マネーフォワードが法人カード事業に乗り出す。事業用プリペイドカード「マネーフォワードビジネスカード」の発行を開始し、事業支払いのキャッシュレス化を目指す。利用額の1%を独自ポイントで還元するほか、決済情報は、同社の会計システムと即時連携する仕組みだ。

 最大の特徴は、取り引き一回あたり最大5000万円という高額な決済に対応することだ。マネーフォワード指定の特定加盟店に限り、一回の限度額を通常500万円から最大5000万円に引き上げる。

 大きな決済額は、創業当時与信額に苦しんだ同社の体験からもニーズが高いと判断した。マネーフォワードの辻庸介社長は、「AWSの金額がギリギリ、広告が打てない。銀行口座にお金があるのに、クレジットカードがそれだけしか使えないのは、何とかならないか。ベンチャー企業は決済がクレカによっているので、成長をさらに加速できるのではないか」と話す。

●プリペイドに後払いを組み合わせ、クレカ相当に

 クラウド会計サービスの競合にあたるfreeeは、この冬限度額3000万円のクレジットカードの発行を予定している。一方で、マネーフォワードビジネスカードは、事前に銀行口座からチャージして使うプリペイドカードだ。なぜプリペイドカードを選択したのか。

 限度額を与信審査で決めるクレジットカードとは違い、すでに入金されている額を使うだけのプリペイドカードでは審査が不要になることが1つ。もう1つは、クロードズドベータとして提供する後払いサービスとの組み合わせだ。

 同社のクラウド会計を使い銀行口座とAPI連携していることを前提に、独自の与信を行い、最大で月間数億円規模の利用枠を提供する。「会社によっては数億、10億といった与信額も可能になる」(福岡開発拠点長&ウォレット事業部部長の黒田直樹氏)

 同社は現状割賦販売業の登録をしておらず、手数料なしの翌月払いのみの形だが、これにより、カードを利用して支払いは翌月末という実質的にクレジットカードと同じ機能を提供できることになる。

 プリペイドカードの場合、支払い額が確定しないガソリンスタンド、サブスクリプションサービス、ホテルなどの利用に制約があるが、これらについても利用を可能にしていく方針だ。「最初の段階ではセルフガソリンスタンドなどでは使えないが、加盟店側で利用不可としているところは少なく、発行側の回収リスクが問題。今後、ほぼ使えないところはなくす方向で、ガソリンスタンドなども対応可能にしていく」(黒田氏)

 後払いサービスは、今冬、一般にも提供する予定だ。

●カード決済がゴールではない

 もう1つ、プリペイドカードには特徴がある。銀行口座からのチャージの受け皿となるウォレットが存在する点だ。このウォレットの残高をプリペイドカードで決済に使うだけでなく、将来的にはウォレット自体から支払うことも可能になる。

 マネーフォワードは今回のビジネスカードを「ファーストローンチ」と位置づけており、今後はウォレット残高を活用したQRコード決済なども検討していく。さらに、資金移動業の登録を済ませれば、ウォレット間の送金なども可能になる。法人ウォレットということで、銀行振込に頼らない企業間送金手段としての可能性も出てきた。