河合塾グループのKEIアドバンスが業務提携している英国の高等教育コンサルタント機関・QS社(Quacquarelli Symonds社)は6月9日、世界大学ランキングの第19版を発表した。東京大学が昨年に引き続き23位に、京都大学が36位に、東京工業大学は55位にランクインした。

●QS世界大学ランキング2023:国内大学TOP15

 QS世界大学ランキングを国内の大学に絞ってみると、「東京大学」は23位を維持していた。続く「京都大学」は3つ順位を下げ36位となったものの、前回100位以内の「東京工業大学」「大阪大学」「東北大学」はランクアップした。

 今年は「立命館アジア太平洋大学」と「関西学院大学」が新たにランクイン。全体では19校がランクダウン、11校がランクアップ、18校がランク維持という結果になった。

●QS世界大学ランキング2023:アジア地区TOP10

 QS世界大学ランキングをアジア地区に絞ってみると、1位は「シンガポール国立大学」(シンガポール)だった。同校は5年連続で1位を獲得しており、アジア地区のトップ大学として認識されている。続く2位は「北京大学」(中国)、3位は「清華大学」(中国)となり、日本の大学では「東京大学」が6位、「京都大学」が9位にランクインしていた。

 なおアジアの国・地域の中で、日本は世界トップ200にランクインする大学が最も多く(9校)、トップ300では2番目に多く(10校)、世界トップ500では3番目に多い(15校)国・地域となっている。

●データから見る日本の大学

 QSのデータによると、「東京大学」はランキングの集計に使用した指標の大半で、引き続き優秀な成績を収めていた。

 一例として、QSの指標である「学術関係者からの評判(Academic Reputation)」では満点(100/100)を獲得している。さらに「雇用主からの評判(Employer Reputation)」はほぼ満点(99.7/100)で、過去1年間で雇用者からの評判が向上していた。しかし「教員一人当たりの被引用率」の指標では前年から25位順位を落とし、世界128位となっていた

 また日本の他大学では、「東京工業大学」(55位、1ランク上昇)が2009年版以降で最も高い順位を記録したほか、「大阪大学」(68位、7ランク上昇)は、雇用主からの評判調査およびQSの研究インパクト指標を向上させていた。さらに「慶應義塾大学」(197位、4ランク上昇)がトップ200に返り咲いた。

 今年のQS世界大学ランキングは、昨年の1300校から100校以上増え、対象が1418校と過去最大規模となった。今年のランキングでは「マサチューセッツ工科大学」が11年連続1位となり、2位は「ケンブリッジ大学」、3位は「スタンフォード大学」と、トップ3を米国の大学が獲得した。また中国では「北京大学」(12位)、「清華大学」(14位)が世界トップ15に入り、世界大学ランキング発表以来、最高の順位を獲得した。

 地域別に見ると「シンガポール国立大学」が5年連続の11位となり、アジアでの最高位の大学となった。スイスの「チューリッヒ工科大学」(9位)は引き続き欧州大陸で最高位、アルゼンチンの「ブエノスアイレス大学」は引き続きラテンアメリカの最高位の大学となっていた。

 QS社の上級副社長であるベン・ソーター氏は、以下のようにコメントしている。

 「QS世界大学ランキングの中で、日本の大学は苦戦を強いられていますが、その背後にある理由を理解することが極めて重要です。われわれのデータは、世界の学術関係者が日本の大学を依然として高く評価していることを示唆していますが、その一方で、日本の大学ランキングの下落の主な原因は研究業績の低下であることを示しています。これは過去20年にわたる日本の知的資本への過小投資の結果であり、日本の博士号取得者数は03年のほぼ半分です。博士号取得者を絶え間なく増やし続けている中国と日本とは、一線を画していると言えるでしょう」

●100兆円の大学ファンドが日本で発足

 さらにベン・ソーター氏は、こう続けた。

 「この種の基金としては世界最大となる820億ドルの大学ファンドがこの春、日本で初めて正式に発足されていますが、現在このファンドの運営に携わっている人々によれば、日本が革新的な競争力に真剣に取り組む必要があることを明確に認識しているとのことです。

 このファンドは、“University of Excellence”の創設計画とともに、世界最速の高齢化社会である日本が直面する問題の解決に向けて、イノベーションに資する財政、構造、規制環境を早急に構築しなければならないという認識から生まれました。新しいこのファンドは、衰退しつつある日本の研究活動の復活に向けた有望な一歩ですが、その成果がランキングに現れるまでには何年もかかるでしょう」