大手機械メーカー川崎重工業は6月7日、完全子会社の川重冷熱工業(滋賀県草津市)で製造した一部の冷房機材に、検査上の不正が見つかったと発表した。試運転で確認できた性能データを、実際よりも高く偽って出荷するなどの行為が発覚。不正は1984年から始まり、2022年までに1950件に上るという。

 不正が見つかったのは、ビルや商業施設などの空調システムに用いる「吸収式冷凍機」。地下や屋上に設置され、冷水を発生させて冷やした空気を室内に送る、冷房システムの中核をなす機材だという。

 川重冷熱の主力製品で、同社の吸収式冷凍機事業は売上高186億円(22年3月期)の過半を占めるという。同製品の国内シェアは19%を占める。

 製品の出荷前の試運転で、実際には冷房能力が90%程度だったところを、100%の性能が確認できたと検査成績書類を改ざんして出荷していたという。改ざんは84〜22年で計1950件に上るという。

 このほか、製品カタログや仕様書の不適切な記載も計2944台で見つかったという。

 21年8月、川重冷熱で顧客に提出した検査成績書類と社内の試験結果が異なることに担当者が気づき不正が発覚した。

 川崎重工は「吸収式冷凍機の安全性に影響するものではない」と説明している。

 川崎重工は21年8月に川重冷熱を完全子会社化していた。

 川崎重工専務執行役員の渡辺達也氏は「さかのぼって確認できる一番古い不正が84年。動機や詳細は不明だが、原因の第一はコンプライアンスの意識が希薄だった」と説明。「信頼を損ない関係者に多大な迷惑をおかけし深くおわび申し上げます」と頭を下げた。

 同社は6月7日付で川重冷熱の篠原進・代表取締役社長を解任し、川崎重工パワープラント総括部長の森宏之氏を新たに川重冷熱代表取締役社長にあてる人事異動を発表した。篠原氏は吸収式冷凍機の設計者であり、93年頃から不正を把握していたという。