東京商工リサーチは4月19日、「賃上げアンケート」を実施し、その結果を発表した。2021年度に賃上げを実施する企業は66.0%で、前年度を8.5ポイント上回ったことが分かった。20年度は、コロナ禍の影響を大きく受け、調査開始以降、最低の57.5%を記録。ただ、賃上げ実施率が80%を超えたコロナ前の水準からすると、10ポイント以上低い結果に。

 規模別でみると、「実施する」と答えた大企業は74.1%に対し、中小企業は64.8%。実施する企業のうち、上げ幅の中央値は大企業で2.0%、中小企業で2.3%、中小企業の中でも賃上げ余力の差が生じていることが明らかに。

 「実施する」と答えた企業を産業別にみると、「製造業」(71.95%)が最も多く、次いで「建設業」(67.41%)、「卸売業」(66.93%)、「運輸業」(65.79%)と続いた。一方、最も低かったのは「不動産業」(46.29%)、「金融・保険業」(48.44%)、「農・林・漁・鉱業」(56.25%)だった。

●賃上げ率

 賃上げを「実施する」と答えた企業に賃上げ率を聞いたところ、最も多かったのは「2%以上3%未満」(26.6%)、次いで「1%以上2%未満」の24.0%。

 「50%以上」は8.2%だったが、20年度実績は0.7%だった。「この差は、コロナ禍で賞与などの賃金を大幅に削減した企業が、支給水準を戻した結果とみられる」(同社)。中央値は、全企業で2.1%、大企業で2.0%、中小企業で2.3%だった。

 今回の結果を受けて、東京商工リサーチは「ワクチン接種効果で経済活動が本格回復を迎えた場合、人手不足の顕在化が懸念されている。賃金を含む待遇の差は、求人面でのインパクトは大きい。賃上げに対応できない中小企業は、人材獲得での苦戦が避けられないだろう。さらに、求人が計画を下回った場合、生産活動への支障も起きかねず、債務返済や事業再構築にも悪影響が危惧される」とコメントした。

 インターネットを使った調査で、8235社が回答した。調査期間は4月1日から12日まで。