▼漫画にも「甲子園」があるとは知らなかったが、26回を数える。高田高校は残念だったが、今年は台湾の高校が決勝に残り、優勝は韓国の高校。日本の漫画文化もますます国際的だ▼テレビドラマも漫画原作が増えた。いつぞや演出家の蜷川幸雄が若手の人気俳優二人とのテレビのトーク番組で「漫画が原作だと創造の範囲が制約されないか」という趣旨の発言をし、二人は否定していた▼蜷川発言は、漫画を読むと頭が悪くなると親や教師に言われ、強烈な後ろめたさで隠れて熱中した世代としては我が意を得たり。コマとコマとの間にも創造の翼をいっぱい広げていたから、のちアニメになった作品をテレビで見ると、迫力不足で物足りない。小説に比べ漫画は創造力を固定させるという小言が、アニメとの対比で実感できた▼加藤芳郎が、漫画は自作の『まっぴら君』だけにして学生は文学作品を読めと言ったのも、漫画より活字の方が上等という世間の常識が背景にあったからか。医学博士だった手塚治虫の代表作がロボットや永遠の生命。漫画の発想に漫画以外の教養が大事という考えもあったに違いない▼内村航平選手は、体操漫画の技をどうすれば実現できるか工夫した。サッカー漫画『キャプテン翼』が多くのプロ選手に与えた影響は大きい。スポーツ界だけでなく、歴史も科学も、漫画は今や学問の入門書の役割を果たしている▼端緒が活字であれ漫画であれ、人間の創造力はそこから無限に羽ばたくものには違いないが、似て非なる微妙な感覚があることまでは、古い世代としては捨てきれずにいる。