後頭部が痛いのはなぜなのでしょうか。後頭部が痛い原因は、パソコンやスマートフォンの使いすぎが原因であることもあれば、脳血管に重大な疾患がある場合もあり、さまざまです。後頭部の痛みは大人だけでなく、子供にも起こります。そこでここでは、後頭部が痛い原因と症状の特徴、対処法について解説します。

後頭部が痛いときのよくある原因(1)緊張型頭痛

後頭部が痛い原因として最もよくあるのが、緊張型頭痛です。

緊張型頭痛は首の後ろからの痛みが特徴

痛みが首の後ろあたりからくる時は、緊張型頭痛かもしれません。緊張型頭痛の場合、後頭部から首すじにかけて、痛みに加えて締めつけられているような圧迫感があります。 多くの場合で肩こりや首の痛みを伴い、左右両側に起こることが特徴です。

緊張型頭痛はストレスが原因

緊張型頭痛は、身体的、精神的なストレスが誘因となります。長時間同じ姿勢を続けることで筋肉に疲労物質がたまったり、精神的なストレスで自律神経のバランスが乱れ、痛みの調整機能がうまく働かなくなったりすることで起こります。

緊張型頭痛の治療と対策


緊張型頭痛を改善するためには、マッサージや軽い運動が効果的です。血行を良くすることで筋肉の緊張がほぐれ、体を動かすことがストレス発散にも繋がります。それでも改善しない時は、軽い筋弛緩薬などを使用します。精神的なストレスが強い場合は、心療内科などの受診が必要になることもあります。

後頭部が痛いときのよくある原因(2)後頭神経痛

後頭神経痛とは、後頭部の皮膚の知覚を担う後頭神経に異常をきたした状態です。後頭部の痛みと同時に、多くの場合、耳の近くや耳の中にも痛みを感じます。

後頭神経痛はズキズキした痛みが特徴


痛みは後頭部や耳の後ろ、耳の中、頭頂部などで左右片側に起こり、ズキズキとして痛みが強いことが特徴です。ヘアブラシで髪の毛をとかしたりシャンプーしたりすると、ピリピリとした痛みを感じることもあります。

後頭神経痛はスマホやパソコンも原因になる


後頭神経痛は、スマホやパソコンの使い過ぎが原因のひとつだといわれています。スマホやパソコンの画面を見るとき、自然と首を突き出したような状態になりますが、このことが後頭部から首の部分の筋肉の負担になり、痛みが発生しやすくなります。そのため、緊張型頭痛と併発する人も多い病気です。 その他、帯状疱疹(ヘルペス)ウイルスが原因である場合もあります。頭皮に水疱ができていないかをチェックしてみましょう。

後頭神経痛の治療と対策


後頭神経痛の治療は、主に薬物療法です。抗炎症薬や鎮痛薬などが処方されます。神経ブロック注射を行う場合もあります。

後頭部が痛いときのよくある原因(3)脳動脈解離

脳動脈解離とは、頭蓋内外の動脈に内膜損傷が生じ、動脈壁が裂けて出血した状態です。それに伴ってくも膜下出血や脳梗塞などを生じることもあり、最悪の場合、死に至ることもある危険な病気です。

脳動脈解離は突然の強い痛みが特徴


脳動脈解離は、脳の後方にある椎骨動脈で起こることが多く、後頭部やうなじのあたりに突然の強い痛みを感じることが特徴です。 特にくも膜下出血を生じた場合は、激しく強い痛みを認め、意識障害を来すこともあります。

脳動脈解離の原因は外傷や動作


脳動脈解離は、首に負担がかかる外傷などが引金となり、発症しやすくなります。たとえば、首を激しく振るような動作を伴うさまざまなスポーツ、カイロプラクティックが誘因となることがあります。

脳動脈解離の治療と対策

脳動脈解離の治療は、脳動脈の内膜損傷を治すための血管治療が主に行われます。脳梗塞の場合は、点滴や内服薬による治療が中心ですが、重症の場合は開頭手術が必要になります。 くも膜下出血を起こした場合は、急性期に手術を行います。

後頭部が痛いときのよくある原因(4)労作性頭痛

労作性頭痛とは、運動など体の動きによって起こる頭痛のことです。ランニングや筋トレをしたあとに頭が痛くなったことのある人は、労作性頭痛かもしれません。

運動や性行為による労作性頭痛


労作性頭痛は、運動や性行為など、激しく体を動かしたあとに起こります。運動によって後頚部の筋肉がダメージを受けることで頭痛を起こし、ズキンズキンと脈打つように痛むことが特徴です。 もともと偏頭痛を持っている人に起こりやすく、しばらく休めば軽快することがほとんどです。

労作性頭痛の治療と対策


労作性頭痛の治療では、消炎鎮痛薬を内服します。これは、運動や性行為の前に服用することが効果的です。 労作性頭痛を予防するには、運動前にしっかりとストレッチを行い、普段からこりを和らげておくなど、筋肉に過度な負担がかからないようにすることが大切です。

後頭部の痛みには危険な頭痛もある

後頭部の痛みには、脳動脈解離、くも膜下出血、脳梗塞、脳出血などによって起こる危険なものもあります。 くも膜下出血とは、脳動脈瘤がある日突然破裂することによって起こるもので、脳表面のくも膜という膜と脳の間の空間で発症します。脳梗塞とは、脳血管が閉塞するために血流が途絶え、脳細胞にダメージを与える病気です。喋りづらさや物の見えにくさ、身体が動かしにくくなるなどの症状が主で、頭痛を訴える人もいます。いずれも、重症化すると死に至る可能性があるので、兆候があればすぐに受診する必要があります。

後頭部が痛いときは受診すべき?

後頭部が痛いとき、病院を受診する必要はあるのでしょうか。もしあるとしたら、どの程度の痛みが受診の目安となるのでしょうか。後頭部が痛いときの受診の目安と受診科について解説します。

後頭部の痛みで受診すべき目安


後頭部が痛いとき、短時間で症状が治まるようであれば様子を見ていいでしょう。 しかし、後頭部の痛みが慢性的であるとか、後頭部の痛みのせいで日常生活に支障をきたすなどの場合は、受診が必要です。 突然激しい頭痛が起こったり、頭痛の他に歩きにくさなどの症状がある場合は、脳血管の異常をあらわす危険な兆候かもしれません。場合によっては、救急車の要請が必要です。

後頭部の痛みで受診するなら何科?


後頭部が痛いときにはさまざまな原因が考えられますが、原因がはっきりわからない場合は脳神経内科(神経内科)を受診しましょう。近くに脳神経内科がない場合は、一般の内科でも大丈夫です。 つらい痛みを取り除きたいのであれば、ペインクリニックや頭痛外来がおすすめです。

子供の場合は何科?


子供の頭痛は、小児科外来で診てもらうことができます。一般社団法人日本小児神経学会では、小児神経専門医のいる全国の施設をホームページに掲載しています。より専門的なアドバイスを受けたい場合は、各地の専門医を受診するとよいでしょう。

まとめ

後頭部が痛いときには、さまざまな原因が考えられます。自然に治るものや大したことのない痛みである場合はそれほど心配ないことが多いですが、まれに、重大な疾患の兆候である場合があるので、注意が必要です。 少しでも心配なことがあれば、専門医を受診して原因を特定し、治療を行いましょう。