帝国データバンクの調査によると、37.2%の企業で正社員が「不足」していることが分かった。1回目の緊急事態宣言下の2020年4月から6.2ポイント増加、新型コロナの影響がない19年4月と比較すると13.1ポイント下回る結果となった。

 正社員数が「適正」と回答した企業は47.6%(前年同月比0.4ポイント増、19年比6.3ポイント増)だった。半数近い企業は適正と感じている一方、「過剰」と回答した企業は15.3%(同6.6ポイント減、同6.9ポイント増)となった。

 「不足」していると答えた企業を規模別にみると、「大企業」で42.0%(同3.3ポイント増、同18.0ポイント減)。4割超の企業で不足と感じているが、60.0%だった19年と比べると大きく低下している。

 「中小企業」は36.1%(同6.8ポイント増、同11.8ポイント減)、「小規模企業」は33.9%(同5.5ポイント増、同9.0ポイント減)だった。全ての規模で前年同月より人手不足の割合は増加しているが、19年と比べると大きく低下していた。

 業種別にみると、1位は「メンテナンス・警備・検査」と「教育サービス」で、ともに55.6%と高かった。次いで「建設」が54.5%、「情報サービス」が54.1%だった。「建設」は豪雨災害の復旧工事の大量発注などの影響で、「情報サービス」はデジタル化の促進に伴い、IT人材の不足が目立つようだ。

●非正社員の「不足」は20.6%、業種では「飲食店」が唯一5割

 非正社員が「不足」していると回答した企業は20.6%(前年同月比4.0ポイント増、19年比11.2ポイント減)で、4月としては17年の29.6%以来の2割台となった。「適正」であるは66.9%(同5.2ポイント増、同5.5ポイント増)。6割超の企業で適正と感じているようだ。「過剰」は12.5%(同9.1ポイント減、同5.7ポイント増)となった。

 「不足」している企業を規模別にみると、「大企業」は21.3%(同1.7ポイント増、同15.2ポイント減)、「中小企業」は20.5%(同4.6ポイント増、同10.1ポイント減)、「小規模企業」は19.9%(同2.9ポイント増、同10.1ポイント減)となった。企業規模を問わずおよそ2割の企業で人手不足を実感し、正社員と同様に全ての規模で前年同月より増加がみられた。しかし19年と比較すると、10ポイント以上低下していた。

 業種別では「飲食店」が50.0%(同33.6ポイント増、同28.6ポイント減)でトップとなるものの、19年(78.6%)と比較すると、人手不足の割合は大幅に低下している。次いで「教育サービス」(46.2%、同21.2ポイント増、同15.8ポイント増)、総合スーパーなどを含む「各種商品小売」(45.2%、同10.1ポイント減、同10.9ポイント減)、「メンテナンス・警備・検査」(42.8%、同7.6ポイント増、同13.4ポイント減)が4割台で続いた。

 直近2年間の人手不足割合を月次の推移でみると、19年の正社員は約5割台、非正社員は約3割台で推移していた。新型コロナの影響が拡大し、1回目の緊急事態宣言が発出された20年4月に大きく人手不足割合の減少がみられたが、5月の宣言解除以降、正社員・非正社員ともに緩やかな増加に転じていた。

 しかし、21年1月に2回目の宣言が発出されると再び減少。さらに、同年4月にまん延防止等重点措置の適用、3回目の同宣言が発出され、正社員の不足割合は37.2%となり、前月比から0.8ポイント減少した。非正社員は20.6%で、ほぼ同水準となった。

 同社の「TDB景気動向調査」によると、21年4月の景気動向指数は、前月比0.3ポイント増の38.3となり、3カ月連続で改善。国内景気は、3回目の緊急事態宣言の発出など経済活動が抑制された中、海外経済の回復傾向により輸出が大きく増加した。また、半導体関連の業界の好調さなどもけん引し改善した。

 こうした中、正社員の人手不足割合は前年同月より6.2ポイントの増加がみられた。しかし、新型コロナの影響を受けていない19年と比較すると、10ポイント以上も下回っている。非正社員や企業規模別も同様で、企業における人手不足感は高まっているものの、新型コロナ以前と比較すると緩和状態が続いている様子がうかがえる。

 21年に入り、経済活動などの制約を受けながら人手不足感は正社員は3割台後半、非正社員は2割台で横ばいの様相となっている。帝国データバンクは「コロナ禍という非常事態によって人手不足は大きく低下したが、抜本的な解決策がなければすぐに人手不足感は高まってしまう。次の高まりに備えた対策、対応を検討していく必要がある」と指摘する。

 調査は4月16〜30日に全国2万3707社を対象に実施。有効回答企業数は1万1003社(回答率46.4%)。帝国データバンクでは、雇用の過不足状況に関する調査を06年5月から毎月実施しており、今回は21年4月の結果をもとに取りまとめた。