空を自由に移動してみたい――。そんな夢が近い将来実現するかもしれない。

 「空飛ぶクルマ」と呼ばれる電動垂直離着陸機の開発と販売を目指すスタートアップ企業SkyDrive(東京都新宿区)が、8月に空飛ぶクルマの有人飛行に成功したことが話題になった。同社はその展示用モデルを10月4日から都内で一般公開している。

 空飛ぶクルマは、正式名称を「電動垂直離着陸型無操縦者航空機」といい、電動化、完全自律の自動操縦、垂直離着陸が大きな特徴だ。

 有人飛行に成功した機体は1人乗りで、パイロットが操縦をするが、コンピュータ制御のアシストで飛行を安定させているという。また、バックヤードでは飛行状態をモニタリングし、安全を常時確認している。

 一般公開の会場では静止状態の機体に乗ることができる。機体の内部はどうなっているのか。実際に乗り込んでみた。

●空飛ぶクルマは「コンパクト」サイズ

 座席を囲む部分が大きく前方に開くようになっていて、そこから乗り込むことができる。座席部分は足が伸ばせる程ゆとりがある。また、飛行機のような「操縦かん」などはなく、行き先などを入力するディスプレイのみを搭載している。今回公開された機体は展示用モデルで、実用化に向けて今後も開発が進む。担当者は「自動運転で誰もが簡単に乗ることができる機体を目指している」と話す。

 実際に見て感じたことは、空を飛ぶとは思えないほど「コンパクト」だということだ。日常の移動手段として普及させるため、一般的な駐車場2台分に収まるよう設計しているという。現在は1人乗りだが、将来的には2人乗りで時速100キロ、20〜30分の航続時間を目指している。

 空飛ぶクルマは、都市部でのタクシーサービスや、離島や山間部の新たな移動手段、災害時の救急搬送などでの活用が期待されている。

 空飛ぶクルマの市場規模は、2040年に全世界で約150兆円超になるとも予想されていて、各国で開発が進められている。日本でも、18年に「空の移動革命に向けた官民協議会」を設置したほか、経済産業省と国土交通省によって、23年の事業開始、30年の本格普及に向けたロードマップが制定されている。

 SkyDriveは、初期の販売価格を5000万円前後と見込んでいる。実用化に向けては、飛行空域や離着陸の場所など課題も残るが、近い将来「ちょっとそこまで飛んでくる」という時代が訪れるかもしれない。