「生理痛は痛いのが当たり前」と我慢している女性は多いですが、日常生活に支障をきたす場合は月経困難症かもしれません。月経困難症は現代女性の約7割に発症するといわれていますが、子宮や卵巣の病気が原因となっているケースもあるため注意が必要です。

今回は生理痛が重い場合の症状や原因、病院を受診すべきケースについて解説します。

■生理痛が重いときの基準と症状

生理痛の痛みの感じ方には個人差がありますが、ここでは生理痛が重いときの基準や症状について解説します。

◇月経困難症の基準

「生理痛はあるのが当たり前」と思われがちですが、痛みがあっても我慢できる程度であることが一般的です。そのため、日常生活に支障をきたすほど生理痛が重い場合は「月経困難症」と診断されます。

月経困難症は病気がなくても起こる「機能性月経困難症」と、病気が原因で起こる「器質性月経困難症」の2種類があります。

・機能性月経困難症 
【年齢】 
10〜20代前半 

【原因】
プロスタグランジンの分泌量が多い ・血行の悪さ、冷え、ストレス ・子宮の入口が狭い ・子宮の過収縮 ・子宮や卵巣が未成熟 など

【痛みが起こる時期】
月経1〜2日目

【痛みの性質】
周期性

・器質性月経困難症
【年齢】
20代後半以降

【原因】
子宮内膜症 ・子宮筋腫 ・チョコレート嚢胞 ・子宮腺筋症 など

【痛みが起こる時期】
月経1〜2日目

【痛みの性質】
持続性

◇生理痛が重い場合の症状

生理痛が重いだけでなく以下のような症状がある場合、月経困難症の可能性があります。

・学校や仕事に行けないほど生理痛が重い 
・生理中に吐き気を催すことがある 
・生理が来るたびに鎮痛剤を服用している 
・生理痛が毎回悪化している 
・我慢できないほど強い眠気に襲われる 
・生理中以外も背中や腰に痛みを感じる 
・貧血や頭痛、食欲不振がある 
・自分でコントロールできないほどイライラする 

上記のような症状がある場合は子宮や卵巣の病気が隠れている可能性もあるので、痛みを我慢せず産婦人科や婦人科を受診しましょう。

■生理痛が重い原因として考えられる病気

日常生活が困難なほど生理痛が重い場合、以下のような病気が原因となっていることがあります。

◇子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)

子宮筋腫は子宮にできる良性腫瘍で、30代後半〜40代の女性に多くみられるのが特徴です。

卵巣から分泌される女性ホルモンによって大きくなるといわれていて、腫瘍ができる場所や大きさ、症状は人によってさまざまです。

悪性腫瘍に変わることはほとんどありませんが、不妊の原因となることがあります。

症状としては生理痛が重いほか、経血量の増加や不正出血、貧血、頻尿、腰痛などが挙げられます。

◇子宮内膜症

子宮内膜症は子宮の内側以外の場所(腹膜や卵巣など)に子宮内膜と同じような組織ができる病気です。

20〜40代に多くみられ、生理がある女性の10人に1人が発症するといわれています。

良性の病気のため命に関わることはほとんどありませんが、不妊の原因のひとつと考えられています。

子宮内膜症になると毎回生理痛が重くなるほか不正出血や腰痛、性交痛、排便痛、過多月経といった症状があらわれます。

◇チョコレート嚢胞(のうほう)

チョコレート嚢胞(卵巣子宮内膜症性嚢胞)とは、通常は子宮の内側にある子宮内膜が卵巣にできることで起こる子宮内膜症の一種です。ほとんどの場合は良性ですが、不妊症や卵巣がんの原因となることがあるので注意が必要です。

チョコレート嚢胞は20〜30代に多くみられ、月経のたびに生理痛がどんどん重くなります。そのほか便通異常や下血、腰痛、性交痛などの症状が出ることがあります。

◇子宮腺筋症

子宮腺筋症とは、子宮内膜と同じような組織が子宮の筋肉内にできることで起こる病気です。

子宮腺筋症を発症した女性は子宮筋腫や子宮内膜症を合併していることもあるため、MRIを用いて診断されます。

生理痛が重い・量が増えるほか、貧血や腰痛、生理中以外の腰痛、排便通、性交痛といった症状が出ることが特徴です。

■病気以外で生理痛が重い場合の要因

病気以外で生理痛が重い「機能性月経困難症」の場合は、以下のような要因が考えられます。

◇ストレス

ストレス過多によりホルモンや自律神経のバランスが崩れると、血行が悪くなり生理痛が重くなることがあります。

仕事や人間関係など精神的なストレスが原因になるほか、激しい運動などの身体的なストレスが生理痛の悪化につながることもあります。

「生理痛が重い」という悩みや不安自体をストレスに感じるとさらに症状が重くなるため、生理中はできるだけゆったり過ごすことが大切です。

◇運動不足や冷え

運動不足で脂肪が燃焼されないと体温が上がりにくくなるだけでなく、血行が悪化して全身が冷えやすくなります。

子宮が冷えると子宮内がうっ血しやすくなり、生理痛が重くなる原因となってしまいます。

つらい生理中に運動することは難しいので、日頃から簡単なストレッチやヨガなど無理のない運動習慣を身につけ、冷えを予防することが大切です。

◇プロスタグランジンの過剰分泌

生理中に子宮から経血を排出させる際、子宮を収縮させる働きがある「プロスタグランジン」という物質が分泌されます。

プロスタグランジンの分泌量は体質が関係していますが、分泌量が多い人は子宮の収縮が強くなるため、生理痛が重くなる傾向があります。

◇子宮や卵巣が未成熟

初潮から20代半ばくらいまでの女性は、子宮や卵巣が未成熟であることが原因で生理痛が重くなることがあります。

子宮口が未熟で狭いと経血をスムーズに排出できず、子宮が強く収縮して無理に経血を排出しようとするため強い痛みを感じます。

■中学生・高校生の生理痛が重い場合も注意が必要

子宮や卵巣が未成熟な中学生や高校生は生理痛が重くなることはよくありますが、日常生活に支障をきたすなら月経困難症の可能性があります。

中高生の場合は特に病気がなくても生理痛が重くなる「機能性月経困難症」であることが多いですが、油断は禁物です。

思春期に月経困難症を経験すると、通常に比べて2.6倍子宮内膜症になりやすいことが分かっています。

そのため、中学生や高校生も月経困難症が疑われる場合は医療機関を受診しましょう。

■生理痛が重いときの対処法

特に病気がなくても体質等が原因で生理痛が重い場合は、以下の対処法を行うことで症状が軽減することがあります。

◇痛み止めの服用(市販薬でもOK)


生理痛を感じたら、我慢せず早めに痛み止めを服用しましょう。

市販の鎮痛薬でも問題ありませんが、痛みの原因となるプロスタグランジンを抑制する「プロスタグランジン合成阻止剤」を選ぶのがおすすめです。

体質などによってプロスタグランジンが過剰分泌されると生理痛が重くなりますが、鎮痛剤によってプロスタグランジンの発生が抑制されると痛みが弱まります。

しかし、すでにプロスタグランジンが大量発生していると抑制効果が出づらくなってしまうので、生理痛を感じたら早めに鎮痛剤を服用するようにしましょう。

◇ピルの服用


避妊薬として知られているピルは女性ホルモンの「エストロゲン」と「プロゲステロン」を配合したものです。

一時的に排卵をストップさせたり子宮内膜の増殖を抑えられるほか、生理痛を和らげたり経血量を減らす効果もあります。

◇漢方の服用


漢方薬は自然界にある植物や鉱物などの生薬を複数組み合わせて作られた薬で、病気に対してではなく体質や状態に対して処方されます。

自分の体質に合う漢方を服用すれば血行が良くなったり体質が改善し、生理痛を軽減させることが可能です。

生理痛に効果がある漢方としては桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)や当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などがありますが、婦人科で保険適用でも処方可能です。

◇ホルモン療法


子宮内膜症によって生理痛が重い場合は、内膜症自体を縮小させる方法として以下のようなホルモン療法もあります。

 疑似的に閉経のようなホルモン状態を作り出す「偽閉経療法」 子宮内膜症や子宮腺筋症の病巣を縮小させる「黄体ホルモン療法」

■日常生活に差し支えるほど生理痛が重い場合は医療機関の受診を


日常生活に差し支えるほど生理痛が重かったり、生理痛以外にも腰痛や排便痛がある場合は子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が隠れている場合もあるので注意が必要です。

「生理痛は起こるのが当たり前」と思わず、症状がつらい場合は無理をせず医療機関を受診しましょう。