食べ物が飲み込みにくい・つかえる原因
食べ物が飲み込みにくい・つかえるときに考えられる原因を解説します。
高齢者は筋肉の衰えが大きな原因年齢を重ねると喉周辺の筋肉が衰え、ものを飲み込む機能が低下してスムーズな嚥下運動ができなくなります。食べ物や飲み物がうまく飲み込めずに気管に入ると、飲食物を排出しようとむせることがあります。
加齢による嚥下障害の症状・食事中にむせる
・栄養が偏り体重が減る
・食後に声がかれる・咳が出る
・唾液を飲み込めず、夜間に咳が多くなる
・食べ物がのどにつかえるような感覚がある
・飲み込んだ後も口の中に食べ物が残っている
加齢に伴う嚥下障害は60代前後から多くなり、とくに男性は喉頭が下がるため症状が出やすくなります。食道や胃に入るべき飲食物が肺に入ってしまうと細菌が広がって肺炎を起こすリスクが高まるため、気になる症状が出たら医療機関を受診しましょう。
ストレスや自律神経の乱れが関係することもストレスや自律神経の乱れの影響で喉のつかえ感や飲み込みにくさを感じる症状を「咽喉頭異常感症(ヒステリー球)」といいます。うつ病や心身症、神経症などの精神的な病気が関わっている場合もあり、「がんに対する恐怖」が不安の背景になっているケースも多いです。
咽喉頭異常感症の症状・物がつかえる
・締めつけられる
・喉がイガイガする
・物が飲み込みにくい
・喉に物があるような感じがする
症状の現れ方や程度は個人差があり、喉の痛みや咳、痰、息苦しさ、胸やけ、吐き気、不安感などの症状が現れることもあります。咽喉頭異常感症が疑われる場合はまず耳鼻咽喉科や内科を受診して全身的な疾患が隠れていないかを確認し、必要に応じて心療内科や精神科に相談しましょう。
食べ物が飲み込みにくいときに考えられる病気
加齢に伴う「飲み込みにくさ」は60代前後から増えてきますが、そのほかの年代で症状が出ている場合は何らかの病気が隠れている場合があります。ここでは、加齢以外で飲み込みにくさを感じるときに考えられる病気を紹介します。
口内炎・虫歯・歯槽膿漏口内炎や虫歯があると、食べ物や唾液が当たったときに痛んで飲み込みにくいと感じることがあります。また、歯槽膿漏が進行すると硬いものを食べたときに痛みを感じ、歯がグラグラしてしまいます。口内のトラブルを予防するには正しいブラッシングで清潔に保ち、定期的にクリニックで歯垢や歯石を除去してもらうことが大切です。
口腔乾燥症唾液の分泌が低下して口腔乾燥症(ドライマウス)を起こすと持続的に口が渇き、食べ物が飲み込みにくくなります。口腔乾燥症の原因は糖尿病や自己免疫疾患のほか、薬の副作用や加齢が関連していることもあります。
ドライマウスの症状・口臭の悪化
・入れ歯がはずれやすい
・むし歯や歯周病の悪化
・唇・口の中・のどの乾き
・乾いた食べ物が飲み込みにくい
・口の中がパサついて会話しにくい
・口の中のヒリヒリ感・ネバネバ感
唾液には細菌やウイルスを排除する働きがあるため、口腔乾燥症になって唾液の量が減ると口内の細菌が増殖してむし歯や歯周病が進行しやすくなります。
逆流性食道炎飲み込みにくい症状のほか、喉や口の中に酸っぱいものがこみ上げてくる場合は逆流性食道炎の可能性があります。逆流性食道炎とは、胃酸が逆流することで食道の粘膜が傷ついて炎症を起こす病気です。原因は加齢や肥満、姿勢、脂肪分の摂りすぎ、喫煙、飲酒など多岐にわたります。
逆流性食道炎の症状・胃もたれ・胃痛
・喉のつかえ感・違和感
・げっぷ・咳・胸焼け・胸の痛み
・喉がイガイガして飲み込みにくい
扁桃炎・喉頭炎・咽頭炎
細菌やウイルスなどの病原体に感染して喉が炎症を起こすと扁桃炎や喉頭炎、咽頭炎を発症し、食べ物が飲み込みにくくなることがあります。
おもな症状・倦怠感
・のどの痛み
・発熱・耳の痛み
・声のかれ・かすれ
・飲み込む時の痛み
とくに咽頭は空気の通り道のため、炎症によって腫れが強くなると急激に呼吸が苦しくなることもあり、注意が必要です。
癌飲食物や唾液の通り道となる咽頭や喉頭、食道などに癌ができた場合も、喉のつかえ感や飲み込みにくさを感じることがあります。癌が進行すると喉や食道の粘膜が大きなダメージを受け、飲み込む時に喉の痛みを感じます。
また、舌癌や歯肉癌ができた場合も舌の動きが悪くなり、飲み込みにくさを生じるケースがあります。口腔癌の原因は数多くあるものの、喫煙や飲酒が大きなリスクになります。
症状・出血
・口臭
・声のかすれ
・口腔内の痛み
・歯のぐらつき
・喉・胸の違和感
・しこり・腫れ・ただれ
脳梗塞・脳出血・くも膜下出血
脳の血管が破れたり詰まったりする脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)を発症すると脳に血液が届かなくなり、脳細胞が障害されてしまいます。脳の損傷部位によっては嚥下障害を引き起こすこともあります。脳卒中のおもな原因は高脂血症や高血圧症、糖尿病、喫煙などによる動脈硬化です。
症状・呂律が回らない
・言葉が出てこない
・激しい頭痛がする
・会話が理解できない
・片目が見えない
・物が二つに見える
・視野の半分が欠ける
・立てない・歩けない・フラフラする
重症の場合は意識が悪くなることもあるため、症状がみられた場合は早急に医療機関を受診してください。
気になる症状があれば病院の受診を
食べ物が飲み込みにくい状態が続いて日常生活に支障をきたしている場合は重大な病気が隠れている場合もあるため、放置せず医療機関を受診しましょう。とくに癌は早期発見・早期治療が重要なため、早めに医師に相談することが大切です。
・神経症状を伴う場合:脳神経外科・神経内科・喉や胸の違和感を伴う場合:消化器内科
・口の中に異常がある場合:口腔外科・歯科医院
原因がはっきり分からない場合、まずはかかりつけの内科で相談しましょう。