紳士服大手の青山商事は10月1日、「THE SUIT COMPANY新宿本店」をオープンする。ザ・スーツカンパニー業態が展開する4つのブランドを集結したOMO型店舗の位置付けで、「TSC SQUARE(ティーエスシー スクエア)」として展開する。

 同店ではTSC事業(ザ・スーツカンパニー事業)が展開している、トータルビジネスブランド「THE SUIT COMPANY」、女性向けブランド「WHITE THE SUIT COMPANY」、大人向けセレクトショップ「UNIVERSAL LANGUAGE」、オーダー専門ブランド「UNIVERSAL LANGUAGE MEASURE'S」の商品を取り扱う。

 売り場面積は140坪の1フロア。4ブランドの商品を取り扱っている割にはスッキリとした印象を受ける。それを可能としたのが同社が導入を加速させている「デジラボ試着室」だ。

 デジラボ試着室は、タッチパネル式の大型サイネージやタブレット端末を通じて、ECサイトや全国の各ブランドの店舗在庫から好みの商品を選べるようにしたシステム。

 スーツはカジュアルウェアと異なり、着る人の身長や体格にどれだけフィットしているかが要となる。そのため幅広い体形に合わせるため、1つのアイテムごとに数十着を用意する必要があった。またお客にとっても、ECサイトのみで自分の体形に合った商品を選ぶことは難しいとされる。

 そこで同店ではネットと実店舗を融合した形として、店舗在庫を見本に試着や採寸を進め、デジラボ試着室ですべての在庫から色や柄を選び購入してもらう形式を採用。店舗にある商品をそのまま購入することもできる。

 さらに、ブランドコンテンツミックス店舗の利点を生かし、デジラボ試着室上でブランドを横断したコーディネートの提案も進める。

●物件費の抑制と幅広い顧客の獲得を狙う

 また、スーツは補正後に商品を受け取りに行く必要があったが、デジラボ試着室を経由して購入した商品は、同社のセンターから自宅への配送が可能となる。購入後は手ぶらで帰ることができ、受け取りに行く手間も不要とした。

 デジラボ試着室導入により、店舗の在庫数を4分の1まで減らすことができた。また、4ブランドを同じ店舗で展開することで物件費の抑制につながる他、幅広い年齢層を取り込む狙いもあるという。THE SUIT COMPANYのメインユーザー層は20〜30代。一方、UNIVERSAL LANGUAGEは30〜40代と、年齢層に違いがある。そこに女性向けブランドの「WHITE THE SUIT COMPANY」と、オーダーを導入することでより幅広い客層の利用が見込めるという。

 同社が2021年5月に発表した中期経営計画では「ビジネスウェア事業の変革と挑戦」として、顧客接点拡大を目指したOMO戦略やデジタル基盤整備などのDX戦略と、オーダー、レディス、フォーマルといった成長分野の拡大戦略へ向けた投資を進め、最終年度の23年度には、ビジネスウェア事業で250億円の増収を目指している。

 同社によると、コロナ禍でECの利用は好調に推移していて15年度比で3〜5倍となった。また、実店舗で商品を購入後、EC経由で2回目以降の買い物をした客は実店舗のみを利用しているお客に比べ、年間の購入率も増加する傾向にあるという。今後は実店舗とECの横断利用に向け、クーポンの配布などあらゆる施策を実施するとしている。

 また、成長分野であるオーダーにも力を入れている。同日からオーダースーツブランドである「UNIVERSAL LANGUAGE MEASURE'S」で、女性向けオーダースーツの受注を開始した。

 同社は今後、都内を中心にTSC SQUAREの展開を進めていく方針だ。ビジネスウェアのカジュアル化やコロナ禍による在宅勤務の定着で大きな影響を受けているスーツ市場。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除され「ウィズコロナ」に向けた社会の在り方が求められる中、同社が進める新しい購入体験と着用シーンの提案は受け入れられるだろうか。