突然の舌のしびれを感じたとき、誰もが驚くでしょう。この原因は、今世界中に蔓延している新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の影響なのか、それとも脳梗塞など大きな病気の予兆なのか、原因がわからないからこそ大きな悩みとなりがちです。

そこで今回は、舌のしびれの原因について考えられる病気と適切な対処法について解説します。

実は発症頻度が高い「舌のしびれ」症状

「舌のしびれ」と聞くと、何か重病が隠れているように思えて恐ろしくなるでしょう。しかし実は、舌のしびれは発症頻度が高く、多くの人が経験しています。舌は、食べ物の味を感じる受容器であるだけでなく、咀嚼・嚥下、言葉を話すなど、生きるために不可欠な器官です。

絶えず刺激を受けている分トラブルも起こりやすいといえるでしょう。舌のしびれや痛み、腫れなどは単なるマイナートラブルであることも多いのですが、中には大きな病気の予兆であるケースもあります。

舌のしびれの原因

舌のしびれの原因は、病気だったり、生活習慣が影響していたり様々です。舌のしびれが頻発したり、慢性的だったりするなら甘く見てはいけません。何日たっても症状が改善しない場合は、その原因を探って対処法を考えることが大切です。

●舌のしびれの原因となる病気

まずは、舌のしびれの原因として考えられる病気について解説します。

帯状疱疹

帯状疱疹は、体内に潜む水痘・帯状疱疹ウイルスが再び活性化することで発症するものです。

ピリピリとしたかゆみや痛みを伴い、発症部分には熱さを感じます。

再活性化のきっかけは、ストレスや疲れなどで免疫が弱ることにあり、顔面や背中、お腹など、人によっていろいろな場所に現れます。

この帯状疱疹は口腔内に起こることも多く、舌のしびれを感じることもあります。

舌痛症

舌痛症とは、字のごとく、舌の痛みやピリピリとしたしびれのある感覚が主な症状の疾患です。1日に2時間以上、3カ月以上にわたって常に違和感があることが診断基準で、特に更年期を迎える中高年の女性に多く発症すると言われています。

舌痛症は、見た目に病変がなく感覚だけに異常があることが特徴で、亜鉛の欠乏による味覚異常を併発している場合もあります。いまだはっきりとした原因が解明されていないため、一般的には症状緩和のため薬物治療が行われます。

口内炎

口内炎は、歯茎や頬の内側などの粘膜に炎症が起こる病気です。免疫力低下や刺激、ウイルスなど、さまざまな影響で口腔内にできものや潰瘍ができ、多くの場合で痛みを伴います。

口内炎が舌の近くにできると、痛みとともにしびれたような感じを覚えることがあります。

神経痛

舌のしびれを引き起こす神経痛には、三叉神経痛や舌咽神経痛があり、こういった神経痛による舌のしびれの症状には、電気が走るような感覚を伴うと言われています。

神経痛による舌のしびれは、顔や舌の動きをつかさどる神経が、脳を通る血管や腫瘍など何らかの原因で圧迫されていることが原因です。

三叉神経が影響を受けている場合は、舌だけでなく顔面にもしびれを感じることが多いです。

舌がん

舌のしびれは、舌癌の症状である場合もあります。舌癌になると、舌粘膜のただれなどの炎症に始まり、進行すると舌のしびれや麻痺が起こることがあります。

脳の病気

脳梗塞や脳出血など、脳に何らかの病気がある場合、症状として舌のしびれが現れることがあります。また稀に、ヘルペスウイルスなど、何らかのウイルスが脳に入り込み、神経系に異常をきたすことで舌がしびれることもあります。頭痛や嘔吐、めまいなどの症状を伴う場合は、脳の病気が原因であることが多いので注意が必要です。

アレルギー・食中毒

パイン、キウイ、たけのこなど酵素の強いものや、きゅうり、もも、りんごなどに食物アレルギーがある場合には、舌のしびれを感じることがあります。

これらは時間が経てば大抵治まるので、放っておいて大丈夫ですが、蕁麻疹や腫れが出た場合は受診が必要です。

食中毒で舌がしびれることもあります。消費期限などはこまめにチェックしておくようにしましょう。

舌のしびれの原因となる生活習慣

舌のしびれの原因には、生活習慣も大きくかかわっています。予防のためには、健康的な生活習慣が大切です。

ストレス

「ストレスは万病のもと」といわれるように、体だけでなく心にも悪い影響を及ぼします。

過剰なストレスは自律神経を乱して体の免疫力を低下させ、あらゆる病気の引き金となり得るものです。

予防のためにも、ストレスを解消できる方法を見つけ、ストレスをためないための生活を心がけるといいでしょう。

水分不足・薬の副作用などによる口腔内の乾燥

水分不足になると唾液が少なくなり、口の中が乾燥しやすくなります。すると、舌は干上がった大地のようになり、舌や喉の痛みなどと共にしびれるような感覚を覚えることがあります。特に、年を重ねると体には水分量が不足しがちになるので注意が必要です。

加齢によって口の周りの筋力が低下したり、口呼吸だったりする人も、口腔内が乾燥しやすいと言えます。

また、睡眠導入剤などの薬の副作用によっても口腔内が乾燥することがあります。たとえ喉が渇いていなくても、こまめに水分補給をするなど予防を心がけましょう。

舌のしびれが起きたときの対処法

舌の痺れが起きたとき、いち早く受診した方がいいのか、それとも少し様子を見た方がいいのか、どのように対処すればいいのか迷ってしまう人は多いでしょう。実際に舌の痺れが起きたとき、どのように対処すれば良いのでしょうか。

異常を感じたらまずは受診

舌の痺れは、場合によって重病の予兆であることもあります。原因となることが数多く考えられるため、素人では見分けがつきにくいでしょう。自己判断をすることは、かえって症状悪化や病状を進行させてしまうことがあるので注意が必要です。

「大した痺れじゃないから大丈夫」と自己判断せず、舌の痺れを感じたらすぐに医師の診察を受けることをおすすめします。

生活習慣の見直し

舌の痺れを予防するには、規則正しい生活で体調を整えておくことが大切です。生活リズムが不規則だったり、食事の栄養バランスが偏っていたりすると、心身に支障をきたすようになります。

すると自律神経のバランスが崩れて免疫力が低下し、ウイルス感染や病気にかかりやすくなってしまいます。

早寝早起きで体のリズムを整え、十分に栄養を摂ってしっかり寝ることは、病気を予防するためにもとても効果的です。

舌のしびれのよくある疑問


舌のしびれは何科を受診すべき?

舌のしびれで何科を受診するか迷ったときは、舌のしびれ以外にある症状で判断しましょう。

舌のしびれや腫れ、痛みなど、主に症状が口腔内にあるときは、口腔外科を受診することがおすすめです。口腔外科は、歯科に併設されていることが多く、ほかに耳鼻咽喉科でも診てもらえる場合もあります。

舌のしびれ以外に、頭痛やめまい、手足のしびれなど症状がある場合は、内科や脳神経内科へ。ろれつが回らないなど明らかにいつもと様子が違うようなら、直ちに病院に行きましょう。

舌のしびれはコロナ感染の可能性もある?

新型コロナによる口腔内の主な症状は、味がしないなどの味覚の異常です。舌の腫れや痛みが出ることもありますが、舌の痺れというのはあまり当てはまらず、新型コロナの初期症状や後遺症としてもほとんどないと言われています。

舌のしびれだけの場合、舌痛症や神経症を疑った方いいでしょう。

もし味覚の喪失・異常が現れても、舌のしびれが一緒にあるなら、新型コロナウイルス感染症ではない可能性が高いと言えます。

コロナワクチンの副作用では舌の痺れを感じる人も

2021年3月に出された厚生労働省の報告書によると、コロナワクチンの注射後、副作用としてアナフィラキシーを起こした人の中には、舌の痺れを感じる人がいるとされています。ただしこれは、副作用のあるすべての人に起こるものではありません。

まとめ:舌のしびれを甘く見ない!受診して医師に相談を

舌のしびれには様々な原因があり、ひとつに断定することができません。マイナートラブルであることもありますが、重病である可能性も否めません。病気の早期発見につながることもあるので、舌のしびれを感じたらまずは医師の診察を受けましょう。

舌のしびれを予防するには、健康であることが何より大切です。そのためにも規則正しく栄養バランスのとれた食事を摂り、心と体に過度な負担をかけることのないライフスタイルを心がけましょう。