アイリスオーヤマは1月7日、同社を含むグループの2020年度決算の速報値を発表した。グループ29社全体の売上高は、過去最高の6900億円(前年比38%増)、経常利益9.0%で増収増益となる見込みだ。

 アイリスオーヤマ単体での売上高も過去最高の2185億円(同36%増)、経常利益は2.2倍の270億円となった。好調の要因として同社は、新型コロナウイル感染対策で需要が増えているマスクやサーキュレーターのほか、巣ごもり需要による液晶テレビや電気圧力鍋などの生活・調理家電、テレワーク需要によるデスクやチェア、ディスプレイモニターなどの売り上げが伸びたことをあげる。

 アイリスオーヤマは、新型コロナウイル感染拡大や長期化に伴い、マスクの生産体制を強化している。20年の累計生産数は約26億枚。販売実績は200億円に上った。中国の大連工場と蘇州工場の2拠点に加え、7月には、宮城県の角田工場にマスク生産設備を導入。日本国内で月に2億3000万枚を供給できる体制を構築した。また、中国での感染拡大時に、マスクの資材である不織布の調達が困難になった経緯を踏まえて、同工場内に資材製造設備を導入している。

 さらに、医療機関で不足している「医療用N95マスク」と、品薄状態が続く「除菌ウェットティッシュ」の生産に向け、10億円を投じて角田工場内に生産設備を導入。21年秋の稼働を予定している。その他、米、仏、韓国の各工場にもマスク生産設備を導入し、グローバルで月約5億枚の供給体制を構築している。

 新型コロナウイル感染対策関連の商品では、マスクのほか、室内の換気に使うサーキュレーターの販売実績が70億円、非接触で体温を測定するAI(人工知能)サーマルカメラが32億円などとなった。

●4K対応テレビや電気圧力釜が好調 家電事業は全体の57%を占める

 家電事業では、巣ごもり需要で好調だったテレビは4K内蔵テレビを中心に売れ行きを伸ばした。家電事業の売上高は前年比32%増の1250億円で、全体の57%を占める。主な商品の販売実績はテレビが63億円、除湿器が50億円、エアコンが45億円、電気圧力鍋が25億円。

 20年11月には、AI(人工知能)が番組に合わせた最適な画質と音質に自動で調整する機能を搭載した4K対応の液晶テレビを発売。従来のようにリモコンで設定を切り替える必要がなく、コンテンツの特長を最大限生かした映像を気軽に楽しめる点を訴求する。また、視聴環境などによって起こる映像の見えにくさや音声の聞き取りにくさを解消する「はっきり」ボタンを搭載し、他社製品との差別化を図る。

 また在宅時間が増え、自宅で料理をする機会が増えたこともあり、19年に発売した電気圧力鍋も売り上げを伸ばした。ボタンを押すだけで手軽に圧力調理や無水調理など6種類の調理ができ、「忙しい家庭でも簡単に本格的な料理が作れる」「調理の手間が省けて時間を有効活用できる」などと好評を博しているという。

 8月には大容量の「電気圧力鍋4.0L」を発売。一度に3〜4人分の料理を作れる他、高さを抑えた設計とし、卓上に置いても料理の取り分けがしやすく、グリル鍋としても使用できるよう配慮した。さらに、自動調理可能なメニュー数を15種類追加し、80種類に対応している。

●21年度のグループ売上高予想は前年比23%増の8500億円

 BtoB事業では、AIサーマルカメラ、デスクスクリーンなどの感染対策商品を発売。新規参入した「IoTソリューション事業」ではAIカメラ、AI除菌清掃ロボットを発売し、事業基盤を強化してきた。

 11月には、法人向け清掃ロボ事業に参入。ソフトバンクロボティクス(東京都港区)が開発・製造する除菌清掃ロボット「Whiz i」(ウィズ アイ)をベースにした「Whiz i IRIS EDITION」(ウィズ アイ アイリス エディション)を発売。

 Whiz i IRIS EDITIONは、多様な業種の利用ニーズに合わせて最適化でき、オフィスや商業施設に導入することで、清掃業務を自動化できるほか、外部機器と接続することで、スピーカーやカメラを用いた販促やマーケティングへの活用などにも応用できる点を売りにしている。

 海外では、ネット通販を中心に順調な売上と利益を達成した。20年11月には米「ペンシルベニア工場」を本格稼働させた。また、中国「天津工場」も21年6月に竣工予定で、海外でのネット通販に対応した物流・供給体制をさらに強化する。

 21年度の売上高予想は、グループ売上高8500億円(前年比23%増)、アイリスオーヤマ単体では売上高2800億円(同28%増)とした。

 21年は、冷蔵庫やエアコンなどの大型家電の開発を強化する。また、東日本大震災から10年になるのを機に、20年8月に静岡県の富士小山工場に飲料水生産設備を開設。災害時に首都圏へ早急に飲料水を供給できるよう、飲料水製造を本格稼働させる他、角田工場でのパックごはんの増設、つくば工場第2倉庫の増設など積極的な投資を実施し、22年にグループ売上高1兆円を目指す。