ワークマンは6月17日、「#ワークマン女子」南柏店(千葉県流山市)をオープンする。これまで出店してきた駅チカの商業施設内の店舗とは異なり、JR常磐線南柏駅から徒歩10分、旧水戸街道沿いに位置する「路面店」だ。同社は路面店こそ“本命”だと説明する。これまでの店舗とは何が違うのだろうか。オープン前の店内を取材してきた。

 ワークマンは、2020年10月にJR桜木町駅に隣接する商業施設「コレットマーレ」(横浜市)に#ワークマン女子1号店を出店。同社にとって初の「駅チカ店舗」で、駅や施設を利用する一般のお客をターゲットとし、作業服などのプロ向け製品を置かない売り場構成とした。店内入り口にはピンク色のブランコを設置したり、オリジナルキャラクターの「わくこ」の人形を配置したりと「SNS映え」を意識した店舗づくりを意識した。

 #ワークマン女子初の路面店となる南柏店でもフォトスポットを配置し、SNS投稿や口コミで顧客を集める「循環型SNS集客」型の店舗を目指す。入り口に大きなわくこ人形を配置したほか、陳列棚には商業施設内の店舗よりも多く鏡を配置し、試着時の様子をそのままSNSに投稿できるようにした。

 同社によると、来店したお客の3〜4%が店舗や製品の様子をSNSで発信すると「バズる店」と呼ばれるのだとか。フォトスポットの設置を進めたコレットマーレ店のSNS投稿率は6%。お客がお客を呼ぶ循環型の集客ができていると胸を張る。

 また、ファミリー客が多い#ワークマン女子ならではの取り組みとして、子ども連れでも快適に試着できるフィッティングルーム「ママ楽」を設置。フィッティングルーム内にマグネット式のパネルを用意し、子ども達が自由に遊べるようにした。

●大量出店に向けた「実験店舗」

 店内構成は「レディース」「タウン」「アウトドア」「スポーツ」と4つのエリアに分けた。タウンやアウトドア、スポーツ売り場では男性向けやユニセックス製品を取り扱い、性別問わず買い物を楽しめるように配慮している。また、アウトドア売り場では、SNSなどで話題となっているアウトドア用品も取り揃えている。

 同社は南柏店を、今後フランチャイズで展開していくための「実験店舗」と位置付ける。具体的には、商品の品ぞろえはショッピングモール内の店舗と同じ「女性向け4割、ユニセックス2割、男性向け4割」の構成で良いのか。大量出店に備えどのような品ぞろえが良いのか、などの検証を進める。

 #ワークマン女子のモール店は女性客が7〜8割を占めてきた。一方で同社には、男性客の割合も増やしたい考えがある。作業着などのプロ向け製品を扱ってきた同社は、男性用の製品ラインを多く持っている。経営効率を考えると、男性向け製品がより多く売れた方が効率的というわけだ。

 #ワークマン女子ではファミリー向けのお客を意識し、動線を工夫するなど子ども向けや男性向け製品をまとめ買いしやすい売り場構成としている。モール店と路面店で客層の違いがあるのか、どのような構成がふさわしいのか、運営しながら検討するという。

 路面店1号店を流山市に設置したのも理由がある。同店が位置する柏、流山エリアには、すでに路面店やショッピングモール内の「ワークマン」「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」が存在する。同社にとって#ワークマン女子は、既存店から一般客を誘導し、店内の混雑解消を目指す狙いがある。既存店からどこまで一般客を誘導できるのか検証を進めるうえでも最適な立地だったという。

 しかし、一般客の分散を図るのであれば、従来の「ワークマン」「ワークマンプラス」として店舗数を拡大したら良いのではないか――。その問いに対して、担当者は次のように回答する。

●「#ワークマン女子」に「ワークマンプロ」続々出店するワケ

 「SNSなどで話題にして頂いたこともあり、数年前から多くの一般のお客さまもワークマンを利用していただくようになった。一般客向け製品の取り扱い数を増やした『ワークマンプラス』の出店も始めたが、製品ラインアップは変わらないため、既存店はいずれも混雑するようになり、プロ向け製品を買い求めるお客さまが入店できない事態が起きていた。客層を分け、どのお客さまも快適に買い物していただけるように、より一般客に特化したブランドを増やす必要があった」(担当者)

 プロ向け製品を買い求めるお客のため、既存店の駐車場は常に空けておく必要がある。しかし、一般向けの製品を買い求める客は作業客よりも駐車時間が約3倍長く、駐車場の混雑が常態化する店舗もあった。そこで一般客を同店へ誘導するため、従来店舗よりも駐車場を広くし、一般客がゆっくり買い物できるように配慮した。

 また同社は12月に「WORKMAN Pro(ワークマンプロ)」の出店も計画している。運営方法やロゴ、売り場構成などは検討中としているが、「プロ」と付けることで作業客が入店しやすい店舗イメージを構築する狙いがある。#ワークマン女子が一般客に特化した店であるように、「プロ」では、作業客がより買い物をしやすい店を目指す。

 ワークマンプロの1号店は東京都板橋区に出店する。なぜ板橋なのか、それにも理由がある。板橋区内には国内トップクラスの売り上げを誇る「ワークマン」がある。作業客の需要が高いエリアでプロ向け製品に特化した店舗を開設し、どこまで客層のすみ分けを図れるか検証するとしている。ワークマンプロの1号店は新築での出店となるが、反響次第ではワークマンからの業態変更なども「あり得る」という。

 コロナ禍でも好調のワークマン。#ワークマン女子は同店を皮切りに、今後10年で路面店を400店に増やす考えだ。業態を細分化し、一般客、作業客いずれの需要も逃さず取り込めるか、今後も注目だ。