外食チェーンで、ちょっと珍しいメニューの投入が増え始めている。

 牛丼チェーンの松屋は、1月14日から「シュクメルリ鍋定食」(790円、税込、以下同)と「シュクメルリライスセット」(730円)を全国で販売する。「シュクメルリ」とは、にんにくとチーズのソースで鶏肉を煮込んだジョージアの料理。

 同メニューは、2019年12月に全国約70店舗でテスト販売を行っていた。店舗によって、野菜を付けたり付けなかったり、価格を変動させたりといった変化をつけてテストしたという。店舗オペレーションやお客の意見などを踏まえ、テスト店舗で最も好評を博したパターンでの販売を決定した。

 テスト販売期間中はジョージア大使館のメンバーが食事するシーンをTwitterに投稿するなど、大きな話題となった。松屋の公式アカウントで、全国展開を希望する声を募ったところ、2万件超のツイートがあったという。

 今回のメニューは、「松屋世界紀行」と銘打ったシリーズの第1弾だ。これまでにも中国、韓国や欧州のメニューを展開したことはあったが、「松屋らしさを出しながら、ふだんなかなか食べないような世界各地の料理を届けたい」(担当者)という考えから、シリーズ化した。

 第1弾としてシュクメルリをチョイスしたのは“渋い”選択とも思えるが、「『世界紀行』ありきではなく、ふだん食べないようなメニューを探したときにシュクメルリを見つけた。松屋でも提供可能だという判断ができたので、ジョージアの紹介も含めて商品化を決定した。世界紀行は、その後から付いてきたキャッチコピー」と担当者はコメント。

 松屋では、新商品を1カ月に2回のペースで投入している。1つの商品について、1カ月強の販売期間を予定しており、シュクメルリも4〜5週間程度の期間限定で販売するという。今後の松屋世界紀行でのメニュー展開については「当社は『みんなの食卓でありたい』という思いから、豊富なラインアップで飽きのこない料理を展開している。世界のおいしい料理を多くの人に食べてもらうため、メニュー開発は進めているが詳細は控えたい」とコメントするにとどまった。

●外食チェーンで続々と登場する異色メニュー

 松屋が展開するのはジョージアという国のシュクメルリという、ちょっと珍しいメニューだが、実は外食チェーンではこうした一風変わったメニューが増え始めている。

 例えば、サイゼリヤではラムの串焼きがメニューに登場した。「アロスティチーニ」(2本399円)という名称で、当初は一部店舗で試験的に販売していたという。19年12月のメニュー改定からグランドメニューに掲載。「ちょい飲み」層を中心に支持を広げている。イタリア料理とラムは不思議な組み合わせにも感じるが、イタリアの山岳地帯ではポピュラーな料理なのだという。

 名代富士そばでは「肉骨茶そば 〜名代富士そば流〜」(590円)を販売。シンガポールやマレーシアの料理で、にんにくとこしょうをスープに効かせたメニューだ。「そば」と言いつつもそばつゆは一切使っておらず、豚肉メインのラーメンスープを使用している。

 19年10月から一部店舗でテスト販売していたが、松屋とサイゼリヤと同様に好評を博して同年12月から全国展開。当初は10万食ほどのスープを用意していたが、約2万食のスープを追加で用意。公式Webサイトでは「当初の予定を上回る、とても良い勢いで売れています!」とコメントしている。1月以降、販売を継続するかどうかは各店長の判断に任されている。

 飲食チェーンといえば、全国どこで食べても同じ味を比較的安価に提供するという「安心感」が1つの売りだった。こうした珍しいメニューを提供するのは、増税などで内食、中食が増えることに対する危機感の表れなのかもしれない。