6月8日に新規上場したVTuberグループ「にじさんじ」を運営するANYCOLORが上場後初の決算を発表した。2017年の創業以来、売上高は急成長しており、22年4月期で141.6億円と前期比85.5%増、営業利益が41.9億円で営業利益率は約30%と高水準である。売上構成を見ると、コマースが46.9%、次にライブストリーミングが21.1%、プロモーションが16.0%、海外8.0%の順となる。

 ANYCOLORは創業が17年5月。主力の事業はVTuberグループ「にじさんじ」を運営し、VTuberとファンとの間で投げ銭や、YouTubeの課金システム、また広告からの収益を得ている。

 にじさんじのVTuberは2次元キャラクターを基本とし、コマースやタイアップ広告などの事業展開が行いやすいという強さがある。ユーザーローカル調べ(21年10月)によると、国内のVTuberは1万6000人を突破するなど広がりを見せている。ANYCOLORには、4月末現在で国内109名、英語圏(NIJISANJI EN)20名が所属している。

 「にじさんじ甲子園」「NJU歌謡祭」といったライブストリーミングを開催するほか、完全オンライン開催となった「にじさんじAR STAGE "LIGHT UP TONES"」や東京ビッグサイト、横浜ぴあアリーナといったリアル会場でのイベントやライブBlu-ray、ライバーの装飾品・衣装をそのままのデザインで「そのまんまグッズ」として販売するコマース事業を営む。企業とタイアップして広告活動なども強い。芸能人をVTuberに置き換えて、その事務所活動をイメージすると分かりやすい。

●今期・来期予想とも増収増益。今期27.9億円と前期比3倍増の純利益

 セグメント別では、売上高の約半分を占めるコマース領域が66.4億円(前期比97.8%増)と大きく成長。次にライブストリーミング領域で29.9億円、プロモーション領域で22.7億円となった。21年5月にローンチしたNIJISANJI ENをはじめとする海外事業が急速に成長し11.3億円(前期比5.5倍増)の売上高となる。

 特筆される点は、創業後2019年から黒字化を実現し、今期27.9億円と前期比3倍増となった純利益である。これは、創業後の拡大期に多くの企業が売上を伸ばすために広告宣伝費や外注費、人財費を増やすのだが、この販管費増を十分カバーしていることが要因となる。

 23年4月期の業績予想も、売上高190億〜210億円(34.1%-48.3%増)、営業利益55.1億〜65.1億円(31.5%-55.3%増)、純利益38億〜46.2億円(36.1%-65.4%増)と増収増益を見込む。営業利益率も30.1%と引き続き高水準を想定している。

●3つの軸で描く今後の成長戦略

 ANYCOLORは3つの軸で成長戦略を描いている。まずは、複数人のVTuberによるユニットの組成だ。ユニットで新たなVTuberの魅力も発見でき、新規ファン獲得や既存ファンからの評価が高まると、同社は見込む。次に、ANYCOLORのタレントデビューを目指して歌や演技・ダンス、ライブ配信などが学べるバーチャルタレントアカデミーを通して次世代のVTuberを育成。さらに、英語圏をはじめとした海外展開である。