福岡・博多発祥のラーメンブランド「一風堂」、2020年10月16日に創業35周年を迎えた。それを記念し、同日から定番ラーメンの「からか麺」をリニューアル。国内125店舗で販売している。その狙いは何か。

 今や世界各地に出店する一風堂だが、新型コロナウイルス感染拡大による店舗休業や外出自粛の影響を受け、苦戦を強いられている。一風堂を運営する力の源ホールディングスが公表した国内既存店の売上高(2020年4月〜9月)は前年同期比で58.1%、客数も59.5%となった。そんな中同社が投入したのが「極(きわみ)からか麺」(税別850円)だ。

 リニューアルした「からか麺」は、どのような特徴があるのだろうか。とんこつスープに自家製ラー油と香油を合わせ、辛味とコクをプラス。麺も「中太ストレート麺」から、博多ならではの「細麺」に変更した。からさは「普通」と「特辛」の2種類を用意。また、炒りゴマや練りゴマなどで作った特製のゴマペーストの「胡麻ばくだん」を別皿で提供する。

 これまでのからか麺は「辛くない」状態でも提供でき、幅広い層の人から支持を得ていたという。ではなぜ同社はリニューアルを決断したのだろうか。

●常連からのリクエストで誕生

 一風堂といえば、「白丸元味」「赤丸新味」をイメージするが、実はからか麺の方が歴史は古い。からか麺は1989年に一風堂の第1号店、大名本店(福岡市)で誕生。常連客からのリクエストによって生まれたという。今では白丸元味、赤丸新味に次ぐ売り上げを誇り、根強いファンが多い。

 長い間支持を得ている理由について、広報担当者は「必要があれば、(味を)随時変えているからではないか」と話す。実はからか麺のリニューアルは初めてではない。今回を含め、4度のリニューアルを重ねている。

 創業35周年を迎えたことしは、新型コロナウイルスの影響もあり、過去に人気を博してきた創業イベント「ラーメン無料振る舞い祭」などを実施しない決断をした。しかし「一風堂らしく世の中に『刺激』を与え続けたい」と、からか麺のリニューアルを実行した。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、従業員が集まれない中の開発は困難を極めたという。創業日である10月16日の提供開始に向け、トッピングの開発やスパイスの配合など、およそ2カ月間試行錯誤を重ねた。

 今回のリニューアルではとことん「辛さ」にこだわった。「からか麺は辛いラーメンであり、辛くあるべきだ」という信念に立ち返り、発売当初のレシピを参考に開発。前回のからか麺とは趣向を変え「辛いもの好き」な人をターゲットに絞った。

 また一風堂は、実店舗やメニューの改革のみならず、コロナ禍の中で新しい取り組みを進め、新たな顧客創出を目指している。

●「いかにラーメンを人々に届けるか」を考える

 テークアウト需要の高まりを受け、8月には伸びにくい専用麺を使ったテークアウト商品を開発。さらに、10月15日には、ニンテンドースイッチ専用ソフト「あつまれどうぶつの森」のゲーム内で、オリジナルの島「いっぷう島(いっぷうとう)」を公開している。「実店舗だけでなく宅配、EC、バーチャルとさまざまなチャンネルを活用し、いかに『ラーメンを人々に届けるか』を考えている」(広報担当者)

 一風堂ブランドは08年、米国・ニューヨークに海外第1号店をオープンして以降、現在は世界15の国と地域で展開している。コロナ禍の今、営業を再開できない地域もあるが、グループの企業理念「変わらないために、変わり続ける」を反映した戦略を進め、コロナ禍を乗り切ろうとしている。