1893年創業の酒蔵が、「チロルチョコきなこもちに合う日本酒」を9月16日に発売する。希望小売価格は720ミリリットルが1200円、300ミリリットルが580円(いずれも税別)。現在オンラインショップで先行販売している。日本酒の国内消費が年々減少する中、話題性を高めて日本酒の需要を拡大させたい狙いだ。

 製造したのは、明治時代から酒造りを営んできた酒造メーカーいそのさわ(福岡県うきは市)。創業当初からの技を伝承した「磯乃澤」や、食中酒として楽しめる「駿」などの銘柄を製造している。酒類の販売代行やコーディネートを行うSBS(東京都中央区)から提案を受け、同じ福岡県で製造されている「チロルチョコ」に合う日本酒の製造を開始した。

 同社は2019年に、低アルコールで甘酸っぱいにごり酒に仕上げた「チロルチョコミルクに合う日本酒」を販売した。すると「日本酒が苦手な人でも飲みやすい」「本当にチロルチョコに合う」などと、多くの反響を得たという。そこで第2弾として今回の商品の製造を開始。以前から製造してきた「うすにごり」の酒をベースに、3カ月程の期間をかけて味の調整を行った。きなこもちの甘いチョコレートに合うよう、やや辛口のにごり酒に仕上げた。同社取締役 統括本部長の高木亮三朗氏(「高」ははしごだか)は、「日本酒になじみがない人や、チロルチョコ好きの人に楽しんでほしい」と期待を込める。

日本酒の消費は年々減少

 商品を考案したSBSはこのほか、各地の酒造メーカーと提携し「ココアシガレットに合うお酒」や「歌舞伎揚に合う日本酒」など、「お菓子に合うお酒」を手掛けている。企画を提案した経緯について担当者は、酒屋の店内で買った酒を飲む「角打ち」で、駄菓子がつまみに出されていたことを参考にしたと話す。「日本酒の消費が減る中で、若い人にも気軽に日本酒を楽しんでほしい」との思いから、各地の提携する酒蔵を中心に提案を行ったという。組み合わせる商品については菓子の製造元と調整し、酒蔵の味に合いそうな商品や、同じ地域で作られているものを選んでいる。

 日本酒の消費は年々減少し、清酒の課税数量は1973年度をピークに、2018年度には3割以下まで減少している。しかし、その減少幅の多くは「普通酒」と呼ばれるもので、吟醸酒や純米酒など、原料や製法にこだわった「特定名称酒」に関してはほぼ横ばいで推移している。限られた飲酒の機会に「より良いものを楽しみたい」と考えている人が一定数存在することが分かる。

 いそのさわの高木氏は「より良いものを」という点に商機を感じているという。「話題性のある商品や、こだわった酒を提供して業界を盛り上げていきたい」と話す。第3弾の製造について、「現時点で予定はない」というが、他の企業からも食べ合わせの提案があればぜひ検討したいとしている。