米FRBは、6月15日と16日のFOMCで1994年11月以来となる0.75%と大幅な利上げを決定した。事前の市場予想やパウエル議長の6月と7月のFOMCにおける0.5%の利上げ発言をくつがえした。利上げ幅はFOMC全会一致ではなく苦渋の判断であった。

●今回の0.75%利上げ決定はFOMC全会一致ではなかった

 FRBの金融政策の目的は「最大の雇用」と「物価の安定」とされ、これらは「2つの責務(Dual Mandate)」と呼ばれている。パウエル議長を筆頭にFRBの理事と地区ごとの連邦準備銀行総裁で構成されるFOMC参加者による経済予測では、2022年末時点での政策金利の見通しは3.4%とし、前回(3月)の予測値である1.9%から大幅に引き上げた。

 今回の大幅な利上げ決定前には、市場の予想や6月と7月のFOMCにおける、パウエル議長自身による0.5%の利上げの可能性発言があり、0.5%利上げ予想が優勢だった。加えて、FOMCの今回の決定は全会一致ではなく、カンザスシティ連銀のジョージ総裁が0.5%の利上げを支持して反対票を投じている。

 FOMCのドットプロット(FOMC参加者の金利予測)によると、22年末におけるFFレート(政策金利に相当)は約3.4%、23年は3.8%と利上げ方向。その後24年に3.4%と利下げが織り込まれている。一方、市場予想は22年が約3.6%、23年が約3.2%となっており、市場予想のほうが先に利上げを済ませ、来年は利下げと見ていた。

●平均インフレ目標の賞味期限は2年弱

 利上げ決定直後のワシントンDCの連邦準備制度理事会が主催する研究会議にて、FRBパウエル議長は最大の雇用のためインフレ率2%回帰までとコミット。そして、このコミットメントが国際社会でのドル保有と利用促進に寄与すると発言した。

 実はFRBの2%回帰を明言する前、20年9月のFOMCから「労働市場の状況が最大雇用と評価される水準に達し、インフレ率が2%に上昇して当面の間2%をやや超えるような軌道に乗るまで」という平均インフレ目標(FAIT Flexible average inflation targeting)を取っていた。

 足元、6月10日に発表された5月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比8.6%上昇となり、最大の雇用を最優先とした平均インフレ目標が修正されることとなった。また、FOMC参加者メンバーの大半がインフレは一過性のものでないと軌道修正しており利上げを積極的に支持するというタカ派寄りになった。