「最近、顔の皮膚の表面がしびれる…」と、気になっている人はいませんか。実は、顔の皮膚の表面がしびれるのは、病気のサインかもしれません。「疲れやストレスが原因だろう」と放置すると、大事になる可能性もあるのです。そこで、顔の皮膚の表面がしびれるとして、考えられる主な病気と受診の目安を解説します。
顔の皮膚の表面がしびれる…考えられる原因(1)顔面神経麻痺
まず、しびれがあると思うとき、感覚の異常のほかに、自分が思ったように動かないことを「しびれ」と感じることがあります。顔の皮膚の表面がしびれていると感じるのは、顔面神経麻痺の兆候の可能性があります。そもそも顔面神経麻痺とはどのような病気なのでしょうか。顔面神経麻痺とは
顔面神経麻痺とは、「顔の動きに関係する神経の一部が麻痺し、顔が動かなくなる状態です。脳から直接出てくる神経(脳神経)が12対ありますが、顔面神経はこのうち7番目の神経です。顔面神経は、頭蓋骨から出るとだんだん枝分かれしますが、このとき障害が起こった部分が脳に近ければすべての枝が麻痺し、枝の先であれば部分的に麻痺(末梢性)が起こります。
顔面神経麻痺の原因とは突然起こる原因不明の顔面神経麻痺は、「ベル麻痺」と呼ばれます。これは、ヘルペスウイルスによって顔面神経に炎症が起きているものだと考えられ、早期に治療すれば後遺症なく治る方も多いです。
また神経に潜伏する水ぼうそうのウイルス原因となって起こる「ハント症候群」によって、顔面神経麻痺が起こることもあります。
免疫が落ちている時にかかりやすいため、ストレスや疲れ、寝不足が引き金になることがあります。その他、脳梗塞など脳の病気、ギラン・バレー症候群なども原因となります。
顔面神経麻痺の症状の特徴顔面神経麻痺の場合、突然、顔の片側の皮膚の表面がしびれる感覚を覚えます。その後、まぶたが閉じない、飲み物が口からこぼれる、顔がどちらか一方に曲がるなどの症状が現れ、顔をうまく動かせなくなります。
麻痺を起こした側の舌にも影響が及ぶため、舌がしびれたような感じや味覚を感じないなどの症状が起こることもあります。
顔の皮膚の表面がしびれる…考えられる原因(2)自律神経失調症
自律神経失調症によっても、顔の皮膚の表面がしびれる症状が現れます。現代人に多い自律神経失調症について、詳しく解説します。自律神経失調症とは
自律神経失調症とは、自律神経のバランスが崩れることで、心や体に不調を来す状態です。
自律神経は、心身を興奮させ活動的な状態にする交感神経と、リラックスさせ、身体を休ませるときに働く副交感神経の2つからなり、私たちの体の機能を自然に調節しています。
このバランスが何らかの原因で乱れると、交感神経や副交感神経が働くべきタイミングでうまく働かないため、さまざまな体の不調をきたすようになるのです。
自律神経失調症の原因とはよく言われるのが、過度のストレスや疲れです。精神的な緊張、疲労、睡眠不足、心身に強いストレスがあると、自律神経のバランスが乱れやすくなります。
自律神経は、自分の意志でコントロールできるものではありません。「やる気があれば大丈夫!」などと気合を入れても、治すことはできないのです。
毎日の生活が不規則だったり、夜型生活や慢性的な寝不足だったり、生活習慣の乱れが原因となることもあります。また、寝る直前までスマートフォンを使っていると、交感神経が興奮したままになり、うまく眠りに入れず、不調の原因になることがあります。
自律神経失調症の症状の特徴自律神経失調症の症状のひとつに、顔の皮膚の表面がしびれる症状が生じます。これは、 自律神経のバランスが崩れ、血管の収縮と拡張がうまくいかなくなるためであり、他に、耳、手足など他の部位にもしびれが起こることがあります。
その他、ほてり、のぼせ、異常発汗、動悸、めまい、不眠などの睡眠障害も、自律神経失調症の代表的な症状です。
顔の皮膚の表面がしびれる…考えられる原因(3)三叉神経痛
三叉神経痛は、顔面の痛みであるため、世の中では顔面神経痛とも呼ばれます。三叉神経痛になると、顔の皮膚の表面がしびれることがあります。三叉神経痛とは
三叉神経は、顔面の触った感じや痛み、冷熱感などの感覚を伝える神経で、最初に枝分かれするところが3つに分かれていることから三叉神経と呼ばれます。脳の真ん中にある脳幹から出て、顔のいろいろな部分とつながっています。
この三叉神経の領域に痛みが起こる状態を三叉神経痛といいます。三叉神経痛が起こると、顔の皮膚の表面がしびれるような感覚より、何より激痛が起こります。
三叉神経痛の原因とは三叉神経痛は、頭の中で血管が神経を圧迫しているために起こることがほとんどです。髭剃り、メイク、洗顔、ものを噛むことなど、顔を触ったり動かしたりすることで症状が誘発されます。風が頬に当たるだけで痛いこともあります。
三叉神経痛の症状の特徴三叉神経痛では、突発的に激しい痛みがあることが特徴です。その痛みは、「電気が走ったようにビリッとする」とか「針でつつかれるようにチクっとする」などと表現され、普通の食べ物が噛めず、食べられないなど日常生活に支障をきたすこともあります。
ただ、痛みは長引くことなく、数秒から数十秒程度のことがほとんどです。数分や数十分にわたって長引く痛みがある場合は、三叉神経痛の可能性は低いでしょう。
顔の皮膚の表面がしびれる…考えられる原因(4)脳の病気
顔の皮膚の表面がしびれるのは、もしかすると脳の病気の可能性もあります。具体的に、どのような脳の病気が原因となるのか、次で詳しくみていきましょう。顔の皮膚の表面がしびれで考えられる脳の病気
顔の皮膚の表面がしびれる症状は、脳梗塞、脳出血、脳卒中などの脳疾患の初期症状かもしれません。これらの病気では、手足など体の他の部分にも麻痺や感覚の違和感が生じることが多く、それにともなって顔の皮膚の表面がしびれる感じを覚えることがあるのです。
脳の病気の場合、顔の皮膚の表面のしびれの他、ろれつが回らないとか片方の目が見えにくいなど、他の症状が現れることがあります。放置すると大きな後遺症につながることもあるので、早めに受診しましょう。
顔の皮膚の表面がしびれる…病院へ行くべき?
顔の皮膚の表面がしびれるとき、どの程度の症状があれば、病院に行けばいいのでしょうか。受診の目安と何科を受診すればいいかについて解説します。
顔の皮膚の表面がしびれると感じたら早期に受診を顔の表面の皮膚がしびれるのが短時間でおさまり、その後同じような症状がなければ、様子を見ていいでしょう。しかし、顔の皮膚の表面のしびれが頻繁にあるとか、症状が続いて止まないという場合は危険信号かもしれません。
また、顔の皮膚の表面のしびれが片方だけに現れている場合も要注意です。顔の皮膚の表面のしびれ以外に手足に不調がある場合も、重大な症状につながる恐れがあります。
放置すると生活に支障をきたすような重大な病気が隠れていることがあるので、早期の受診をおすすめします。
病院を受診するなら何科?顔の皮膚の表面がしびれるときは、脳疾患が疑われます。まずは、脳神経内科や脳神経外科を受診しましょう。
顔の皮膚の皮膚がしびれる症状のほか、心と体に著しい不調がある場合は、自律神経失調症の可能性があります。心療内科やメンタルクリニックなどにかかりましょう。
まとめ
ストレスや疲れは、顔の表面の皮膚がしびれる直接の原因とはなりませんが、それが誘因となって病気になり、症状が現れることがあります。
ストレス発散や疲れを溜めないようにする工夫や、生活習慣の見直しをすることが予防策になるでしょう。
健康的で快適な日常のためにも、気になる症状を見逃さず、自身の健康管理に気を配るようにしてください。