神奈川県藤沢市は、2020年3〜7月に江の島で行った人流解析の実証実験の結果を発表した。測定期間中は約1万3000人が来訪していて、一斉休校や緊急事態宣言の期間は、通常期の50〜80%程度まで減少していた。

 調査は、Webシステムの設計・開発などを行うトライ・ワークス(福岡市)とNTT東日本神奈川事業部と連携して実施。フリーWi-Fiサービスを活用し、観光案内所や貿易商のサムエル・コッキング氏が造成した庭園跡のサムエル・コッキング苑などへの来訪者数を推計。博報堂DYグループの協力を得て分析した。

 調査の結果、訪問者の約70%は東京都と神奈川県から訪れていたことが分かったという。一方で、コロナ禍以前に多かったインバウンド観光客は全体の5%にとどまった。

 また、緊急事態宣言期間が明けても、来訪数はすぐに回復しなかったが、観光施設の営業再開を契機に増加していった。Wi-Fi接続時に来訪目的を尋ねる調査を実施したところ、観光施設への訪問を目的とした人が、営業再開前と比べて水族館が2.12倍、温泉1.59倍、サイクリング・ショッピング1.46倍とそれぞれ伸長していた。

 また、アンケートに回答した人の割合で最も多かったのが「首都圏出身のおひとりさま」(28.3%)だ。訪問者全体と比較し、20〜40代の男性の割合が高くなった。また、訪問する予定と回答した場所は、主要な観光場所とは異なるスポットの割合が高かった。次いで、首都圏外からの観光客(27.1%)、「首都圏出身ファミリー」(19.6%)と続いた。この結果は、Wi-Fi接続時のアンケートに回答した人の割合であるため、藤沢市の担当者は、有用な検証結果だとしながらも、実際に訪れた割合と多少の誤差があるだろうと分析する。

 江の島へ向かう経路としては、江ノ島電鉄と小田急江ノ島線の利用割合が訪問者数の約50%を占めた。次いで、自動車、自転車・徒歩、バイクなど、近隣からの訪問を伺わせる交通機関の利用が約35%。バスやモノレールなどと続いた。

 同市は、調査結果を江の島への訪問者数拡大に向け活用する考え。来訪者を5種類に分け、それぞれの傾向に合わせた観光施策を検討するとしている。