ハンドルがなく、GPSで位置を測定し、設定したルートを自律走行する――。そんなバスが9月18日から、東京都大田区の羽田イノベーションシティー(HICity)で定常運行している。乗り心地はどうなのか、実際に乗ってみた。

 運行する車両は、フランス、ナビヤ社製のNAVYA ARMA(ナビヤ アルマ)。車体のラッピングは、施設コンセプトである先端産業と文化産業の融合をイメージしているという。車内は11人乗りでハンドルやブレーキペダルがなく、乗客はコの字型に座るようになっている。ドライバーと運行保安員が同乗するが、あくまで緊急時の対応要員。必要な操作は、車内のパネルやゲーム用のコントローラーで行う。

 運行主体は、HICityの開発を進める羽田みらい開発。鹿島建設や日本交通のほか、ソフトバンクの子会社で自動運転サービスの開発を手掛けるBOLDLY(東京都千代田区)、半導体商社のマクニカ(横浜市)が協力をしている。HICity内で働く人や来訪者の移動を目的としていて、来訪者は誰でも無料で乗車することができる。

●乗り心地は?

 観音開きのドアが閉じ、さっと動き出した。敷地内を7〜8キロで走行する。乗車前はゆっくり走るように見えたが、実際に乗ってみると遅さは感じない。カーブも違和感なく曲がっていく。ただ、駐車場内では頻繁にブレーキがかかる。車の合流場所や、停止位置では自動で止まるようになっていて、ドライバーが安全を確認してモニターの発車ボタンを押して進行する。通常のバスに比べて少し急ブレーキ気味にも感じたが、全体を通してスムーズな乗り心地だった。

 車両の運行管理は、BOLDLYが提供する自動運転車両の運行管理プラットフォーム「Dispatcher(ディスパッチャー)」を活用。遠隔地からバスの運行管理、監視ができ、車両に異常があった場合はアラートが鳴るため、常に人が監視する必要はないという。また、飛び出し多発地点など、危険な位置を自動で分析し自律走行に反映できるという。さらに、1台で複数の異なる車種の車両を監視できるため、バス会社などの人手不足解消が期待できる。現在は、HICity内で実証実験が行われる自律走行低速電動カートと、NAVYA ARMAを同時に管理している。今後はHICity内ではなく、日本交通の営業所で運行を管理するという。

 このNAVYA ARMA、秋には茨城県境町での運行を計画している。BOLDLYの担当者は「ドライバー不足で、運休や減便せざるを得ない地域の交通網を支えていきたい」と話す。近い将来、過疎地域での交通手段として、自律走行バスが活躍しているかもしれない。