「朝起きたら口の中から白い膜が取れた」「口内の白い膜の正体が気になる」といった場合、口の中にカビの一種が発生しているのかもしれません。 そこで今回は、口の中から白い膜が取れる原因や、白い膜が剥がれない場合に考えられる病気について解説します。受診の目安も合わせてご紹介しますので、白い膜が気になっている方はぜひ参考にしてください。

火傷や治りかけの傷、入れ歯の傷など

お口の中を火傷したり、傷つけてしまったりした場合、患部が治るタイミングで繊維が集まり、白くなるときがあります。これは、拭うと取れるタイミングと取れないタイミングがあります。火傷や入れ歯が原因の傷の場合は、時間が経てば治るので心配いらないでしょう。

口の中から白い膜が取れるのは口腔カンジダの可能性

口の中から白い膜が取れる場合、口の中にカビが発生する「口腔カンジダ」を発症している可能性が高いと言えます。

口腔カンジダとは

口腔カンジダとは、「カンジダ・アルビカンス」という真菌(カビ)が異常に増殖することによって発症する口腔感染症です。「カビ」と聞くと驚いてしまう方も多いかもしれませんが、「カンジダ・アルビカンス」は口腔内の常在菌の一種なので、誰もが口の中に持っています。

カンジダ・アルビカンスはいつも口の中に棲みついていますが、通常は増殖することはありません。しかし口の中の抵抗力が低下して常在菌間のバランスが崩れると増殖し、白い膜になります。

症状

口腔カンジダの主な症状は以下のとおりです。

◆口の中(舌や頬の内側など)に白いコケのような膜が付着する
◆指や歯ブラシ、舌などで白い膜をこすると取れる
◆白い膜を無理に剥がすと腫れて出血することがある

また、口の中がヒリヒリしたり、舌が痛みだしたりすることもあります。

【口腔カンジダになりやすい人】

◆子ども
◆高齢者
◆肥満気味の人
◆糖尿病患者
◆妊娠している人
◆寝たきり状態の人
◆口呼吸をしている人
◆入れ歯をつけたまま寝ている人
◆ストレスや疲労が溜まっている人
◆抗がん剤や抗菌薬、ステロイド薬を長期間服用している人

上記のように、口腔カンジダは抵抗力が弱まっている人に発症しやすい傾向があります。

体力が落ちている高齢者が口腔カンジダを発症して悪化すると、肺炎の原因になることがあるため、注意が必要です。

原因

口腔カンジダを発症する原因は抵抗力の低下のほか、入れ歯などの口腔内の掃除不備、抗菌薬投与による口腔内菌交代現象、唾液の分泌不足などが挙げられます。

特に、栄養不足や睡眠不足などによって免疫力が低下すると、口腔カンジダになりやすいので注意しましょう。カンジダ菌は多くの方の口内に存在しますが、通常は、粘膜の中に入り込まないように抵抗しています。ですが、免疫力が落ちるとカンジダ菌が粘膜に入り、カンジダ菌を引き起こしてしまうのです。

対処法

口腔カンジダになった場合、まず口の中を清潔に保ち、疲れを溜めないようにして体を休ませましょう。白い膜を無理に剥がそうとすると血が出て腫れてしまうことがあるので、触らないことが大切です。

症状が軽ければ口内をケアするだけで治るケースもありますが、通常は放置しても自然治癒しないため、病院を受診して抗真菌薬で治療する必要があります。

受診前に自分でできること

口腔カンジダが疑われる場合で、入れ歯を使っている方は、寝る前に外して入れ歯を洗浄剤につけましょう。痛みが強い場合は、刺激物や熱いものを避けて下さい。また、口内炎で長期間ステロイド剤を塗っている場合は、使用を避けましょう。

歯磨き粉で磨いたあと口の中の白い膜が取れる場合

歯磨き粉で磨いたあとに口の中から白い膜が出てくる場合、カビではなくプラーク(歯垢)の可能性もあります。通常、歯磨きの直後は歯の表面が唾液の薄い膜(ペリクル)で覆われています。

◆歯の表面の乾燥を防ぐ
◆表面の摩擦を軽減する
◆唾液のPHを調節する緩衝剤として働く

など、ペリクルはさまざまな働きをしてくれますが、ペリクルが歯の表面を覆うことでプラークが付着しやすくなるため、日々のブラッシングが重要です。

白い膜が剥がれない場合に考えられる病気

口の中にある白い膜をこすっても剥がれない場合、以下のような重大な病気の可能性もあるため注意が必要です。

白板症(はくばんしょう)

白板症(はくばんしょう)とは舌や頬の粘膜、歯肉にみられる白い病変のことを言います。

【症状】

◆食べ物や飲み物がしみる
◆ものが当たると痛い
◆びらん(粘膜の浅い欠損)、潰瘍、しこりを伴う

白板症は口内炎と間違われることもありますが、「患部が広範囲にわたる」「白い部分が厚く盛り上がる」「放置しても自然治癒しない」などの違いがあります。

【原因】

白板症の原因ははっきり分かっていませんが、以下のような要因がリスクになると考えられています。

◆喫煙・飲酒
◆義歯の不適合
◆ビタミンA・Bの不足
◆ガルバニー電流(歯に詰めた金属によって発生)

びらんや潰瘍、しこりがある場合はがんになりやすいため、切除する場合があります。

口腔ガン

口腔ガンは口の中に発生するガンのことをいいますが、約半数以上が「舌がん」です。

【症状】

◆口臭がある
◆歯のぐらつきがある
◆抜歯後の傷の治りが悪い
◆口の中に白い部分や赤い部分、硬いしこりがある
◆口の中に出血しやすい場所がある
◆口の中/唇にしびれがある
◆口内炎や潰瘍が3週間以上治らない
◆口の中が腫れ、入れ歯が合わなくなった
◆首のリンパ節の腫れが3週間以上続いている

初期の段階では舌や頬粘膜、歯肉などに口内炎様の潰瘍やしこりを形成し、痛みはほとんどありません。進行すると話しづらさや食べづらさを感じるようになり、出血・悪臭も伴います。さらにガンが進行すると首のリンパ節に転移することもあります。

【原因】

以下のような刺激が慢性的に加わることで、口腔ガンが発症すると考えられています。

◆喫煙
◆飲酒
◆虫歯
◆入れ歯

治療法としては手術による切除や放射線治療、抗がん剤治療があります。

扁平苔癬(へんぺいたいせん)

扁平苔癬(へんぺいたいせん)とは口腔粘膜にできる難治性の疾患です。頬粘膜に多くみられるほか、舌や口唇にも生じます。

【症状】

◆白い粘膜の角化(かっか)がレース状にあらわれる
◆周囲に発赤を伴う
◆びらんや潰瘍を形成する
◆触れると痛い・食べ物がしみる

【原因】

正確な原因は解明されていませんが、以下が関与していると考えられています。

◆ストレス
◆代謝障害
◆アレルギー(特に歯科用金属によるもの)
◆遺伝的素因
◆自己免疫疾患

治療法としてはうがい薬や副腎皮質ステロイド薬を含む軟膏が使われます。扁平苔癬はまれにがん化することもありますが、癌化率はおよそ1%程度といわれています。

口の中にできる白い膜を予防する方法

口の中に白い膜ができるのを防ぐ方法としては、以下のような例が挙げられます。

口の中を清潔に保つ

口内は歯垢がたまりやすいため、食事ごとにていねいなブラッシングを行いましょう。

歯間ブラシやデンタルフロスも活用し、歯の隙間などに詰まった汚れもしっかり落とすことが大切です。3〜4ヶ月に1回は歯科医院でクリーニングしてもらい、自分で落としきれない歯石などを除去してもらいましょう。

ストレスや疲れを溜め込まない

ストレスや疲れがたまると免疫力が低下し、口腔カンジダを引き起こす原因となってしまいます。疲れが溜まったときはゆっくり休み、適度にリフレッシュして意識的にストレスを発散させましょう。

また、規則正しい生活やバランスのよい食事、質のよい睡眠を確保することで免疫力アップにつながります。

口の中の白い膜が取れたときに病院に行く目安

軽度の口腔カンジダが原因で口の中から白い膜が少量とれる程度なら、あまり心配しなくても良いでしょう。しかし、以下のような場合は重大な病気が隠れていることもあるため、歯科や歯科口腔外科を受診することをおすすめします。

◆膜が取れた部分が痛い
◆口の中にただれがある
◆白い膜がむける範囲が徐々に広がっている

日頃から口の中を清潔に保つのはもちろん、生活習慣を整えて白い膜ができるのを防ぎましょう。