新型スマートフォン「BALMUDA Phone」を正式発表したばかりのバルミューダが、インサイダー取引の恐れがある株取引を巡って、揺れている。同社は11月19日、役員報酬を全額返納(5カ月間)させるなどの処分を受けたのは、JINSの田中仁社長であることを明らかにした。田中社長は5月、バルミューダがスマホ事業への参入を発表する前に、同社株を買い付けていた。

 バルミューダによると、田中社長は株を購入した理由について「株を購入し、取締役会などで投資家目線で発言したかった」と話しているという。田中社長は購入したバルミューダ株を現在も保有しており、購入株の規模は「開示していない」(同社)としている。

 一連の報道を巡っては「インサイダー取引だ」との指摘が複数出ている。これに対し同社は「社内規定に違反したため処分した」と再度強調。「インサイダー取引に該当するかは、証券取引等監視委員会などの今後の捜査で判明するだろう」との見方を示した。社外取締役の辞任などについては「現時点では不明」(同社)としている。田中社長は2019年3月にバルミューダの社外取締役に就任していた。

 ITmedia ビジネスオンライン編集部は、ジンズホールディングスにも事実関係などを確認したものの、同社は「バルミューダでの事案であるため、回答できる立場にない。コメントを控えさせていただく」と回答した。

●スマホ事業参入の発表前にバルミューダ株を購入

 田中社長がバルミューダ株を購入したのは5月13日の正午ごろ。社内規定に基づき、株の買い付けを申請していたが、その時点で同社がスマートフォン事業への参入を発表する前だったとともに、翌14日から20日とされていた「売買承認期間」の期間外だった。

 その後、13日の深夜に田中社長は「売買承認期間外に誤って取引を行った」とバルミューダ側に申告し、同社も当初は「売買承認期間に関する錯誤によって行われたものであり、悪意をもって行われたものではない」としていた。

 だが、その後、第三者を交えた再調査の結果「錯誤による取引とはいえ、社内規程に違反したという事実に対して厳正に処分する必要があるとの認識に至った」として、5月から10月までの役員報酬の全額返納に加え、11月以降、5カ月間100%の減給とした。

 また、取引が発覚した時点で適切な社内処分を行わなかったとして、寺尾玄社長に対しても、減給10%(3カ月間)の処分を出していた。