美容の低年齢化が進むなか、脱毛サロン「エピレ」では、7〜15歳の女性を対象にした「キッズ脱毛」が飛躍的に向上している。2011年のオープン当初からの10年で、新規顧客に占めるキッズ(7〜15歳)の割合は約55倍になっているという。

 キッズ脱毛のボリュームゾーンは10〜12歳の小学校高学年で、夏場などに露出する機会が増える「腕」や「足」の部位を脱毛する顧客が多いという。男性の美容意識も高まり、医療脱毛を提供するリゼクリニックのアンケート調査では、男子高校生の8割が「体毛が気になる」と回答。無人で運営する低価格の「セルフ脱毛店」も都内を中心に増えている。

 ここ10年で脱毛市場は、どう変わったのか。「エピレ」の広報担当者への取材やアンケートデータをもとに考察する。

●脱毛を経験した親が、子にも脱毛を勧める

 脱毛サロン「エピレ」では、11年はわずか0.6%だったキッズ脱毛の新規顧客の割合が、20年には26.3%、21年には33.2%にまでアップ。今では、新規顧客の3人に1人がキッズになっている。

 エピレでは、初回限定のキッズ特別価格として、19部位から2カ所を選ぶプラン(490円)と両ワキ脱毛プラン(6回500円)を用意。キッズ脱毛の新規顧客のほとんどは、このプランを利用するそうだ。

 その後は、Lパーツ(ヒジ下など面積が大きいパーツ)1回7700円、Sパーツ(両ワキなど面積が小さいパーツ)2回7700円となり、一定回数をまとめて買うと割安になる仕組みだ。例えば、Lパーツ6回は3万360円となり、1回当たりが5060円となる。

 脱毛技術は大人と同様の美容ライト脱毛だが、大人より照射面積が少ないケースが多いことから、大人向けより価格が安いという。多くの顧客が6回前後のコースを選び、1年間ほどかけて通うそうだ。

 7〜15歳のキッズ脱毛顧客のうち、10〜12歳が最も多く、49%を占める。次いで、13〜15歳(36%)、7〜9歳(15%)となる。

 「10〜12歳のお客さまは、腕や足の脱毛がメインです。中学生になるとワキを処理する人が増える印象です。水泳やダンス、バレエなどの習い事で水着や衣装を着るため、または体育の授業で体毛が気になったからなどの理由が聞かれます」(広報担当者)

 キッズ脱毛の顧客が通い始めたキッカケを聞くと、子ども本人の意向もあるが、それと同じくらい母親の意向も強いようだ。

 「よく聞かれるのがお母さまやお姉さまが脱毛経験者だったり、ママ友に紹介してもらったりというケースです。お母さまの年齢は30〜40代で、サロン脱毛に抵抗感が薄い様子が見受けられます。カミソリで処理する前に脱毛させたい、自分が感じたコンプレックスを娘に感じてほしくない、といったお声も聞かれます」(広報担当者)

●男子高校生の8割が「体毛が気になる」と回答

 SNSで自身の写真をシェアしたり、気軽に美容情報を収集したりといったことが当たり前になるなかで、若い世代の美容意識が大きく変わっているようだ。

 医療脱毛を提供するリゼクリニックが高校生向けに実施したアンケート(※1)によれば、関心の高い美容は男女とも「脱毛」が1位になった。男子生徒の43.0%、女子生徒の74.0%が「脱毛」に関心を寄せた。

 「自身の体毛は気になるか?」の問いに、女子生徒は100%が「気になる」と回答、男子高生も8割近い79.0%が「気になる」と回答した。「体毛が気になる理由」を尋ねると、男女とも「毛がないほうがキレイ」と回答し、最多(男性40.5%、女性66.0%)となった。

 リゼクリニックが小中学生の女子生徒に実施したアンケート(※2)でも、全体の89.7%が「体毛が気になる」と回答。小学生は77.8%、中学生は92.4%だった。また、小学生の62.2%、中学生の89.9%が「体毛処理の経験がある」ことも判明した。

 処理する理由は「自分自身が気になり始めた」(85.4%)がトップ。次いで「人の目が気になり始めた」(55.3%)、「周りが処理し始めた」(38.8%)となった。「SNSやユーチューブを見て」という人は、18.9%だった。

 これらのアンケートを見る限り、小学生からの体毛処理はもはや“当たり前”という感覚なのかもしれない。

 リゼクリニックでは、中学生以下(14〜15歳)の「医療脱毛を希望した患者数」が5年前と比較して、8.3倍増になったそうだ。なお、同クリニックは14歳未満の施術は実施していない。

 同クリニックでは、学生限定の学割を用意しており、すべての5回コースプランが20%オフとなる。例えば、腕全体のコースは7万9800円が6万3840円となる。さらに、友だちや兄弟と一緒に2名以上で来院、契約すると、ペア割として5〜10%が追加割引される仕組みだ。

●無人経営の「セルフ脱毛サロン」が増加

 矢野経済研究所の調査によれば、国内エステティックサロンの市場規模は新型コロナの影響を受け、やや落ち込み気味だ。22年は21年と変わらない3270億円と予想されている。

 ただし、この市場予測に含まれていない「セルフエステ」は、規模を拡大しているらしい。数年前からセルフエステがトレンドとなっており、それは脱毛業界も同様だ。脱毛機器は家庭用のものも多く存在するが、やはり業務用と比較すると効果が弱いといわれる。そこで、業務用機器を提供するセルフ脱毛サロンが登場したというわけだ。

 店舗数日本一をうたうセルフ脱毛サロン「ハイジ」は、全国に38店舗を持ち、24時間営業で利便性が高い。同社の脱毛器はセルフ脱毛専用に開発したオリジナル機器で、従来のクリニックやエステサロンで採用されていたIPL脱毛と、近年多くのエステサロンで採用されているSHR脱毛の良いところを取り込んだハイブリッド脱毛(HHR方式)だという。

 価格も手頃で、1年契約の通い放題プランは月額5980円、月2回プランは月額6480円となる(いずれも1回60分)。

 新宿御苑に店舗を構える「CLEVY」(クレビー)は、大手脱毛サロンと同等の機器を採用し、1回約30分、最短6カ月で全身脱毛が完了可能だという。

 1回60分の通い放題で月額1万3200円。このプランでは同伴者1名も入店可で、例えば手が届きづらい背中などの部位を同伴者に手伝ってもらうことも可能だ。セルフがメインだが、オプションでエステティシャンの派遣が利用でき、30分3300円などのプランがある。

 このほかに、都心のマンション1室だけで営業する24時間セルフ脱毛サロン「アーデルハイド」、12カ月フリーパスでの全身脱毛プランを9万9000円(41%オフの限定特価)で提供するVIVIMO 渋谷 セルフ脱毛サロンなども。

●SNSで情報入手、容姿へのこだわり強く

 エピレでキッズ脱毛の利用者が増えた理由について、広報担当者は「SNSの影響が大きいようだ」と話す。

 「近年は、SNSで美容に関する情報を得たり、自分が写真や動画に写ることを意識したりして、脱毛を始めたいと考える人が多いように思います。キッズ世代の脱毛利用者が増えている現状をテレビの情報番組やWebメディアなどに取り上げていただく機会も多くありました」(広報担当者)

 美容外科の「東京イセアクリニック」が小中学生(女性8〜15歳)に対して実施した「美容・整形に関する意識調査」(※3)では、美容の情報源は「ユーチューブ」が1位となった(小学生44.0%、中学生65.7%)。また、中学生は2位が「Instagram」(57.7%)、3位が「TikTok」(54.9%)、小学生は3位が「TikTok」「テレビ番組」(いずれも28.0%)と、主にSNSから美容情報を入手している様子が見られた。

 同クリニックでは、2015〜20年の6年間を比較して、10代患者の来院者数が4.0倍に向上している。中でも最もポピュラーな二重手術は極端な推移を見せており、「目元の整形(埋没法・切開法ほか)」をした10代患者件数は約38.5倍、「プチ整形(埋没法・注入)」は24.6倍に増加している。

 同クリニックの吉種克之総院長は、「美容に関する情報を容易に知る機会が増え、タレントの美容整形手術公表に対して肯定的な意見があふれるなど、美容整形が格段に身近になったと思う。写真加工アプリも多く登場し、『加工前の自分(現実)を、加工後の自分(理想)に近づけたい』と希望する人も多いように感じる」などとコメントしている。

 エピレの広報担当者は、「ここまでキッズ脱毛が増えるとは予想していなかったが、今後さらに増えるのではないか」と話す。小中学生が脱毛を開始するのは暖かくなる春先が多く、「卒業・入学祝い」として保護者が脱毛コースをプレゼントするケースもあるそうだ。

(小林香織)