今年も大手携帯電話事業者から夏の新製品が発表された。以前よりはラインアップ数が絞られ、コロナ禍の影響もあるが、華やかな発表会イベントも行われなかった。スマートフォンの進化は限界が来ているといわれて久しいが、それでもカメラを中心に進化が見られた。

 特に、10万円を超す製品は最高級の部品を採用して性能を高めている。特徴はそれぞれ異なるが、向いている方向はほぼ同じなので進化のトレンドが見えてくる。

 また、最初Androidの高級機で採用され、磨き上げられ、こなれて普及機にも広く搭載されるようになった機能は、iPhoneにも搭載されてくる。例えば指紋認証、防水防塵、有機ELディスプレイ、マルチカメラなどがそうだ。いずれもAndorid端末から採用が始まり、多くのAndroid端末が採用した結果、有用性が認められたものはiPhoneも搭載する流れだ。

 2022年も秋には次世代iPhoneが発表されると予想されており、すでにさまざまな機能の搭載が噂されている。そこで、今期の高機能Androidスマートフォンのトレンドを見ながら、それらの噂が真実になるかどうかを予想してみたい。

●イメージセンサーが大型化

 シャープの「AQUOS R7」、ソニーの「Xperia 1 IV」、サムスン電子の「Galaxy S22」シリーズは、スマホ離れした大型のイメージセンサーを搭載している。

 AQUOS R7はR6に引き続き1インチセンサーを採用し、弱点とされたAFも高速化した。Xperia 1 IVは、メインの広角カメラのセンサーサイズが1/1.7インチ。また、望遠カメラはペリスコープレンズを採用し、焦点距離(35ミリフィルム換算)85〜125ミリの距離が光学ズームに対応した。従来モデルはデジタルズームだったが、1 IVは3.5〜5.2倍の望遠はより高画質な画像を撮影できるようになった。Galaxy S22シリーズの最高峰、「Galaxy S22 Ultra」は、メーカーサイトでセンサーサイズは公表されていないが、1億800万画素の高解像度カメラには「Galaxy史上最大のイメージセンサーを搭載」とある。

 また、AQUOS R7とGalaxy S22 Ultraは、4つ、あるいは9つの画素を結合させて受光面積を増やし、明るい場所ではより高精細な写真、暗い場所でも多くの光を取り込んでクリアな写真を撮れる「ピクセルビニング」を採用している。

 望遠に対しても注力している。Xperia 1 IVの望遠カメラは光学ズームを実現していて、デジタルズームとは違った高画質が楽しめる。Galaxy S22 Ultraは光学3倍に加え、光学10倍レンズも搭載し、スマホでも遠距離撮影も実現できるようになってきた。

 新型iPhoneは、センサーが大型化し、カメラ画素数は1200万画素から4800万画素に増加、ピクセルビニングに対応すると噂されている。現在の1200万画素は、最近のスマホとしては決して高画素ではなく、新型iPhoneの全モデルが4800万画素になっても意外ではない。4800万画素のカメラを搭載するAndroidスマホは、大抵ピクセルビニングにも対応しているので、iPhoneも4800万画素カメラを搭載すれば、おそらくそうなるだろう。

 ハイスペックなAndroid機のイメージセンサーは1インチに近づき、画質も向上していると高く評価されている。発表会会場で見た限り、AQUOS R7は動作も改善しており、1インチレベルのセンサーは高級スマホに急速に広まっていく可能性がある。iPhoneのProモデルも、1インチかどうかは分からないが、より大型のセンサーを搭載する可能性は高そうだ。

 注目は望遠カメラの扱いだ。S22 Ultraのような光学10倍は、レンズの数を増やす必要があるので可能性は低そうだが、4800万画素に解像度が上がりそうなので、拡大してトリミングしても精細な写真が楽しめることを訴求してくるかもしれない。

●大型ディスプレイモデルがメインに

 iPhone 14シリーズでは、ディスプレイサイズ5.4インチのminiがなくなり、その代わり標準モデルの大画面版“iPhone 14 Max”が登場すると噂されている。

 Androidスマホは、特殊端末を除きディスプレイは大型が主流だ。エントリーモデル、ミッドレンジモデルも6インチ以上が多い。動画を見る時間の増加傾向は続いている中、やはりディスプレイは大きい方がユーザーに訴求できる。

 また、ディスプレイのリフレッシュレートが、ハイスペック機は120Hzが当たり前になってきた。iPhone 13シリーズはProモデルのみ120HzのProMotionに対応しているが、14シリーズでそれが標準モデルまで対応してくるかに注目だ。

●ミリ波に対応

 AQUOS R7、Xperia 1 IV、Galaxy S22シリーズは、5G用周波数のミリ波n257に対応している。n257は28GHzという高い周波数帯で、利用できるエリアはスポット的で狭いが、電波をつかめば非常に高速で通信でき、5Gらしい体験を得られる。

 日本のiPhone 13シリーズはこのミリ波に対応していない。現状、ミリ波に対応しているiPhoneは米国モデルのみだが、国内キャリアがミリ波を含む5Gエリア展開に注力しており、上記のAndroidスマホ3機種がミリ波に対応してきたことから、iPhone 14シリーズでいよいよ日本向けモデルもミリ波に対応するのではないかと予想する。

●価格が上昇

 現在、資源価格や輸送費が高騰し、円安も相まって物価高が続いている。スマートフォンの新しい機種は機能が進化しており、携帯電話販売の環境も変わってきたので、過去モデルと単純に比較するのは間違っているかもしれない。しかし価格が決まっているXperia 1 IVとGalaxy S22 Ultraのドコモ版は、前モデルよりも3万円以上価格が上がっている。

 いずれも発売当初の価格で、Xperia 1 III SO-51Bは15万4440円、Xperia 1 IV SO-51Cは19万872円。Galaxy S21 Ultra 5G SC-52Bは15万1272円で、Galaxy S22 Ultra SC-52Cは18万3744円だ。

 この状況が続くと、iPhone 14シリーズも13シリーズより価格が上がる可能性がある。Proモデルは現状もかなり高額(iPhone 13 Proが12万2800円から、iPhone 13 Pro Maxは13万4800円から)なので、Androidスマホ同様に値段が上がるとしたら、20万円を超えてきてもおかしくない。

(房野麻子)