マネーフォワードは、2020年に日本政府が支給した特別定額給付金10万円(以下、給付金)の家計消費に与える影響を研究した論文を発表した。その中で、給付金が支給された週から数週間にわたり、消費の増加が確認された。給付金のうち6〜27%が消費として利用されたと見られている。

 日本政府は、20年に新型コロナウイルスによる経済的影響に対する緊急対策として、国民全員に1人当たり10万円の特別定額給付金を支給した。

 給付金が振り込まれた週から数週間にわたって、消費が増加していることが確認できた。家計の消費への反応は、給付金を受け取った週が最も高く、その後数週間にわたって元の消費レベルに戻っていくことが確認された。指標ごとに6週間にわたる消費増加を足し上げると、狭義の消費で6%、預金の引き出しを追加した指標で16%、支出全体を見た広義の指標で27%ほど給付金が使用されたことが分かる。

 また、家計の属性ごとに消費の反応を調べた結果、労働所得がより少ない家計が給付金をより多く消費したことが確認された。また、給付金に対する3つの消費の指標の反応を、労働所得下位25%のグループと上位25%のグループで比較した。労働所得が低いグループでは高いグループに比べ、より多くの給付金を消費していたことが確認できた。

 家計の属性ごとに消費の反応を調べた結果、流動資産(現金、電子マネー、銀行の普通・定期預金、有価証券などの総額)を十分に保有していない家計では、給付金をより多く消費していたことが確認された。給付金支給の前月末の純流動資産残高(流動資産からクレジットカードローンなどの負債を引いた残高)が月の労働所得より低いかどうかという基準で、純流動資産が月収に比べて低いグループの方が、高いグループよりも消費の反応が高いことを確認した。これは、経済学の標準的な消費理論が日本経済においても当てはまることを示唆している。

●カテゴリーごとの消費反応は?

 最後に、消費のカテゴリーごとに消費反応を調べた結果、食費と生活必需品について、給付金の支給週から1〜2週間における反応を確認した。また、コロナ禍で減退したと考えられている対面を伴うサービスについても、給付金により消費が伸びていたことが分かる。

 耐久財や住宅ローン・家賃・保険などへの支払いによる支出は、給付金支給週以降、長期にわたり反応を確認した。これらは日々の生活に早急に必要なものではないため、徐々に支出されたと考えられる。対照的に、食費と生活必需品と、対面を伴うサービスを除いたその他の非耐久財への支出は、ほぼ反応が見られなかった。

 日本では、給付金の現金給付が決定したことを受け、当時Twitter上で「#給付される10万円どう使う」というハッシュタグが人気となり、10万円の使い道について議論が繰り広げられていた。その利用は多岐にわたり、投資に利用する人や、日々の生活費用にするしかなかった人もいた。

 コロナ禍はとどまる気配はなく、感染は日々拡大している。新たな給付金を望む声も高まっており、国としての今後の経済対策が注視される。