求人情報サイト「バイトル」などを運営するディップ(東京都港区)は、「コロナ禍の採用活動とコロナ収束後のDX」について、人事部門と直近1年以内に転職をした969人を対象に調査を実施した。その結果、採用業務のデジタルツール導入率は43.8%となり、導入した企業の76.1%が「効果を実感している」と回答。人事部門におけるコロナ収束後のデジタルツールの定着については、86.3%が「定着する」「利用が進む」と回答した。

 人事部門に向けた「採用業務のDXの状況」の調査では、大企業と中小企業でデジタルツールの導入率に差が生じた。

 従業員300人以上の大企業では導入率が52.1%と半数を超えている一方で、300人未満の中小企業では32.6%と、大企業と比べて20ポイント近くの差が生じている。そのうえ、中小企業は「導入を検討していない」が49.2%とほぼ半数を占めており、大企業に比べてDXの遅れが顕著に現れた。

 生産性の変化については、全体の23.1%が「向上した」と回答。企業規模別で見ると、大企業では27.9%が「向上した」と実感していたが、中小企業では16.6%と、生産性においても両者に差が出ていた。

 デジタルツールの活用シーンとしては、面接や入社時の手続きなどに取り入れられたようだ。面接時のデジタルツール利用実態を聞いたところ、ほぼ半数の48.4%が「Webで行っていた」と回答し、大企業と中小企業での差もあまり見られなかった。一方、入社手続きの方法では「書類でのやり取り」が68.6%、「オンライン上でのやり取り」が31.4%と、面接と比較してオンライン化が遅れている現状が見られた。また、大企業より中小企業のほうがオンラインの利用率が少ない実態もあった。

●デジタルツールの効果

 デジタルツールの効果については、「効果を実感している」が76.1%と、多くの企業で変化があったという。

 その理由として、「業務スピードの効率化に繋がったから」(55.5%)が最も多く、次いで「リモートワーク化での働き方にフィットしたから」(38.9%)、「遠方の方の採用をしやすくなったから」(37.1%)となった。ただし、中小企業においては「(効果実感は)特になし」が22.9%と、大企業の6.3%と比べて15ポイント以上も差があり、一概に効果を実感できるとはいえない現状もあるようだ。

 デジタルツールを利用しての面接と入社手続きの満足度について、全体平均で72.3%が「満足している」「やや満足している」と回答。ただ、転職者と人事部門の間で差が生じており、転職者は35.5%が満足しているのに対して、人事部門は22.5%と13ポイントの差があった。人事部門からのフリー回答では、「面接時、人間性がわからない」「自社の説明が伝わっているか不明」などの理由が挙げられた。

 人事部門におけるコロナ収束後のデジタルツール定着については、全体平均で「利用が定着する」が50.3%と半数を占めており、「利用が進む」35.8%を含めると86.1%がコロナ収束後のデジタルツール定着が高くなると予測した。「利用が進む」の回答として最も多かったのは、「入社時のオンライン書類提出ツール」(39.6%)という結果に。前述の通り、現時点では「入社手続き」のオンライン化は遅れているものの、これから利用が伸びるかもしれない。

 利用が進むと予測できる背景として、「エントリーの数が圧倒的に増加、全国各地から応募が集まるようになった」という「応募数の増加」を理由に挙げる意見が多く、時間・場所の制約が緩和されたことにより、応募時のハードルが下がったことがうかがえる。同時に「エントリー増加により、志望動機が不明瞭な応募者が増える」といった意見もあるが、一方で「入社希望者が増えたため、入社条件を厳しくして、よりいい人材や若手社員の獲得を目指すようになった」と、より優秀な人材の採用を目指す様子もうかがえた。

 この調査結果を踏まえ、ディップのDX事業本部 三浦日出樹本部長 は「一次面接は、地理的制約なしに優秀な人材に会えるWEB面接、最終面接はやっぱり対面で見極める、というように、Webと対面を併用できるように確立していく必要があるでしょう」と語った。

 調査は、2021年07月16〜26日にインターネットで実施。首都圏に住む20〜69歳の男女969人 (直近1年以内転職者 515人、人事部門 454人)を対象とした。