吉野家は8月14日から、創業120周年記念として、牛肉のサーロインを使用した商品「特選すきやき重」を全国で販売する。価格は860円(税込)で、同社が全国販売した牛肉商品の中で最も高い設定だという。約50万食限定での販売となる。

●初めてサーロインを使用

 特選すきやき重は、黒いお重に盛られたご飯の上に、1.8ミリの薄さにスライスしたサーロイン120グラムが載っている。すきやき重と生卵、みそ汁、お新香がセットになっている。ぜいたく感が味わえる商品だ。

 お重を使った高級牛肉商品は、これまでも2店舗限定で出していた。国会議事堂内の永田町一丁目店と羽田空港国際旅客ターミナル店で販売している、国産和牛を使用した「牛重」だ。他の店舗でも「高級な牛肉商品を食べたい」という声が多数あったことから、今回の商品開発に至ったという。全国販売の量を確保できて、かつ、おいしい材料として、北米産サーロインを採用した。

 サーロインを使用するのは同社として初めて。伊東正明常務は、「原価率は高めの設定。原材料費は通常の牛丼と比べて2倍以上」と話す。全国約1200店舗で販売するため、牛肉の価格相場を変えないように慎重に原材料を確保してきたという。

●0.1ミリ単位で薄さ調整

 開発には1年以上をかけた。伊東常務は「本当に大変だった」と振り返る。実験店で試作したときには、調理のばらつきが課題になった。「赤身肉は繊細。全店舗で安定的においしく作ることが難しかった」(伊東常務)。新たな調理器具として、小さめの圧力鍋を導入することで、どの店舗でも同じように肉を煮ることができるようにした。

 肉は1.8ミリに薄くスライスしている。0.1ミリ単位で調整を繰り返し、「最も柔らかくおいしい味に仕上がる」として、この薄さに行き着いた。通常の牛丼を煮ている鍋からすくったたれでこの肉をさっと煮て、盛りつけた後に特製の「すきやきのたれ」をかける。「たれもたくさんの種類を試した。肉とたれとご飯のバランスを探るのも、大変だったことの一つ」と伊東常務は振り返る。

 50万食を用意しているが、1カ月程度で売り切れる想定だという。「ロイヤルユーザーの方に召し上がってもらいたい。また、赤身肉なので脂身が少なく、女性なども食べやすいのでは」(伊東常務)

 同社は創業120周年の節目として、3月に新サイズ「超特盛」「小盛」の販売を始めたり、5月には新商品「ライザップ牛サラダ」を発売したりと、記念となるメニューを相次いで投入している。「あらためて『牛肉といえば吉野家』というイメージを発信」(伊東常務)し、ブランドイメージの定着を図る。