人間の代わりにロボットが働くようになれば、人手不足を解消できるのか。そんな実験を、居酒屋チェーンを運営する養老乃瀧が東京・池袋で始めた。既存店舗の一部にロボットが接客やドリンク提供を行う「ロボ酒場」を設け、店舗の省人化や効率化にどれだけ効果があるか検証するという。ロボットがどんな接客をしているのか、実際に店舗で確かめてみた。

 ロボ酒場は、JR池袋駅南口付近の「一軒め酒場」内にある。ロボットは作業カウンターやビールサーバーを取り付けた専用スペースに立っており、天井に設置された4つのカメラで来店者を認識。「ロボ酒場へようこそ」などと声をかける。

 ロボットの挨拶や表情は、来店者の年齢や性別、表情などに合わせて変化する。どんな人にどんな接客をする接客をすると喜ばれるかを、搭載したAI(人工知能)に学習させることで、徐々に接客の質を高められるという。

 ロボ酒場で注文できるのは、「ロボ生ビール」や「桃色ロボ想い」といった専用のドリンクメニュー6種類のみ。価格はそれぞれ税込500円。ロボットに口頭で注文することはできないため、先に店舗スタッフからQRコード付きのチケットを買う必要がある。

 購入したチケットをロボ酒場のコードリーダーにかざすと、ロボットが注文を認識。「ロボレモンサワーは絶品ですよ」などと来店者に声をかけながら、ドリンクを作り始める。ロボットアームでプラスチックカップを握り、注文に合わせて必要な飲み物や氷をサーバーから注いでいく。カクテルの場合は、一度ドリンクを台においてマドラーをつかみ、くるくると数回混ぜてから提供してくれる。

 提供までの時間は、ビールなら約40秒、カクテルやハイボールなら約100秒。人間が提供するのとほとんど変わらない。人手が必要なのは、飲み物やカップの補充、ロボットが止まるといったトラブル対応などに限られるため、店舗の省人化につながる可能性が高いという。

 今回の実験で養老乃瀧は、店舗の作業や人手をどれだけ減らせるかを確かめ、ロボットの本格導入に向けて検討を進めるという。どんな立地や利用層の店舗なら展開できるか、集客効果なども含めて1台約700万円という導入コストと釣り合うかなど、ロボットのメリットを総合的に判断する考えだ。

 外食業界の人手不足は年々深刻化しており、同社も例外ではなない。都心の店舗でも数年前と比べて店舗スタッフの応募が2、3割減少するなど、人材確保が困難になりつつあるという。

 養老乃瀧の土屋幸生取締役は「実際どれだけ人手不足の解消につながるかはまだ分からないが、ロボットの活用が省人化につながる可能性は高いと考えている。実験を成功させて、新しい居酒屋の形を作りたい」と意気込む。

 ロボ酒場は1月23日〜3月19日まで営業予定。接客ロボットはロボティクス・サービス・プロバイダーの「QBIT Robotics」(東京都千代田区)が提供している。