、ガイは、マリアの兄・レオンハルトとの戦火での別れを乗り越えて立ち上がり、ついにはパラメキア城に乗り込んで皇帝を討ちますが、一度倒れた皇帝はさらに強大な力を持って地獄から蘇るのでした。

皇帝は『FF』おなじみの魔法・メテオの前身といえそうな全体攻撃の「いんせき」や、フレアー、スロウ、カーズ、ブラインなどの各種攻撃/状態異常魔法など多彩な攻撃をしてくる強敵ですが、彼を一番強く印象付けたのは、こちらの勝利後に聞かせてくれる「ウボァー!」という断末魔です。

プレイヤーたちの間では「吐血しながら悲鳴をあげている描写なのでは?」などという推測もされましたが、そのあまりのインパクトに、この「ウボァー」が皇帝の代名詞となったのでした。ちなみに、ファミコン版は「ウボァー」であり、末尾に「!」が付かなかったので、後年の移植版よりもさらにシュールでした。

また、一見弱そうに見えるブラッドソードの隠れた強さ(攻撃力0だが、1ヒットするごとに敵の最大HPの1/16のダメージを与える=累計16ヒットさせればどんな敵も倒せる)が判明すると皇帝がブラッドソードで瞬殺される光景もよく見られるようになり、そんなところでも(ある意味で)キャラが立ちました。

ボイス実装やサイドストーリーで深まったキャラクタ―描写
そんな本作の発売からちょうど20年後となる2008年。PSPで『FF』シリーズのクロスオーバー3Dアクションゲーム『ディシディア ファイナルファンタジー』が発売されました。『FFII』からは主人公のフリオニールのほかに皇帝が参戦しており、キャストは『メタルギアソリッド』シリーズの雷電役でおなじみの堀内賢雄さんでした。

この作品で皇帝が負けると堀内さんが迫真の演技で「ウボァー!」と悲鳴をあげてくれるので「実際に発音するとこうなるのか!」、「よくぞやってくれました!」などと思いながら(そしてその熱演に思わず笑いながら)プレイしたのを覚えています。

また、GBA(ゲームボーイアドバンス)とPSPで発売された『FFII』の移植版には、本編で散っていったミンウ、スコット、ヨーゼフ、リチャードの4人が死後に歩んだ旅路と戦いを描くサイドストーリー「Soul of Re-birth」が収録されました。

そのラストダンジョンである天界の宮殿アラボトで4人を待っていたのは、神々しい雰囲気をまとう皇帝でした。彼は、フリオニールたちに一度倒されて地獄に落ちた際に善い心と悪い心が分かれたのだと話し出しますが、そんな善の皇帝と相対した4人の反応とは…?

男4人パーティーという汗くささ(?)や、皇帝の掘り下げが行われているところが好きだったのですが、残念ながら『FFII ピクセルリマスター』には収録されませんでした。皇帝が長年の間にさまざまな形で掘り下げられたことを振り返れるよう、「Soul of Re-birth」も気軽に遊べるようにならないかなと願うばかりです。