特に10代から20代の女性に多い拒食症は、単に「食欲がないから食べない」というわけではなく、精神的な問題が関係している複雑な病気です。本記事では拒食症の主な症状や原因、拒食症になりやすい人の特徴などを詳しく解説します。「病院は何科?」「重症化するとどうなる?」といった疑問にもお答えしていくので、ぜひ参考にしてください。

拒食症(神経性やせ症)とは?主な症状や原因

拒食症は摂食障害の1つで、体重が増えることへの強い不安や恐怖心から食事を拒否するようになり、極端に痩せてしまう病気です。正式な診断名は神経性やせ症、または神経性無食欲症、英語ではAnorexia Nervosa(アノレクシア・ナーボウサ)と言います。

自分の体型に対する認知の歪みから、どんなに痩せていても「太っている」と感じてしまうことがあり、自分が病気だと認めないケースも少なくありません。

拒食症の原因としては、ストレスや対人関係の悩み、家族間の問題、自己肯定感の低さ、痩せている方が美しいという思い込み、体型を理由にいじめられた経験などが挙げられます。

ただ、上記以外にも社会・文化的要因や心理的要因、生物学的要因などが複雑に絡み合って発症すると考えられるため、1つの事柄が原因で起こっているとは限りません。

拒食症になりやすい人とは?

拒食症の発症には、生まれつきの性格や育ってきた環境などが関係しているとも言われています。特に下記の項目に当てはまる人は、拒食症になる可能性が高いタイプです。

□自分に自信がない  
□傷つきやすく繊細  
□まじめで完璧主義  
□自己愛が強い  
□周囲の評価を過剰に気にする  
□容姿へのこだわりが強い  
□体型を理由にからかわれた経験がある  
□家族との仲が悪い  
□両親から過度に期待されている  
□ダイエットに成功して褒められた経験がある 

どこからが拒食症?自己チェックリスト

この章では、どこからが拒食症なのかを確認するためのセルフチェック項目を紹介します。「もしかして拒食症かも?」と気になっている人は、早速チェックしていきましょう。

【拒食症セルフチェック】

□食べて体重が増えることへの強い不安や恐怖心がある  
□適正体重の下限を下回っていても自分が痩せていると思えない  
□極端な食事制限に加えて無気力・抑うつ状態が見られる  
□痩せた状態を維持することでのみ自分を肯定できる  
□無月経や低体温、貧血などの症状がある 

上記の項目に複数当てはまる場合、拒食症を引き起こしている可能性が高いと言えます。

また、適正体重の目安は身長と体重から算出される「BMI」という体格指数を指標にしましょう。計算式は下記の通りです。

BMI=体重kg÷ (身長m)2

日本肥満学会ではBMI18.5〜25未満を普通体重、18.5未満を低体重としています。もしBMI18.5を下回っているにもかかわらず、自分のことを「太っている」と感じている場合は、認識が歪んでいると自覚しましょう。

拒食症に関するよくある疑問

ここからは、拒食症に関するよくある疑問にお答えしていきます。

◇拒食症が重症化するとどうなる?

拒食症によって極端に体重が減少すると低栄養になり、低血糖や低体温、心拍数低下、貧血、無月経、消化器官の運動低下、下肢のむくみ、骨粗しょう症などを引き起こします。

さらに重症化すると腎機能障害、脳の萎縮、アルコールや薬物への依存、人格障害、自傷行為、自殺行為などにつながるケースも珍しくありません。

拒食症の場合、本人が病気だと認めずなかなか治療を始められないことがありますが、極端な低栄養状態が続くと死に至る可能性があるので注意が必要です。

◇拒食症で病院を受診するときは何科に行くべき?

拒食症をはじめとした摂食障害は、心の問題や悩みなどが関係しているケースが多いため、精神科や心療内科を受診するのがおすすめです。

ただし、精神科や心療内科を受診することに抵抗がある場合は、まずはかかりつけの内科医などに相談するのも1つの手。女性で無月経などの月経異常が見られる場合は、婦人科も併せて受診すると良いでしょう。

◇拒食症の場合、体重何キロで入院が必要になる?BMIは?

拒食症の影響で極端な低体重になっている場合は、入院して治療を行うケースがあります。日本摂食障害学会が監修する「摂食治療ガイドライン」によると、入院が適応される体重の目安は下記の通りです。

□BMI14以下  
□標準体重の65%以下  
□身長にかかわらず体重30kg以下 

また、下記のように深刻な身体症状が現れている場合も入院が必要になります。

□歩行障害  
□低血糖発作  
□重度の低血圧  
□重度の徐脈(脈が遅い)  
□感染症、腎不全、不整脈、心不全などの合併症 

◇拒食症で亡くなった有名人はいる?

ロサンゼルス出身の兄妹ポップ・ミュージック・デュオ「The Carpenters」の妹カレン・カーペンターは、拒食症に起因する急性心不全のため亡くなっています。

カレンの死により、自らの摂食障害を公表する有名人も現れ、それまであまり知られていなかった拒食症や過食症について、大衆に広く知られるようになったと言われています。

◇母親や父親の遺伝が原因で拒食症になることもある?

拒食症が発症する原因はさまざまなことが絡み合っており、その中の1つとして遺伝的な要因が関係している場合もあると考えられます。

ただし、母親や父親が拒食症だとしても、必ずしもその子供が拒食症になるとは限りません。

◇子供が拒食症になったらどうするべき?

子供に拒食症の傾向が見られた場合、親はなるべく早く気づき早期に治療をスタートさせることが望ましいです。

朝食を食べなくなった、家族との食事を避けるようになった、食後は頻繁にトイレに行く、体型がわかりづらい服を着るようになる、などの行動が増えたら拒食症を疑いましょう。

ただし、「ちゃんと食べなさい」という声掛けは逆効果になることもあるため注意してください。子供の気持ちにそっと寄り添い、話し合ったうえで病院を受診するよう促しましょう。

◇回復期に拒食から過食(食べ過ぎ)に転じて激太りすることはある?

拒食症の治療が始まり回復期に入ると、まずは代謝が良くなり、食後の心拍数の上昇、汗をかきやすくなる、一時的に皮膚がむけるなどの症状が現れる場合があります。

また、拒食症だった人が食事をとるようになると、筋力の低下で下がっていた胃や腸が前に出てお腹が出て見えたり、一時的に過食気味になったりすることも少なくありません。

「太りたくない」という不安に駆られてしまうかもしれませんが、そんなときこそバランスのとれた食事をきちんと食べることが大切です。規則正しい食事は、過食を防ぐことにつながります。

拒食症を自力で改善する方法とは?

拒食症を治す・寛解するためには、基本的には医療機関による食事指導や生活指導、心理療法、薬物療法などが必要になるケースがほとんどです。

ただ、「自分は拒食症かもしれない」という自覚があっても、精神科や心療内科への受診をためらっている人も少なくありません。

ここからは拒食症を自力で改善するためのアドバイスを5つお伝えしていくので、1人で悩みを抱えている人はぜひ参考にしてください。

◇方法1:自分を責めずに病気であることを認める

拒食症の人は、どんなに痩せていても「太っているから痩せたい」と思い込んでしまう傾向があり、自分が病気だとなかなか認められないケースも少なくありません。

拒食症を治していくためには、まずは「太ってはダメ」と自分を責めるのをやめ、「自分が太っていると思ってしまうのは病気のせい」だと認識することが大切です。

◇方法2:信頼できる誰かに相談する

拒食症の症状は「やめよう」と思ってスパッとやめられるものでもなく、一進一退を繰り返しながら長い時間をかけて徐々に良くなっていくものです。

だからこそ拒食症を克服するためには、周囲の人の支えや自分を受け入れてくれる環境が必要不可欠になります。

もし今「拒食症かもしれない」と1人で悩んでいるのなら、まずは信頼できる家族や友人、恋人などに打ち明けましょう。あなたに寄り添い支えてくれる人がいれば心強く、前向きに治療に取り組んでいけるはずです。

◇方法3:なるべく1日3食バランスの良い食事を規則正しくとる

拒食症で極端に痩せてしまっている場合は低栄養を回復するため、できるかぎり標準的な体重に近づけることが大切です。

まずは無理なく食べられるものから少しずつ食べ始め、食べられる量が増えてきたら1日3食栄養バランスの良い食事を、決まった時間にとるようにしましょう。

◇方法4:体型に対するこだわりや自己認識を見直す

拒食症の人の多くは体型に対するこだわりが強いため、少しずつ食事がとれる回復期になると「このまま太ってしまったらどうしよう」という不安に襲われることがあります。

そんなときはBMIを調べて、自分の体型を客観的に見直すようにしましょう。BMI18.5〜25未満は普通体型です。18.5未満の場合はやせ型に分類されることを自覚することが大切です。

◇方法5:ストレスの原因を遠ざける

ストレスによって拒食症を引き起こしている場合、根本的な原因を排除しない限り何度も摂食障害を繰り返してしまう可能性があります。

人間関係を見直す、職場環境を変えるなど、できるかぎりストレスの原因を遠ざけることをおすすめします。

まとめ:拒食症は長期化する前に医療機関へ相談を

今回は拒食症の主な症状や原因、改善するためのアドバイスなどをお伝えしました。

拒食症は重症化すると命を落とす可能性のある危険な病気です。「自分は拒食症かも」と思ったら、1人で悩まずにまずは信頼できる人に相談しましょう。

また、本記事で紹介した改善方法を実践しても症状が良くならない場合は、長期化する前に医療機関で本格的な治療をスタートすることをおすすめします。