日本能率協会マネジメントセンターは11月11日、「イマドキ若手社員の仕事に対する意識調査2021」の結果を発表した。新入社員とその育成に携わる上司や先輩社員2068人が調査対象で、2020年と比較して新入社員が組織に適応していくプロセスがうまく進んでいない実態が明らかとなった。

●若手社員に共通する課題は

 同社では、新しく組織に加わったメンバーが必要な意識、知識、技術などを獲得し、組織に適応していくプロセスを「組織社会化」と定義し、新入社員が課題や不安に感じる項目を「内定〜配属前」「配属1〜3カ月後」「配属6〜12カ月後」に分けて調査。

 その結果、内定〜配属前では「自分の殻を破れず、職場になじめない(前年比+8.7%)」「分からないことを聞けない(同+7.5%)」、配属1〜3カ月後では「プライドが傷つき、自信をなくす(同+5.6%)」「この会社で自分が成長していけるのかどうか(同+4.6%)」、配属6〜12カ月後では「上司・先輩と良い関係が築けない(同+8.5%)」「大勢の前でうまく話せない(同+5.0%)」などが課題に挙げられた。

 同社では、「テレワークなどの普及により職場との接点が減少し、1人仕事が増加したことなどが要因である」と推測している。

●時期別にみる新入社員の課題

 内定から入社後すぐの新入社員は、例年と変わらず「社会人としての生活リズム」に課題や不安を感じる結果となった。3人に1人が生活のリズムがつかめず、4人に1人が「仕事が自分に合っているか」を悩んでいるようだ。

 一方、コロナ禍前後の回答結果と比較してみると、テレワークにおける課題や不安が顕在化している。特に「自分の殻を破れず、職場になじめない」「上司・先輩と良い関係が築けない」など、社内の人間関係構築や仕事、キャリアなど今後の見通しが立ちづらくなっている様子がうかがえた。

 配属されて間もない1〜3カ月後も、リモート下で感情処理の課題が増加するなど、コロナ禍の影響を大きく受ける結果となった。

 調査では新入社員、指導者側双方の40%がテレワーク中心に移行していた。その影響もあり、生活リズムは整うも、リモート環境での1人仕事が増えている人が多いようだ。具体的な仕事内容や業務手順が把握できていないため、業務経験を通じたキャリア形成や課題認識ができる状態ではないことが明らかとなった。

 配属6〜12カ月後は、成長への不安や焦り、仕事への不安を抱える状態が続く中、「周囲との人間関係が築けない」「相談できない」課題が増加していた。新入社員が成長していく過程において重要な実体験を通じた「学び」や「指導育成(OJT)」の機会損失が発生している職場が多いようだ。

 同社では「自社や組織への適応がうまくいかないと新入社員は帰属意識、自己肯定感の形成などができないことによる退職やメンタル不全に陥ることにもつながる」とし、まずは職場の上司、先輩を中心とした受け入れ側が新入社員との対話を増やしながら、小さな成功体験の積み重ねやキャリア形成ができる状態にしていくことが重要としている。

●新入社員と上司で「期待すること」の認識ギャップが存在

 新入社員および上司、先輩それぞれに期待されていると思うこと/期待していることを聞いたところ、両者の認識ギャップがみられた。上司、先輩は「基本行動」や「考え方と態度」に関する項目を期待する一方、新入社員は「前に踏み出す力」を期待されていると認識していた。

 同社では「ギャップを解消するためには、指導側が対話やフィードバックを促進し、新入社員側の自己認識を高めながら両者で成長イメージや課題をきちんと共有することが重要となる」と指摘。今後は、決められた仕事をきちんと遂行するために必要な「基本の型(ビジネスマナー、仕事の進め方など)」に加え、環境変化に柔軟に適応していくために「創造的な発想で、新たな解決策をもたらすための考え方やスキル」が重要視されていくとしている。

 調査は21年6月、インターネット上で実施。20〜21年に入社した新入社員1020人、新入社員の育成にかかわる上司、先輩社員1048人から回答を得た。