唇の腫れは、誰もが経験したことのあるトラブルではないでしょうか。その原因は、日常生活の中にあったり、アレルギーや病気が原因だったり、さまざまです。唇の腫れは、軽度なものであれば自分で対処することができますが、病気の場合はクリニックの受診が必要なことがあります。唇の腫れの原因と対処法 について解説します。

日常生活に潜む唇の腫れの原因

唇の腫れは、紫外線や乾燥など、私達の日常に存在するものが原因です。

日焼け

バーベキューや海水浴、スキーなど屋外で長時間過ごしたあとに唇が真っ赤に腫れ上がり、驚いたことのある人はいませんか。唇は、肌に比べて紫外線ダメージを受けやすいパーツです。なぜなら、粘膜であるために刺激を受けやすい場所だからです。

唇も肌と同じように日焼けをします。日焼けをすると、唇が腫れるだけでなく、乾燥して皮がむけたり、ヒリヒリ痛んだりします。

唇も色素沈着を起こしたり、日焼けなどによる炎症を長年繰り返すと小さな黒い斑点ができることがあります。

乾燥

乾燥すると、唇の皮がむけたりひび割れたりして炎症を起こし、唇が腫れることがあります。

はじめは軽い乾燥程度でも、進行すると唇の皮がめくれて腫れるようになり、ひどくなるとリップラインにぶつぶつとした湿疹のようなものが出ることもあります。そのため、唇には常に保湿ケアが欠かせません。

唇の腫れを引き起こす病気

唇の腫れは、病気の症状として現れている場合もあります。

アレルギー

唇の腫れは、食べ物、化粧品、金属、花粉などのアレルギーによって起こることがあります。

唇はデリケートな部分であるため、アレルギー反応が現れやすく、唇が赤くなることで見た目にも目立ちます。

血管性浮腫

血管性浮腫とは、突然皮膚や粘膜が腫れる病気です。唇に現れることも多く、数時間から数日と時間が経てばきれいに消えることもあります。

アレルギーや薬が原因の場合もあれば、運動によって誘発されることもあり、突然の腫れを繰り返すことが特徴です。

口唇ヘルペス

口唇ヘルペスとは、唇や唇の周辺に赤い小さな水ぶくれができる病気です。水ぶくれの部分にはチクチク、ピリピリとしたような痛みを伴い、1週間から2週間でかさぶた状になり治ることが多いです。

単純ヘルペスウイルスというウイルスが原因となって起こる感染性のもので、治療には抗ウイルス薬が用いられます。疲れやストレスで免疫力が落ちているとかかりやすいといわれます。

口唇炎

唇が炎症を起こして荒れている状態を、口唇炎といいます。乾燥、アレルギー、香辛料などの刺激、摩擦などが原因だとされ、炎症によって唇が真っ赤に腫れることもあります。

治療にはステロイド剤や保湿剤が使われますが、軽度であればセルフケアで改善することもあります。

乾燥する秋冬には特に多くなります。

肉芽腫性口唇炎

肉芽腫性口唇炎(にくげしゅせいこうしんえん)とは、唇に慢性に炎症反応を起こした状態です。

はじめのうちは数時間から数日で肉芽腫が消えますが、繰り返し起こるようになり、次第に唇がむくんだように赤く腫れ、ゴムのような弾力と硬さを持つようになります。

肉芽腫ができる原因は、いまだ明らかではありませんが、虫歯や歯周病のもととなる歯周病菌やニキビのもととなるアクネ菌などと関連があるのではないかといわれています。

サルコイドーシス

サルコイドーシスは、体のいろいろな器官に肉芽腫が形成される病気です。この病気における肉芽腫は内臓や皮膚、粘膜、骨などあらゆるところに形成され、さまざまな症状が現れる原因不明の疾患です。

唇近くの肌にできることもあり、長期間続くと斑点のようなものができることもあります。

サルコイドーシスは自然に治ることが多く、大半は経過観察となります。しかし、約1割から2割は症状が長期化し難治化するため、難病に指定されています。

唇の腫れの治し方は?

唇の腫れは、軽度のものであればセルフケアで症状を和らげることができます。

自分でできる対処法

唇の腫れは、炎症が起こっていることでむくんでいる状態が多いです。そのような時は、患部を冷やすことで緩和できる場合があります。

唇は粘膜でデリケートなので、患部を冷やすときには注意が必要です。保冷剤を直接当てるようなことはせず、冷やしたタオルをあてるか、保冷剤を当てる場合はタオルなどで巻いて使いましょう。

市販薬は使ってもよい?

唇の腫れに対して市販薬を使う場合、原因がはっきりしている場合は使用して大丈夫ですが、購入する前には念の為、ドラッグストアにいる薬剤師の方に相談してからの方が安心です。

ドラッグストアには、口唇炎、口角炎、口唇ヘルペス用など、症状別の薬があります。また、乾燥がひどい場合には、保湿力の高いリップクリームやワセリンがおすすめです。

唇の腫れが原因不明の場合は、自身の勝手な判断で使用しないほうがいいでしょう。間違った薬を使用した場合、唇の腫れがさらに悪化することがあります。

唇の腫れは受診すべき?

唇の腫れは、どのくらいの症状が出ていれば受診すべきなのでしょうか。受診の目安と受診科についてご紹介します。

唇の腫れで受診すべき目安

唇の腫れが一時的ですぐに治まるようであれば、受診を急がなくて大丈夫です。

しかし、唇の腫れが慢性的であるとか、唇が腫れるだけでなく発熱や倦怠感を伴うなど、明らかにいつもと違う様子であれば、受診しましょう。

病気が原因で唇が腫れている場合は、病気の根本治療が必要です。症状に合わせた受診科を訪れ医師の診察を受けましょう。

唇の腫れで受診するなら何科?

唇の腫れで受診するなら、唇だけに症状がある場合は皮膚科、全身症状を伴う場合は内科やかかりつけ医を受診しましょう。

自分でできる唇の腫れ対策

唇の腫れは、普段の生活の中で気をつければ、予防することができます。唇の腫れを予防するための対策についてご紹介します。

唇をこまめに保湿する

あらゆるダメージを受けやすい唇は、こまめに保湿することが大切です。唇を保護するためにも、保湿効果の高いリップクリームやワセリンでしっかりとうるおいを補いましょう。

屋外で長時間過ごす予定があるときは、UVカット効果のあるリップクリームがおすすめです。

しかし、何か違和感があれば、すぐに使用を中止することも必要です。

タンパク質、ビタミンを積極的にとる

蛋白質やビタミンは、健康的な体と肌に欠かせない栄養素です。これらが不足すると肌荒れを起こしやすくなり、粘膜である唇にもダメージを受けやすくなります。

肉や魚、野菜、フルーツなどをまんべんなく摂り、不足を感じているときはサプリメントで補うこともいいでしょう。

質の良い睡眠をとる

睡眠は、脳や体を休め、細胞の生まれ変わりを促すための大切な時間です。傷ついた細胞は、睡眠を十分にとることで修復されるため、肌や粘膜の健やかさを保つことができます。

睡眠は、単に長時間とればいいというわけではなく、質を重視しましょう。

日中に適度な運動をする、寝る前にスマートフォンは見ない、寝る直前に食事をしないなど、質の良い睡眠のための行動を意識することが大切です。

口の中を清潔に保つ

口の中には、細菌がたくさんいます。特に歯周病菌は、全身に菌が巡ることで病気を起こすものとして知られ、口の中の細菌が原因ではないかと考えられている病気もあります。

あらゆるリスクを防ぐためにも、歯磨きやうがいなどで口の中を清潔に保つことが必要です。

子供は舐めたり触ったりしやすいので注意

幼い子供は、目の前にあるものを舐めたり触ったりして、自分の感覚で物体を確かめます。理性よりも好奇心が勝つため、気になるものはなんでも触れようとするのです。

ですから特に、アレルギーのある子供は注意が必要です。

まとめ

唇の腫れを防ぐには、保湿ケアが大切です。乾燥すると唇の皮がむけて荒れてしまったり、ダメージを受けやすくなったりするため、予防のためにも日頃からリップクリームを持ち歩くようにしましょう。

病気が疑われる場合は、病院を受診すると安心です。原因がわかっている場合は市販薬である程度対処できますが、素人ではなかなか判断がつかず、使う薬を間違えてしまうと帰って症状を悪化させてしまいます。

正確に診断するためにも、気になる症状があれば医師を受診するようにしてください。