血尿、「一回だけ」なら心配いらない?
血尿が出たけれど、1回だけだったからといって放置していませんか?実は血尿は病気のサインである可能性が高いです。
◇「一回だけなら大丈夫」は危険血尿が1回出たけれど、その後は普通に戻ったからと言って放置していませんか。目に見えて赤いと分かる尿が出た場合、1回でも病気のサインかもしれません。一度泌尿器科や腎臓内科を受診し、精密検査を行うことをおすすめします。もし、近くになければ一般内科でも簡単な検査は可能で、必要に応じて専門病院を紹介してもらうことも可能です。
◇血尿=ストレス・疲れが原因の勘違い血尿が出た原因は一時的なストレスや疲れだという認識もありますが、実は間違っています。ストレスは血尿の直接の原因とはなりません。ただし、ストレスや疲れがたまると、自律神経が乱れて免疫力が低下することで、尿路感染症を発症しやすくはなります。
血尿の原因となるもの
血尿が出た場合、考えられる原因の病気について紹介します。
◇尿路感染症尿路感染症とは、尿路に細菌が感染し炎症を起こしている状態で、感染した場所によって膀胱炎と腎盂腎炎と分類されます。血尿以外の症状は、膀胱炎だと尿をする時に痛みを感じる・尿をした後も尿が膀胱に残っている感じがする・尿が近い・尿が濁るなどの症状です。
一方、腎盂腎炎では背骨の左右にある腎臓に痛みがあり、38℃以上の高熱が出ます。治療は主に抗菌薬を服用し、なるべく細菌を体外へ排出するために、いつもよりも多めに水分を取るよう心がけましょう。
◇膀胱がん膀胱がんとは、膀胱にできるがんです。血尿が出た方の15%程度の方が膀胱がんで、意外と高い確率です。初期症状として1,2回の血尿が出ますが、その後症状はいったん落ち着きます。
その半年後に血尿が本格的に出始めてから医療機関を受診される方が多いですが、症状は進行してしまっている場合もあります。1,2回の血尿が出た段階で医療機関を受診して、膀胱がんを早期発見しましょう。
◇前立腺肥大症前立腺肥大症とは、男性特有の臓器である前立腺が肥大する病気です。前立腺が肥大すると、尿道を圧迫し、排尿時に痛みがあったり、残尿を感じたりします。
50歳ごろから加齢と共に発症しやすくなり、50歳男性では2〜3割、80歳男性では8〜9割の方が発症すると言われています。初期の前立腺肥大症では治療の必要がありませんが、症状が進行すると薬物療法で尿を出やすくしたり手術で肥大した前立腺を切除したりします。
◇尿路結石尿路結石とは、尿の通り道である腎臓・膀胱・尿道に結石ができる病気です。結石は尿中に含まれるカルシウムやシュウ酸などが結晶化して作られます。結石が尿路を塞ぐと背中や下腹部に激しい痛みがあります。
小さい結石であれば、痛みを伴いながら尿と共に排出されます。一方結石が大きくなってしまった場合は、薬物療法か体の外側から衝撃を与えて石を砕く手術を行います。
◇泌尿器科がん泌尿器科がんとは、腎細胞がん・前立腺がん・尿管がんなどを総称したがんです。どのがんでも、尿の出づらさや残尿感などの症状が出ます。
◇原因不明の血尿も多い実は、血尿が出て検査を行っても原因が分からない場合もあります。「特発性腎出血」と呼び、特に治療を行う必要がありません。
◇子供の血尿は原因を特定しにくい特に子供の場合は大人よりも血尿の原因を特定しにくいと言われています。子供の血尿の原因で最も問題となるのは糸球体腎炎という病気です。なぜなら、糸球体腎炎は早期に発見・治療を行うことで腎機能の悪化を防ぐことができるからです。
ただし、血尿と言っても肉眼で分かるレベルではなく顕微鏡検査で分かる程度であれば、腎機能が低下しているとは言えません。定期的に検査を行い血尿が悪化していないか、蛋白尿が出ていないかを確認して経過観察を行っていきましょう。
まとめ:血尿が一回だけでも出たら病院へ
血尿が出たけれど、1回だけだったから大丈夫とは言えません。膀胱炎やがんなどの可能性があり、なるべく早い検査を行うことが重要です。泌尿器科や腎臓内科を受診してくださいね。