日本時間6月7日早朝から行われた開発者イベント「WWDC22」で、アップルはこの秋と見られるiOS 16で導入される新機能を公開した。iOS 16はiPhone 8シリーズ以降が対応し、iPhone 7シリーズや初代のiPhone SEは対応しない。

●「ロック画面」が多機能に

 「史上最大のアップデート」とされたのがロック画面だ。ロック画面を長押しすることで編集できるようになり、日付と時間はフォントと色を選択して変更できるようになった。また、ロック画面にもウィジェットを配置できるようになり、カレンダーのイベントや天気、バッテリー残量、アラーム、1日の運動量を表示する「アクティビティリング」などが確認可能になる。

 ロック画面は複数作ることができ、スワイプして切り替えることができる。iOS 16では「集中モード」をロック画面に関連づけられるようになるが、壁紙やウィジェットを変えていくつかロック画面を作成しておき、その状況に合ったロック画面を表示させることで集中モードを有効にできる。なお、「集中モードフィルタ」を活用すると、カレンダー、メール、メッセージ、Safariなどのアプリでは、ユーザーの集中モードに関連するコンテンツだけを表示する。

 新しいロック画面では通知の表示が見直され、写真を隠さないように画面下のみに表示されるようになる。通知を1日中非表示にすることも可能だ。

 さらに「ライブアクティビティ」という新機能も追加。スポーツの試合状況やワークアウトの経過時間や走行距離、出前の注文がどこまで来ているかなど、リアルタイムの出来事をロック画面上で把握できるようになるという。また、音楽再生中にはコントロール画面を全画面表示にしてアルバムアートワークを楽しめるようになる。

●「メッセージ」で再編集や送信取り消しが可能に

 「メッセージ」アプリには、「リクエストが多かった」という機能が追加される。送信したばかりのメッセージの編集、取り消し、未読に変更ができるようになる。送って後悔したメッセージも、修正したり削除したりできるというわけだ。

 また、友だちや家族とのFaceTime通話中にテレビ番組や映画、音楽をストリーム再生して一緒に楽しめる「SharePlay」がメッセージアプリでも使えるようになる。コンテンツをテキストチャットしながら楽しめるようになる。

●送信予約メールが可能に

 「メール」アプリでは送信予約ができるようになり、メールが届く前の短い間にメールの送信を取り消すことも可能になる。添付ファイルの入れ忘れを検知する機能も搭載される。リマインダー機能で任意の日時にメールを再表示させたり、返信を受け取っていないメールのフォローアップをしてくれたりもする。これらはGmailなどで好評の機能だが、iOS 16のメールアプリでも使えるようになる。

●音声入力とタッチ入力がシームレスに

 音声入力はタッチ入力よりも簡単に文字入力ができて便利な機能だが、ちょっとした修正ができず、現在は画面上のアイコンをタッチしてキーボードを表示させる必要があった。iOS 16では音声入力をしていてもキーボードが表示されたままとなり、音声とタッチ入力を簡単に切り替えられるようになる。また、音声入力時に自動的に句読点が挿入されるようになり、絵文字を音声で入力できるようになる。

●ビデオ内のテキストや画像を認識

 写真の中のテキストを認識する「テキスト認識表示」が動画でも可能になる。任意のフレームでビデオを一時停止してテキストを操作できるようになる。デベロッパーにAPIも提供され、Vimeoのようなアプリで直接テキストを抽出できるようになる。抽出したテキストから通貨換算や外国語の翻訳ができるという。

 写真に写っている被写体について調べることができる「画像を調べる」も進化。画像の対象物を長押しすることで背景から切り抜き、メッセージなどで送信できるようになるという。

 ただし、テキスト認識表示は、現在、日本語に対応していない。画像を調べるも日本では利用できない。iOS 16でこれらが日本でも利用できるようになるかどうかは不明だ。

●「Apple Payで後払い」が追加

 これも日本での対応は未定だが、米国向けに「Apple Payで後払い」が追加される。Apple Payを使った購入代金を6週間にわたって4回の分割払いにできる。無利子で手数料もかからない。Apple Payで後払いは「ウォレット」アプリに組み込まれ、安全に利用できるとしている。また、「Apple Payで注文の追跡」に対応している業者でApple Payを使って購入すると、レシートと注文追跡情報をウォレットアプリで受け取れる。

●「マップ」からSuicaやPASMOにチャージが可能に

 Appleの「マップ」アプリで、複数地点を経由する経路案内が利用できるようになる。最大15カ所の経由地を設定してMacで経路を計画すると、iPhoneに自動で同期される。

 また、新しいSuicaやPASMOをウォレットアプリに追加、残高のチェック、チャージがマップアプリからできるようになる。

●「CarPlay」がクルマと緊密に連携

 対応車種は2023年後半に発表予定だが、「CarPlay」も大きく進化する。クルマとより緊密に連携し、ラジオや空調のコントロールなどがCarPlayから直接可能になる。また、CarPlayはクルマのデータを利用して、速度、燃料の残量、気温などを計器類にシームレスに表示する。これまでのCarPlayはiPhone内の情報をクルマのディスプレイに表示する程度だったが、次世代のCarPlayはクルマが持っているデータをiPhoneで処理し、表示することになるようだ。

●最大6人で使える「iCloud共有写真ライブラリ」

 自分のほかに最大5人と写真やビデオを共有できる「iCloud共有写真ライブラリ」が提供される。保存済みの写真を共有できるほか、カメラアプリから自動で写真を共有ライブラリに送信するように設定することも可能。共有写真ライブラリの全メンバーは、共有する写真やビデオを追加、削除、編集でき、お気に入りに追加できる。

●スマートホームの接続規格「Matter」に対応

 「ホーム」アプリが刷新。より簡単に機器を操作、整理、表示できるようになり、気候、照明、セキュリティなどの新しいカテゴリーが加わる。また、スマートホームの接続規格である「Matter」に対応し、幅広いスマートホーム機器がさまざまなプラットフォーム間でシームレスに連携できるようになる。

●Apple Watchがなくてもムーブリングを見られる

 Apple Watchを持っていなくても、iPhoneの「フィットネス」アプリを使ってフィットネスの目標を決め、進捗をチェックできるようになる。いわゆるムーブリングをiPhoneで見られるようになる。

 また、「ヘルスケア」アプリがアップデートされ、「服薬」メニューが加わる。服用している薬のリストを作成・管理でき、薬を飲み忘れないように、スケジュールとリマインダーを作成可能。米国では、ユーザーはiPhoneのカメラをラベルに向けることで、薬をリストに追加したり、服用している薬の説明書を読んだり、服用している薬同士で重大な相互作用が起こる可能性がある場合に通知を受け取ったりもできる。

●子どものアカウント管理を簡単に

 ファミリー共有機能が充実する。適切なペアレンタルコントロールを設定して子どものアカウントを作ることができ、利用制限、位置情報の共有などの環境設定も可能。子どもからのスクリーンタイムのリクエストはメッセージアプリに表示され、承認や却下はメッセージから送れる。

 子どもにiPhoneを与える際には、クイックスタートと親本人のデバイスを使って、子どものiPhoneやiPadを簡単に設定でき、ペアレンタルコントロールが適用された状態で使わせることができる。

 iOS 16は、今秋登場が予想される新しいiPhoneに搭載されるが、iOSユーザーに対して7月中にパブリックベータ版を提供する。iPhone 8以降であれば、今使っているiPhoneでも使ってみることができる。ただ、動作が不安定になったり、バッテリー消費が激しくなったり、アプリが使えなくなったりする可能性がある。

(房野麻子)