BMWのMINI(ミニ)が6年連続の新車販売ナンバー1を獲得しました。日本自動車輸入組合が発表した「外国メーカー車モデル別新車登録台数順位の推移」では、BMWミニは2021年度もトップとなり、16年度から数えて6度目。いわゆる車種別ではミニがトップを取り続けているわけです。販売台数は1万7849台です。

 また、メーカー別ランキングを表す21年度の「車名別輸入車新規登録台数」では、BMWミニは輸入ブランドとして5位となりました。ランキング上位は、上からメルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、BMW、アウディ、そしてBMWミニと続きます。

 ここで注目なのは、BMWとBMWミニの日本の輸入業者は同じ会社。そして、BMWとBMWミニの販売台数を合計すると、5万1461台となり、トップのメルセデス・ベンツの5万0551台を上回ってしまうのです。インポーターナンバー1といえば、メルセデス・ベンツとフォルクスワーゲンの争いが有名ですが、実質の販売数ではBMWグループも、相当に健闘していたのです。

 そんなBMWグループの人気を支える大きな存在がBMWミニです。ただし、直近6年はナンバー1ですが、それ以前は、3位あたりが定位置。不動の1位としてフォルクスワーゲンのゴルフが君臨しており、その下をBMWミニは、フォルクスワーゲンのポロやBMW3シリーズ、メルセデス・ベンツCクラスといったライバルと戦っていたのです。

●BMWミニが3番手から抜け出したカラクリ

 そんなBMWミニが、3番手争いから抜け出せたのには、いくつかの理由が考えられます。そして、その前提としてBMWミニが上位につけるカラクリが存在します。

 それは名称です。実のところBMWミニは、ひとつの名前で、複数の車形をそろえます。3ドア、5ドア、ステーションワゴン、SUV、そしてカブリオレです。ステーションワゴン版にはBMWミニ・クラブマン、そしてSUV版にはBMWミニ・クロスオーバーのサブネームも存在します。ところがランキングには、それらの車形すべてが一つのミニとしてまとめられているのです。

 ちょっとズルいように見えますが、自動車業界では定番の手法です。トヨタのカローラやヤリスも同じ手法が使われていますし、ゴルフにもステーションワゴンがあったり、ミニバンをゴルフトゥーランとして売っていたこともありました。

 つまりBMWミニは、そうした手法を上手に使ってランキングを上げているのです。というか、BMWミニの場合、もともとのミニというイメージが強いため、それを他車形にも上手に展開したというのが流れ。別の名前にすると、元のイメージが使えませんから、ひとつの名前で押し通すのは、ある意味当然の手法といえるでしょう。

●2015年前後に起こった変化

 とはいえ、そんなBMWミニでも、15年度以前はトップを獲得することができませんでした。では、15年度の前後にBMWミニに何があったのでしょうか。

 それは4ドア版の追加です。もともとミニというクルマは、BMWがブランドを買収する前の、いわゆる「クラシック・ミニ」の時代から、2ドアが特徴でした。BMWミニにも、2ドアが継承されています。でも、やっぱり利便性でいえば、後席用のドアを持つ4ドアの方が勝ります。また、日本だけでなく世界的にも、コンパクトカーの2ドア+ハッチバックという3ドアのスタイルは減少しています。

 そんなところにBMWミニにも4ドア版が生まれ、日本でも14年から販売が始まります。また、翌15年にステーションワゴン版となるBMWミニ・クラブマンがフルモデルチェンジ。日本における新型の販売が始まります。

 この4ドア追加とステーション版のフルモデルチェンジの直後となる16年度、BMWミニは初のナンバー1の座を獲得しました。さらに、17年にはSUV版のBMWミニ・クロスオーバーがフルモデルチェンジ。そして18年には、基本モデルとなるBMWミニ自体がマイナーチェンジを実施。毎年のように新型を投入することで、16年度から連続での年間販売ランキングナンバー1を守り続けたのです。

 ちなみに日本は、世界でも有数のミニ好きの国となるようです。クラシック・ミニの晩年期、日本向けの販売が堅調だったことで、その寿命が数年伸びたといわれています。BMWミニの時代になっても、世界市場における日本のポジションは五指に入っているとか。

 クラシカルさとキュートさをミックスさせたデザインと、スポーティーな走り、こだわり感のある上質感なインテリア、最新の装備類といったものがありながら、高すぎないというのが、BMWミニの特徴でしょう。「日本車は便利だけど、もうちょっと楽しい雰囲気のクルマに乗ってみたい」と考える人であれば、BMWミニは、ぴったりの選択肢になるはず。しかも、3ドアから5ドア、ステーションワゴンにSUV、カブリオレまでと品ぞろえも豊富。ヒットするのも当然かもしれませんね。

(鈴木ケンイチ)