就職活動が本格化する4月になると、「就職人気企業ランキング」が各社から発表される。人材採用事業を手掛ける学情が実施した2023年卒の就職人気企業ランキングでは、新型コロナウイルスの影響で順位に変動が見られるなか、伊藤忠商事が4年連続1位を獲得した。

 調査を担当した学情の企画部・Web事業推進部・管理部担当の乾真一朗執行役は、上位にランクインする企業には2つの特徴があると話す。

●23年卒の就職人気企業ランキング

 23年卒の就職人気企業ランキングを見ると、1位は総合商社の伊藤忠商事だった。2位は講談社、3位は集英社と続いた。

 TOP10には4位の「アサヒ飲料」や6位の「味の素」、8位の「ロッテ」など食品系が多くランクインした。

 他にも、5位の「任天堂」や11位の「ソニーミュージックグループ」、12位の「KADOKAWA」など、出版に加えてゲームやエンタメ系も人気を集めた。

●1位の伊藤忠は売り上げ好調

 乾氏は、23年卒の就職人気企業ランキングでは、新型コロナウイルスによる生活への影響が顕著に反映されたと話す。売り上げが好調な企業、コロナ禍で需要が高まった業界への人気が集まった。

 1位の伊藤忠商事は、新型コロナウイルスの影響で売り上げ・利益を減らす企業が多いなか、21年3月期決算(20年4月1日〜21年3月31日)では純利益(株主に帰属する純利益)4014億3300万円で、商社のトップに立った。情報・金融部門の好調などが要因としている。

 22年3月期(21年4月1日〜22年3月31日)は他社に追い抜かれたものの、純利益8202億6900万円で、過去最高を記録した。

●コロナ禍で人気を集めた「出版」「食品」

 コロナ禍で自宅時間が増え、需要が高まった企業も人気だ。

 乾氏は「漫画・アニメブームに加え、講談社は『転生したらスライムだった件』『進撃の巨人』などの電子コミックとアニメ化などの権利ビジネスが好調です。集英社は『鬼滅の刃』が大ヒットしました。『自宅で楽しめるエンタメ』である出版やゲームの人気が高くなっています」と話す。

 他にも「食品」「流通」「消費財」など、コロナ禍で「巣ごもり消費」「ステイホーム」を支える企業は人気を高めたという。

●就活のマッチングアプリ化

 乾氏はスマートフォンや、SNSの普及により、情報収集のやり方が変化したことも就職人気企業ランキングに影響していると話す。

 「1995年ごろまでは就職情報誌での情報収集が主流でした。そこから各社がインターネット就職情報サイトの配信を開始し、インターネット上での情報収集が主になりました。当社が運営する新卒向け就活・就職サイト『あさがくナビ』へのアクセスは、14年まではPCからのアクセスが多かったですが、15年にはスマートフォンの割合がPCを上回り、現在では8割を占めています」(乾氏)

 乾氏は「スマートフォンを使用し就職活動を進める学生には、直感で出てきた情報が希望に近いかを判断し、欲しい情報にたどり着きたいと考える傾向がある」と話す。PCを利用していた際は、今ほどコンテンツや情報があふれておらず、自身で検索をして情報収集をしていた。スマートフォンを使いこなすSNS世代の就活生は、フリーワードからの検索ではなく、ザッピングしながら情報収集をする傾向が強いという。

 乾氏は、この「ザッピング感覚」での情報収集が、ランキング結果にも影響していると話す。

 上位にランクインする企業は、採用広報に力を入れており、積極的にテレビCMやインターネット広告を打ち、説明会や就活イベントに参加している企業が少なくない。学生が企業の名前、情報を目にする機会が多くなるほど、「親しみやすさ」が増し、エントリーへのハードルが下がるというのだ。

 大手企業でも合同説明会への参加頻度が少ないと、学生は就職先として意識をすることがなくなり、順位を落とすのだという。

 インターネット就職情報サイトでは、企業の情報収集、説明会への参加申し込み、エントリーなどを簡単にできる。勤務地や年収、業界、職種、会社規模などの希望条件を入力し、該当する企業の紹介ページを見てエントリーするかを判断する。検索履歴から希望条件や志向に合う企業をレコメンドする機能を搭載しているサービスも多い。

 インターネット就職情報サイトの仕組みは、居住地や年齢、年収、身長などの希望条件で検索し、出てきた異性の写真、プロフィールを見て直感的にスワイプするマッチングアプリの仕組みと似てきた。

 「企業を知っている」「なんとなくイメージが良い」「商品を利用している」など、感覚的に企業を選び、説明会やインターンに参加し、見極める。今の就活は"マッチングアプリ化"しているのかもしれない。