圧迫骨折とは骨折の一種で、骨が潰れた状態を指します。骨が脆くなっていると、小さな衝撃でも圧迫骨折することがあるので注意してください。圧迫骨折を起こさないためには、日常生活を見直して、骨の老化を防ぐことが重要です。圧迫骨折とは何か、その原因と日常生活での予防方法についてまとめました。

圧迫骨折とは何?

圧迫骨折とは多数ある骨折の種類のひとつです。骨折には「骨が折れた状態」だけでなく、「骨にひびが入った状態」や「骨の一部分が欠けた状態」なども含まれます。そして、圧迫骨折は「骨が潰れた状態」です。

圧迫骨折の症状

繰り返しになりますが、圧迫骨折も骨折の一種です。転倒などが原因で圧迫骨折した場合は、そのほかの骨折と同様に骨折部位に痛みが生じます。

また、圧迫骨折によって背中が丸くなると、身長が低くなります。骨折した骨が神経を圧迫すれば、痺れや神経麻痺を起こすこともあり、寝たきりになる危険性もあるので注意が必要です。

その一方で、転倒などの原因がなく、自らの重みで骨が潰れた場合は、なかなか圧迫骨折に気づけません。「身長が低くなった」「背中や腰が曲がった」「腰に痛みを感じる」などは圧迫骨折が原因の可能性もあるため、不安なことがあるときは早めに医療機関を受診しましょう。

圧迫骨折しやすい場所

転倒などが原因の場合、圧迫骨折しやすいのは「胸椎」や「腰椎」です。つまり、背中や腰です。

圧迫骨折により背中が丸まれば、吐き気や食欲不振などの症状に繋がることもあります。また、1箇所の圧迫骨折でも、治療せずに放置しておくとその上下の骨に骨折が広がっていくケースも多いので注意してください。

圧迫骨折の主な原因

圧迫骨折の主な原因3つについて解説します。

外部からの強い衝撃

圧迫骨折の原因の1つ目は「外部からの強い衝撃」です。転倒するなどでその部位に強い力がかかり、圧迫骨折に繋がります。ただし、圧迫骨折のきっかけは外部からの衝撃でも、根本的な原因に骨の老化が影響しているケースも多いです。

骨粗しょう症

圧迫骨折の原因の2つ目は「骨粗しょう症」です。前述の骨が老化した状態が骨粗しょう症であり、骨が脆くなっているため、小さな衝撃でも圧迫骨折する場合があります。

例えば、「くしゃみをする」「重いものを持ち上げる」「中腰の体勢を取る」などです。骨密度が低下している場合、健康的な骨と比較して骨折しやすくなるので注意しましょう。

がんの骨への転移

圧迫骨折の原因の3つ目は「がんの骨への転移」です。がんが骨へ転移すると、その部分の骨は弱くなります。骨が弱くなることで小さな衝撃でも圧迫骨折し、強い衝撃が加わればより重症化する可能性があるため危険です。

圧迫骨折の治療方法と治療期間

基本的に圧迫骨折では「保存治療」を行うことが多いです。骨折している部位をギプスやコルセットで固定して、骨折が治るのを待ちます。通常は1ヶ月程度で骨が治り始め、徐々に痛みもおさまっていきます。

ただし、治療にかかる期間は骨折の状態などによっても変わり、リハビリ治療、手術などが必要なケースもあります。また、圧迫骨折の原因が「がんの骨への転移」である場合は、がんの治療が必要です。

圧迫骨折に特に注意すべき人と日常生活での予防方法

圧迫骨折の原因について説明してきましたが、多くの人が注意すべきなのは「骨粗しょう症」を原因とするケースです。

骨密度が低下し、骨が脆くなっていれば、小さな衝撃でも圧迫骨折する危険性があります。加齢によって骨も老化するので、できるだけ骨を健康な状態で維持することが重要です。

骨の老化が進んでいる高齢者、特に骨粗しょう症になりやすい閉経後の女性は注意してください。閉経後、ホルモンバランスが変化する関係で、骨密度が低下しやすく、骨粗しょう症になる女性が多いです。

骨に良い栄養を摂取すること

健康な骨を維持するためには食事が重要です。骨に良い栄養素をしっかりと摂取するようにしましょう。例えば、カルシウムやビタミンD、ビタミンKなどです。

摂取したカルシウムのすべてが吸収されるわけではありません。ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、ビタミンKはカルシウムの骨への沈着を促します。そのほかにもマグネシウム、タンパク質、各種ビタミンなどをバランス良く摂取してください。

適度な運動を行うこと

適度な運動を行うことも骨粗しょう症の予防に役立ちます。軽いウォーキングや筋力トレーニングなどを行いましょう。運動することで生じた刺激は骨の強度を増すので、骨粗しょう症の予防に効果的です。

また、筋力やバランス力を維持することは、骨折の原因になる転倒を防止するのにも有効です。無理な運動は怪我の原因になるので、できる範囲で体を動かすようにしてください。

喫煙など骨に悪影響のある習慣をやめること

タバコに含まれるニコチンには血流を悪くする効果があります。血流が悪くなると胃腸の働きが弱まり、食欲不振になり、カルシウムは吸収されにくくなります。また、タバコは骨からカルシウムが流出するのを防ぐ「エストロゲン」というホルモンの働きも阻害します。

そのため、喫煙者の骨はタバコを吸わない人に比べて脆くなりやすいです。タバコは肺へ影響するイメージが強いですが、さまざまな健康被害の原因になるため注意してください。

圧迫骨折とは骨が潰れることで生じる骨折|高齢者は定期的な検査も重要

圧迫骨折とは何かについて説明してきました。骨粗しょう症などで脆くなった骨は、外部からの衝撃によって圧迫骨折を起こしやすくなっています。骨の老化が進んでいれば、重いものを持ち上げたり、くしゃみをしたりでかかった力でも圧迫骨折することがあります。

日常生活の動作の中で圧迫骨折が起きた場合、骨折していることに気が付かないケースもあるので注意してください。

骨折した箇所の上下の骨に負担がかかり、骨折部位が広がることも考えられます。「背中や腰が丸まった」「身長が低くなった」などの違和感があるときは、早めに医療機関で診察を受けましょう。

また、高齢者の方は骨粗しょう症の予防のために生活習慣を見直すこと、定期的に検査を受けて骨密度を測ることも大切です。